20日(日).わが家に来てから345日目を迎え,安保関連法案が成立した紙面をかじるモコタロです
安倍さんの顔 歪んでるし・・・ ン? 紙面が歪んでたの?!
閑話休題
昨夕,池袋の東京芸術劇場でフィルハーモニックアンサンブル管弦楽団の第59回公演を聴きました 今年はシベリウス・イヤー(生誕150周年)ということで,オール・シベリウス・プログラムです.演奏するのは①交響曲第7番ハ長調,②ヴァイオリン協奏曲ニ短調,③交響曲第1番ホ短調で,②のヴァイオリン独奏は山根一仁,指揮は矢崎彦太郎です
フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団は1976年に立教大学交響楽団OBにより結成.1979年に初の主宰演奏会を開催するにあたり広く門戸をひろげ,以降,一般の社会人オーケストラとして自主運営活動を続けています
自席は2階J列11番,センター左ブロック左から2つ目です.ステージ後方の東京芸術劇場自慢のパイプオルガンは,モダーン面を見せています 会場はほぼ満席.アマチュア・オケなので演奏者の家族・友人・知人が多いことが想像できます.オケのメンバーが入場します.コンマスは今年までN響第2ヴァイオリン首席を務めてきた長峰高志氏です
オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,その後ろにコントラバスという態勢をとります
1曲目の交響曲第7番はシベリウス最後の交響曲です.大きな特徴は単一楽章による22分程度の短い曲だということです 後で演奏する第1番が約40分かかることから比べると,作曲年代が遅くなるほど短く簡潔になるようです
シベリウスは交響曲第8番も作曲したらしいのですが,どうも気に入らなかったようで楽譜を燃やしてしまったようです
その後,生涯最後の28年間はまったく作曲活動を止めてしまいました.「国民的作曲家」として手厚い年金生活を保障されて,新しい曲に挑戦する飢餓感がなくなってしまったのでしょうか?簡潔ながらシベリウスの魅力が詰まった第7番シンフォニーを聴いていて残念に思いました
最後の音が鳴り終って,指揮者のタクトが下りてから大きな拍手が起こりました これが普通なのだと思います.しかし,見た限りでは「シベリウスの第7交響曲を1度でも聴いたことがある聴衆が極めて少なく,曲が終わったのかどうか分からず,周りの様子を覗って,他の人が拍手を始めたので,やっと安心して拍手をした聴衆が多かった」ように思えました.どっちにしても,結果的には良いことです
2曲目のヴァイオリン協奏曲の演奏開始前に,若干オケの編成変えがあったのですが,コンマスを含めて楽員がスタンバイしている時に,遅れた何人かのヴァイオリン奏者が走ってきて配置に着いたのはみっともないと思いました それも一人や二人ではありませんでした.プロはこういうことは滅多にありません.入場料を取っているのだからしっかりしてほしいと思います
ヴァイオリン協奏曲の演奏のため,ソリストの山根一仁が登場します.2階席から見下ろした彼は,「ベルサイユのバラ」のオスカルのようなイケメンです 隣席の中年女性はオペラグラスを手に”私のオスカル”だけを注視しています
この曲の大きな特徴は全体の半分を第1楽章が占めていることです ヴァイオリン協奏曲の王様,ベートーヴェンのそれを意識したのでしょうか.オスカル山根の演奏を聴いていて思ったのは「弱音の美しさ」と「切れ味の鋭さ」です
アサヒ・スーパー・ドライじゃないけれど『コクがあるのに切れがある』のです
この曲は超絶技巧を要する難曲なので,よけいモタモタしている暇のない,鋭い切れ味が求められる曲なのです.私はこの曲の全ての楽章が好きですが,特に好きなのは第3楽章冒頭のティンパ二と低弦によるリズムです
ここを聴くと,シベリウスは良いなあ,とつくづく思います
会場一杯の拍手とブラボーに,オスカル山根はバッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」から「サラバンド」をニュアンス豊かに演奏しました 熱くなった聴衆の心を落ち着ける見事なクールダウンの選曲です
休憩後に自席に戻ると,隣席の”オスカル・命”の中年女性が居ません どうやらオペラグラスでオスカル山根を堪能したら,あとはどうでも良くなってお帰り遊ばしたようです
要するにミーハーなわけね.いいんですよ,あなたは誰にも迷惑をかけていない.気を付けて帰ってね
さて交響曲第1番です.第1番と番号が振られていますが,シベリウスが実際に最初に作曲したのは「クレルヴォ交響曲」です.しかし,この曲は作曲者本人の意向で演奏禁止になりました
4つの楽章から成りますが,第1楽章冒頭のクラリネットのソロは感動的です シベリウスの生まれ故郷フィンランドには行ったことがありませんが,北欧の”冷たい空気感”を感じさせます.その言葉はこの曲全体を通して感じます
管楽器も弦楽器も頑張っています.私がとくに印象に残ったのは,オケの中央で構えて演奏する女性のティンパ二奏者です プログラムに掲載されたメンバー表によると,平井麻由香という人のようです.この曲に限らずシベリウスの交響曲は,ティンパ二がそこかしこで重要な役割を果たします.彼女は重責を全うしていました
演奏後,指揮者・矢崎彦太郎がマイクを持って登場しました 珍しいことです.
「東京藝大で学んだ頃,フィンランド人を母として生まれた渡邉暁雄先生に学びましたが,先生は『ベートーヴェンの交響曲を演奏するには,彼の弦楽四重奏曲を全て聴いていなければならない どの弦楽四重奏曲でも良いからオーケストラ用に編曲してみなさい』と言われてチャレンジしたことがあります.その先生が『シベリウスは交響曲と交響曲の作曲の合間に,小さな良い曲をたくさん作曲している.そういう曲も演奏してほしい』と言われました.その中の一つに『白鳥の姫』という小さな組曲がありますが,第2曲目は『ハープ』という曲です
今日は,日本のハープ演奏の草分け的な存在である篠崎史子さんにゲスト出演していただいているので,この曲をアンコールに演奏したいと思います
」
として,篠崎さんを紹介し,さっそく『ハープ』の演奏に入りました.弦のピチカートと管楽器に乗せてハープが美しい音楽を奏でていきました 演奏後,指揮者,コンマス,篠崎さんに花束が贈られましたが,良いですね,こういうシーンは
オーケストラからの感謝の気持ちが伝わってきます
も一度,閑話休題
この日に出演したオスカル山根が演奏するコンサート・チラシがあったのでご紹介しておきます.トッパンホールの「ニューイヤーコンサート」です
次回のフィルハーモニックアンサンブル管弦楽団のコンサートは「炎のコバケン」が振ります.熱い演奏になるでしょう
わたしも聴きに行きたいのですが,どういう訳か,ピンポイントでこの日に東京交響楽団のコンサートが入っているのです.私の場合よくあることですが,非常に残念です