人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

今日はウィーン・フィルの創設者オットー・ニコライの命日(1849年5月11日)です / コンサートや映画はどのように再開するのか? 

2020年05月11日 07時14分13秒 | 日記

11日(月)。ヴォートル・チケットセンターから「東京藝大 奏楽堂 モーニング・コンサート  チケット払い戻し案内」が届きました    4月から6月まで開催する予定だった第1回~第5回の同コンサートが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止になったことに伴う措置です。返信用封筒には84円の切手が貼られていましたが、万が一のことを考え 特定記録郵便で出すことにしました われわれは演奏を聴くだけの気楽な身ですが、演奏する予定だった学生の皆さんは本当にお気の毒です これは天災です。次のチャンスをつかんで欲しいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2049日目を迎え、検察庁法改正案は8日、衆院内閣委員会で審議入りしたが、野党側は今年1月に現行法の解釈変更で官邸に近いとされる黒川弘務・東京高検検事長の定年が延長されたことを問題視し、今回の改正案との関連をただすため、森雅子法相出席のもとでの衆院内閣委・法務委の連合審査を求めたが 却下されたことから審議を欠席、自民・公明・日本維新の会の3党のみで質疑が強行されたことを受けて、検察官定年延長法案に抗議するツイートが380万を超えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       安倍政権の傲慢さは モリ カケ サクラ に ケンサツチョウ が追加された なめるなよ

 

         

 

9日付の日経朝刊に「『3密』回避  知恵絞り再開 映画館で2席空け  ジムはプール閉鎖」という見出しの記事が載っていました 映画館に絞って超訳すると、

「政府が新型コロナウイルス対策で指定する『特定警戒都道府県』以外の地域で、休業要請の緩和が始まった 映画館やスポーツジムなどで自治体が制限を解除した事業者は、感染防止を凝らしながらの営業再開を探る 新潟市の映画館『シネ・ウインド』は7日に営業を再開したが、観客が密室に固まるような『3密』状態を防ぐ工夫を凝らす。入場者は新潟市近隣の会員に限定する 客席に座っても観客同士の距離を保てるよう配慮する。観客の座る席の横は左右とも2席以上あけて座ってもらうよう、映画館側が座席を指定する。一度に館内に入る人数も満席時の3分の1以下の20人以下に抑える。7日の来場者は約20人で、通常時の半数以下だった

東京都は『特定警戒都道府県』なので、まだ休業要請が緩和されていませんが、いつか緩和され 映画館での上映やコンサート会場での公演が解禁される際には、「シネ・ウインド」のような感染防止対策が図られるのではないか、と思います 映画はまだ対応しやすいと思います。NETでの予約にしても 当日券の購入にしても、映画館側で、座れる席(あるいは座れない席)を指定しておけば良いのです     もちろん入場者は大幅に減少するでしょうが、そこで感染者が出て閉館になるよりはマシです

問題はコンサート、特にオーケストラの「定期演奏会」です どこのオーケストラも今シーズンの定期会員の席は決まっています それを、感染防止のためだからと言って、オーケストラ側で勝手に席を2つおきに座れるように変更したりすることは出来ません 座席のランク(S・A・B・C)の問題もあります。せいぜい入場者にマスクの着用を求め、体温をチェックし、手のアルコール消毒を求め、空調を強めに設定し換気を良くして、公演を実行するしかないのではないか、と思います

もう一つの問題は秋から「2020‐2021シーズン」が開始されるオーケストラの定期演奏会です 東京交響楽団や読売日響は すでに4月から新シーズンに入っており、中止公演も出ていますが、N響や新日本フィルは9月から新シーズンが始まります   実はNHK交響楽団から会員券更新案内が届いていて、席替またはキャンセルの場合は明後日の5月13日までに通知しなければならないのですが、まだ結論が出せないでいます

というのは、それまでにコンサートが通常通り開催できる状態まで回復しているだろうか、という懸念があるからです 「通常通り」というのは隣の席を空けることなく 定期会員が希望する座席はすべて確保するという意味です N響の会員を せっかく更新しても、また「中止のご案内」が来て「払い戻し」にならないか、という不安が払拭できません ギリギリまで悩んで通知することになると思います

 

     

 

         

 

今日はウィーン・フィルの創設者オットー・ニコライの命日(1849年5月11日)です オットー・ニコライ(1810-1849)はプロイセン王国のケー二ヒスベルク(現・カリーニングラード)で生まれ、17歳からベルリンで音楽を学び、卒業後オペラを作曲、1841年にはウィーン宮廷歌劇場の楽長に就任しました そして翌1842年3月に、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の前身である宮廷楽団員の自主演奏団体「フィルハーモニー・アカデミー」による最初のコンサートを開催しました 彼は いわばウィーン・フィルの創設者です さらに 1848年にはベルリンの歌劇場指揮者にも就任しています   そして1849年に代表作「ウィンザーの陽気な女房たち」を作曲・上演し、彼の名をドイツ・オペラの歴史に刻みました このオペラの初演から約2カ月後のきょう(171年前)、脳梗塞で倒れ 死去しました

オペラ「ウィンザーの陽気な女房たち」の原作は、同じ題名のシェイクスピアの喜劇ですが、同じ原作を骨子として作曲されたヴェルディのオペラ「ファルスタッフ」に比べると、上演の機会がほとんどなく 残念です   幸い「序曲」は多くのCDが出されています。私の愛聴盤はハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルによる2枚組CD(1957年・1960年録音:DECCA)です    このアルバムはヨハン・シュトラウスをはじめとするウィンナ・ワルツを中心に収録されていますが、コムザークのワルツ「バーデン娘」とともに、 ウェーバー「舞踏への勧誘」のスケールの大きな演奏が素晴らしいです

 

     

     

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新国立オペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 ⇒ 中止 / 門井慶喜著「銀河鉄道の父」を読む ~ 頭は良いがどこかダメ息子である宮沢賢治の父親の物語

2020年05月10日 07時18分30秒 | 日記

10日(日)。新国立劇場のホームページによると6月21日~30日に「オペラパレス」で開催予定の新国立オペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は中止となりました 併せて、6月14日~17日に「東京文化会館」で開催予定の同公演も中止となりました。出演歌手陣のほとんどが海外からの招聘なので、新型コロナウイルスの感染が世界に蔓延している状況下ではやむを得ないでしょう これにより、新国立オペラ2019-2020シーズンは全10作品のうち半数の5作品が中止となりました この分だと、6月中に11公演聴く予定の「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」も開催が怪しくなってきました いったい、いつになったらコンサート中止ドミノは終わるのか

ということで、わが家に来てから今日で2048日目を迎え、トランプ米大統領は8日、ケイティ・ミラー副大統領報道官の新型コロナウイルス感染が確認されたと明らかにしたが、トランプ氏は同日、週1回だった検査を毎日受ける意向を明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプは新型コロナウイルスも顔負けの猛毒を持ってるから感染しないと思う

 

         

 

門井慶喜著「銀河鉄道の父」(講談社文庫)を読み終わりました門井慶喜は1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール読物推理小説新人賞を受賞しデビュー 2016年「マジカル・ヒストリー・ツアー  ミステリと美術で読む近代」で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞、18年に本作「銀河鉄道の父」で第158回直木賞を受賞

 

     

 

最初に結論を書きます。最近読んだ本の中で最も面白い本でした

主人公は宮沢賢治の父・宮沢政次郎です。実家は質屋兼古着屋を営む地元でも有名な商家で、政次郎は町会議員も務める名士です 息子・賢治は幼少の頃から頭が良く、学校の成績は全て「甲」(オール5)という秀才です そんな賢治は病弱な面があり、幼いころ赤痢で入院します。一般の家庭では母親が病院でつきそうのが常識でしたが、政次郎は自ら病院に寝泊まりして看病するのです 過保護ともいえる態度に、政次郎はその父・喜助から「お前は、父でありすぎる」と苦言を呈されてしまいます 本人も「子供のやることは、叱るより、不問に付すほうが心の燃料が要る」と考えています。彼は賢治に店を手伝わせますが、商売っ気がなく何の役にも立ちません 本当は質屋を継がせたいのですが、それを言い出せず、「時代が違う」と自分に言い聞かせて進学を認めます 賢治は学校の成績は良かったものの、その後は製飴工場を造ると言い出したり、イリジウム採掘に夢中になったりして、そのたびに父の資金援助を当てにして政次郎を悩ませます そうかと思うと宮沢家の宗教とは異なる宗教にのめり込んで、家を出て政次郎を心配させたりたりもします 困った息子ほどかわいいものなのでしょう。政次郎は悪態をつきながらも、つい甘やかして彼を支えます そして賢治は「春と修羅」を世に出しますが、政次郎は息子の才能を確信することになります

この小説が面白いのは、ユーモア精神が横溢しており、父親に尊厳がある明治時代の物語なのに、明るく楽観的な父親像が描かれているからです そして文章上の大きな特徴は、独特のアクセントです 一例を挙げると、次のような文章があります

「またしても夕食どきである。この状況での家族会議には、やや、

(飽きた)

という気もしつつ、ともかく政次郎は、

「賢治」

食事をやめさせ、菊池校長の話をかいつまんで伝えて~」

この文章は普通の書き方をすると次のようになります

「またしても夕食どきである。この状況での家族会議にはやや飽きた、という気もしつつ、ともかく政次郎は、「賢治」と、食事をやめさせ、菊池校長の話をかいつまんで伝えて~」

著者は( )内の言葉を独立させることによって、その言葉を強調するとともに、ユーモアを与えているのです この手法が随所に出てきます。これは門田氏特有の文体だと思います

父親の立場から書かれたこの小説を読むと、宮沢賢治に対して抱いていたイメージが相当変わります 宮沢賢治と言えば、「アメ二モマケズ カゼ二モマケズ・・・」の厳格な人間像を思い描きがちですが、頭が相当良い割にはダメ人間なところがあり、親近感を覚えます

この小説の最後に、賢治の死の2年後、政次郎が孫たち(賢治の妹シゲの子)に詩「アメ二モマケズ カゼ二モマケズ・・・」を読んで聞かせた後、「これは伯父さんが病気のとき、ふとんの上に正座して、手帳に書いたものなんだ。そのときは私も『病気に負けず、人間として完成したい』というような道徳的な意味だと受け取ったんだが、いまは違う しかつめらしい話でねぇべ。伯父さんはただ、鉛筆を持って、ことばで遊んでただけなんだじゃい」「だってそうでねぇが。雨にも負けず、風にも負けずなんて見るからに修身じみた文ではじまって、誰も文句のつけようがない立派なおこないばかり書きつらねたと思ったら、最後のところで『私はなりたい』。なーんだ、現実にそういう人がいるって話じゃなかったのか。ただの夢じゃないか こっちは拍子ぬけってわけだなハ」と語ります

私はこの詩を小学校で習ったのか、中学校で習ったのか忘れましたが、たしか道徳的な意味合いで習ったように記憶しています 今あらためてこの詩を読むと、たしかに個人の願望を言っているに過ぎないように思えます しかし、筆者は賢治に次のように言わせています

「おらはこれまで、口先だけの人間でした。詩人としては生きることの苦しみを書きつらね、教師としては『立派な農民になれ』と子供たちを叱咤してきた んだどもおら自身、ちっとも農民の苦しみを知らなかったのす。いまこそ、体で知らなければ

そして農学校の教師を辞め農業と文筆業に専念します こうしたことを考えると、賢治は実際に「アメ二モマケズ カゼ二モマケズ・・・」という生き方をし、それを全うしようと努力していたのだと思います

「直木賞」に恥じない、とても面白く 読み始めたら止まらない小説です。強くお薦めします

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ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘン・フィルのベートーヴェン「交響曲第8番」、ブラームス「交響曲第2番」のCDを聴いて ~ 「GREAT CONDUCTORS」(CD10枚組)から

2020年05月09日 07時15分51秒 | 日記

9日(土)。わが家に来てから今日で2047日目を迎え、愛知県が新型コロナウイルスの感染者延べ495人の非公開情報を県のウェブサイトに誤って掲載した問題で、県は8日、感染者の職業や会社名に加え、感染者のつながりについて家族や同僚のほか「愛人?」などと書き込んだメモも含まれていたことを明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     こういう致命的な失態は 今回でオワリにしないと尾張名古屋の名がすたるでよ

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 今や私の定番料理の一つになりました

 

     

 

         

 

いま、読書のBGMに「GREAT  CONDUCTORS」(偉大な指揮者たち:aura)という10枚組CDを片っ端から聴いています    次のような内容です

①ジョージ・セル:シューマン「交響曲第2番」他

②ジョン・バルビローリ:ヴォーン・ウィリアムス「交響曲第8番」他

③カレル・アンチェル:ドヴォルザーク「交響曲第9番」他

④ハンス・クナッパーツブッシュ:ベートーヴェン「交響曲第8番」他

⑤セルジュ・チェルビダッケ:シューベルト「未完成交響曲」他

⑥トーマス・ビーチャム:ベートーヴェン「交響曲第7番」他

⑦ウラディミール・デルマン:ブルックナー「交響曲第9番」

⑧ウォルフガング・サヴァリッシュ:ベートーヴェン「交響曲第4番」他

⑨ヘルマン・シェルヘン:ベートーヴェン「交響曲第5番」他

⑩ウィルヘルム・フルトヴェングラー:モーツアルト「交響曲第40番」他

 

     

     

 

すべてがライブ録音で、演奏後に拍手が入っています 昨日は5枚目まで聴きましたが、その中でダントツ1位で面白かったのは④ハンス・クナッパーツブッシュです

ハンス・クナッパーツブッシュ(1888-1965)はドイツ出身の指揮者です。とくにワーグナーやブルックナーの大家として名を馳せました 1951年から1964年まで、ほぼ毎年出演したバイロイト音楽祭では主幹的指揮者を務めました 彼は大変な練習嫌いで知られていました 第2次世界大戦中の爆撃で破壊され、1955年に再建されたウィーン国立歌劇場の再開記念公演で、リヒャルト・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」の上演の際には、練習場所のアン・デア・ウィーン劇場で、楽員に向かって「諸君はこの作品を良く知っています。私も良く知っています。それでは何のために練習するのでしょうか?」と言って帰ってしまった、というエピソードが残されています

このCDに収録されているのは①ベートーヴェン「交響曲第8番」、②ブラームス「交響曲第2番」で、オーケストラはミュンヘン・フィル、1956年10月18日のライブ録音です    クナッパーツブッシュ 68歳の時の演奏です

1曲目のベートーヴェン「交響曲第8番」は、第3楽章まではテンポも普通で順調に演奏が進みますが、第4楽章に入ると途端にペースダウンします 冒頭数小節などは ほとんど止まりそうです  指揮しながら居眠りしてしまったのか、と思うくらいです このペースで最後まで行ってしまいます

2曲目のブラームス「交響曲第2番」は、第1楽章は比較的緩やかなペースで進みますが、終盤にかけてさらにテンポが落ちます そして、この曲でも第4楽章が凄い。テンポがかなり揺れます。フィナーレは豪快です

クナッパーツブッシュと言えば、「ウィーンの休日」と題されたCD(1957年録音:LONDON)を思い出します クナッパーツブッシュがウィーン・フィルを振ってヨハン・シュトラウスのワルツやポルカを演奏しています CDの解説を今は亡きクナの崇拝者・宇野巧芳氏が書いていますが、収録された演奏を「いのちを賭けた遊び」と表現しています 実際に聴いてみるとそのことが実感できます 例えばコムザークのワルツ「バーデン娘」の演奏は、今のウィーン・フィルが演奏するウィンナ・ワルツの優雅で軽快な演奏とは180度反対側にあります 強靭なリズムと重厚な演奏に圧倒されます 指揮をしながらニヤリと笑うクナッパーツブッシュの顔が浮かぶようです

 

     

     

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METライブビューイング「さまよえるオランダ人」 ⇒ 上映延期 / 柚月裕子著「凶犬の眼」を読む ~ 正義の世界から仁義の世界へ移った警察官・日岡の物語

2020年05月08日 07時20分14秒 | 日記

8日(金)。昨日は新聞休刊日だったので、コーヒーを入れないクリープみたいな味気ない朝を迎えました 私にとって新聞は生活必需品です    ところで、お上から「外出自粛要請人間憐みの令」が出されて以来、外で歩く機会がめっきり減ってしまいましたが、昨日は整骨院と郵便局と買い物のハシゴで 久しぶりに目標の8,000歩をクリアしました 運動をするといっても なかなかできないので 歩くのが一番です

さて、「METライブビューイング」のホームページによると、5月8日から14日まで東劇ほかで上映予定だったワーグナー「さまよえるオランダ人」は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期となりました 上映開始日は決定次第ホームページで公開するとのことです   この公演は3月14日収録のはずなので、その頃のニューヨークは新型コロナウイルス感染がそれほど拡大していなかったのでしょう   なお、今シーズンで上演できなかったことから過去の公演を上映する予定だった第9作「トスカ」(2017‐18シーズン)と第10作「マリア・ストゥアルダ」(2012-13シーズン)は上演中止となっています

「第9回音楽大学フェスティバル」(3月29日)の中止に伴うチケット代払い戻しについては、チケットぴあ(新宿)で直接現金で払い戻す予定だったのですが、緊急事態宣言による営業自粛が5月末まで延長されたことから、郵送で請求手続きをすることにしました 必要事項をメモにしてチケットを同封の上、渋谷の ぴあメールセンター宛に特定郵便で送付しておきました これで終わったわけではなく、受付終了後3~4週間程度で「郵便振替払出証書」が届き、それを郵便局に提出して払い戻しになるのです 非生産的で面倒な事この上ないですね

新日本フィルから5月15日開催予定の「ルビー・コンサート」の中止に伴う払い戻し書類が届いたので、必要事項を記入しチケットを同封のうえ特定郵便で送付しました

ということで、わが家に来てから今日で2046日目を迎え、約1億年前の白亜紀にできた琥珀から、花粉を媒介していたと考えられる昆虫シリアゲムシの新種2種を見つけたと、中国などの国際研究チームが発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     誰でもいいから ”世界のオジャマムシ” トランプを 琥珀に閉じ込めてくれないか

    

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」を作りました 今回初めてシラタキを入れてみました。美味しかったです

 

     

 

         

 

柚月裕子著「凶犬の眼」(角川文庫)を読み終わりました 柚月裕子は1968年岩手県出身。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー 2013年「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞を、16年「孤狼の血」で第69回日本推理作家協会賞を受賞 本作「凶犬の眼」は映画化されて大ヒットした「孤狼の血」の続編にあたります

 

     

 

広島県呉原東署刑事の大上章吾が活躍した暴力団抗争から2年が経った 日本最大の暴力団である神戸の「明石組」のトップが暗殺され、日本全土を巻き込む壮絶な抗争が勃発した 首謀者は対抗争組織である「心和会」の一派「義誠連合会」会長の国光寛郎だった。一方、2年前に殉職した大上の薫陶を受けた日岡秀一巡査は、県北の駐在所に左遷され平穏な日々を送っていた そんな中、懇意のヤクザから建設会社の社長だと紹介された男が国光だと確信する 日岡は国光の身柄を拘束すれば刑事として復活できるかもしれないと目論むが、国光は「まだやることが残っている。目処が付いたら手錠を嵌めてもらう。約束する」と言う。国光の男気を感じた日岡は黙認することにとし、つかず離れずの距離を取りながら彼の行動を監視する。やがて国光は人質立てこもり事件を起こして、約束通り日岡に手錠を嵌められるが、抗争は刑務所の中でも続いていた

いまヤクザ同士の抗争と警察の世界を書かせたら柚月裕子の右に出る者はいないのではないか、と思うほど乗りに乗っています 「目的のためなら手段を選ばない」という大上(つまり狼)刑事の薫陶を受けただけあって、日岡はヤクザの国光と兄弟の盃まで交わします それは日岡が「正義」の世界から「仁義」の世界に移ったことを意味しているように思えます

最初のうちは田舎でくすぶる日岡の駐在生活が中心に描かれ、いつ物語が進展するのかとじりじりしますが、国光が現れた瞬間から大きく展開します 日岡にしても、国光にしても、「小料理や志乃」の晶子にしても、人間的魅力に溢れた人物描写が鮮やかです 前作「孤狼の血」も映画で観ましたが、「凶犬の眼」も映画化されるとのこと。是非観たいと思います 映画館を開けてください

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第18回ショパン国際ピアノ・コンクール ⇒ 2021年10月に延期 / 柚木麻子ほか著「注文の多い料理小説集」を読む

2020年05月07日 07時18分48秒 | 日記

7日(木)。昨日の日経朝刊によると、今年10月にポーランドのワルシャワで開かれる予定だった「第18回ショパン国際ピアノ・コンクール」は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて 2021年10月に延期となりました このコンクールは若手ピアニストの登竜門で、5年に一度開かれています 前回(2015年)の優勝者は韓国のチョ・ソンジン、その前の2010年はロシアのユリアンナ・アヴデ―エワでした ショパン・コンクールでの女性の優勝者は1965年のマルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりということで世界中のクラシック界の話題となりました

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2045日目を迎え、トランプ米大統領は5日、訪問先のアリゾナ州でABCニュースのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染を防ぐ外出規制を緩めて経済活動を再開した場合に、「いくらか(死者が)出る可能性がある」と語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       人が死のうが 大統領選で再選されるためなら 経済を最優先するのがトランプ流だ

     

         

 

昨日、夕食に「筑前煮」を作りました 久しぶりに作りましたが美味しく出来ました。和食はいいですね

 

     

 

         

 

「注文の多い料理小説集」(文春文庫)を読み終わりました この本は、柚木麻子、伊吹有喜、井上荒野、坂井希久子、中村航、深緑野分、柴田よしきの7人の作家による、料理にまつわる短編小説集です この中で、1冊でも作品を読んだことがある作家は柚木麻子だけです

 

     

 

この本は次の7編から成ります

「エルゴと不倫鮨」   柚木麻子

「夏も近づく」     伊吹有喜

「好好軒の犬」     井上荒野

「色に出りけり」    坂井希久子

「味のわからない男」  中村航

「福神漬」       深緑野分

「どっしりふわふわ」 柴田よしき

第1話「エルゴと不倫鮨」は、下心たっぷりの営業部長が部下の女子社員を誘い、イタリアンワインと創作鮨の会員制レストランで楽しんでいるところに、エルゴ紐で乳呑児を抱えた女性がやってきって、店の自慢の創作料理でないメニューを大声であれこれ注文し、いい雰囲気をぶち壊して去っていくという話です 柚木麻子の作品は、先日読んだ「BUTTEER」の時も感じたのですが、料理に関する知識と表現力においては第一人者と言っても過言ではないのではないか、と思うほどです もっとも、ろくに高級レストランに行ったこともない身にとっては、それがどんな料理でどんな味がするのか全く想像できませんが この小説は女性読者の方が読んだあとスカッとするのではないかと思います

第2話「夏も近づく」は、一人暮らしをする拓実が、兄の克也から、離婚した妻との間にできた中学生の息子・葉月を預かることになり、土鍋で炊いたご飯と竹の子で作った塩オニギリなど素朴な料理を一緒に食べていく中で交流を深めていく話です 子どもの頃は具なしの塩オニギリをよく食べたものです ところでオニギリとオムスビは同じだけど、どう呼んでますか

第3話「好好軒の犬」は、スランプに陥った作家・光一郎が、妻の書いた小説を自分で書いたものとして出版社に渡そうとするまでの話です 昼食に「蕗の薹の味噌汁」と「鮪の山掛け」と「出し巻き卵」と「玉ねぎと牛肉の切り落としをソースで炒めた料理」を作ったという箇所が出てきますが、美味しそうですね 最後の料理に使うソースはオイスターソースだろうな、と思ったりしました この奥さんが小説家としてデビューする話を読みたいと思いました


第4話「色に出りけり」は江戸時代という設定で、版画の摺り師の娘・彩が、金平糖に色を付けたら面白いと語ったことをキッカケに、大きな茶会で出す和菓子の色を相談される話です 和菓子は目で見て楽しんでから食べるので、色は重要な要素だと思います 静かな上品さを感じます


第5話「味のわからない男」は、食後「美味しすぎて涙を流す」ことが売りのグルメリポーターの岩元が、舌の感覚が無くなってしまう話です(コロナではありません)。宛先を間違えてメールを送信するとトンデモナイことになるという最後の場面は恐怖だと思いました 最後は本当の”泣きレポ”です


第6話「福神漬」は、貧乏大学生が お金がないばかりに食べ物がエネルギーを採るためだけの手段になってしまっていると嘆く中で、昔食べたカレーライスと福神漬けの味を思い出す話です 今でもありますね、肉もジャガイモも人参もほとんど入っておらず、水みたいなカレーライスを出す店が

第7話「どっしりふわふわ」 は、自分が学んだ専門学校でパンの主任講師を務める朋子が20歳年下のヒロから愛を打ち明けられ、一緒にベーカリーを経営しようと誘われる話です 「どっしり」と「ふわふわ」は二人が作るパンの食感を表しています 最後は「そう来たか」と思いました。この手法は一人の小説家が一度しか使えない奥の手だな、とも

 

         

 

昨日、読書のBGMに流したのはリパッティのピアノ曲集(5枚組CD)です ディヌ・リパッティは1917年 ルーマニア生まれのピアニストです。アルフレッド・コルトーに師事し数々の名演を残しましたが、1950年12月、33歳の若さでジュネーヴ郊外で病死しました このアルバムには、ショパン、シューマン、バッハ、ブラームス、スカルラッティ、モーツアルト、シューベルト他の演奏が収録されていますが、何と言ってもショパンの「ワルツ集:第1番~14番」(1950年録音)が素晴らしい これほど純粋でノーブル(高貴な)演奏があるだろうか、と思うほど素晴らしい演奏です

また、リパッティの演奏したシューマン「ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」については、4月9日付のブログ~青山通著「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた」でご紹介していますが、これも名曲名演奏です

 

     

     

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読響5月度コンサート ⇒ 中止 / NHK BS1スペシャル「外出自粛の夜に オーケストラ・孤独のアンサンブル」を観る ~ 楽団トップの演奏家が自宅で奏でるクラシック音楽

2020年05月06日 07時17分02秒 | 日記

6日(水)。読売日響のホームページによると、5月13、19、23、24日のコンサートは中止となりました 払い戻しについては、読響会員には郵便貯金事務センターから「郵便払出証書」を郵送するが、その時期は10月下旬までの郵送を目指すとしています これに関連して、「振替制度の特別ルール」を設定したとのことです。詳細はHPをご覧ください

ということで、わが家に来てから今日で2044日目を迎え、日本相撲協会は4日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の延長を受け、24日初日の夏場所を中止すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     コロナ山の不戦勝ってことかい? 目に見えない菌じ手を使われては勝てないよな

 

         

 

昨日、夕食に「里芋とイカの煮物」「キャベツの味噌汁」を作りました あとは前日の炊き込みご飯の残りです。「里芋とイカの煮物」は初挑戦ですが美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨日午後1時から、NHK-BS1で放映された「BS1スペシャル外出自粛の夜に  オーケストラ・孤独のアンサンブル」を観ました オーケストラのコンサートが中止になっている中、楽団員は揃っての練習が出来ず、各自が自宅にこもり 孤独と向き合っています この番組では在京オケのトップ演奏者7人が、それぞれの自宅でクラシックの名曲を演奏しています

トップバッターは東京都交響楽団のソロ・コンマス  矢部達哉氏 演奏するのはジュール・マスネ「タイスの瞑想曲」

2番手は東京交響楽団の首席クラリネット奏者・吉野亜希菜さん 演奏するのはチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」から「花のワルツ」

3番目はNHK交響楽団の首席トランペット奏者・長谷川智之氏 演奏するのはドニゼッティのオペラ「ドン・パスクワーレ」から第2幕前奏曲

4番目は新日本フィルの首席チェリスト・長谷川彰子さん 演奏するのはJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲第3番」から「ブーレ」

5番目はNHK交響楽団の第1コンマス・篠崎史紀氏 演奏するのはシューベルト(プシホダ編)「万霊節のための連祷」とハイドン「弦楽四重奏曲第77番」から

6番目は東京都交響楽団の首席オーボエ奏者・広田智之氏 演奏するのはサン=サーンスの「オーボエ・ソナタ」から第2楽章とグノーの「アベ・マリア」

7番目は東京フィルの副主席トロンボーン奏者・辻姫子さん 演奏するのは「アメイジング・グレイス」

7人の演奏家はそれぞれ自宅の部屋にカメラを設置して演奏を”自撮り”していますが、立派な防音装置付きの広い部屋で演奏する人もいれば、ごく普通のリビングのソファーに座って演奏する人もいて、それぞれです いずれにしても、演奏家の方々は 普段から 近所迷惑にならないように 周囲に気を使いながら練習しているんだろうな、と想像しました それぞれが、「いま音楽家としてやるべきことは?」と訊かれて答えていますが、私が一番強く印象に残ったのは「つらく大変な時期で、今 われわれは本当に求められているんだろうか? とか、音楽なんてやってる場合じゃないんじゃないか? と思うこともある    しかし、音楽家は音楽を信じてやっていくしかない、と思っている」という都響・広田氏の言葉です

どうでもいいことですが、気になったのは7人のうちN響と都響が各2人、東響と新日本フィルと東京フィルが各1人という人選です 人によっては「なぜ読響や日本フィルや東京シティ・フィルが選ばれていないのだ?」という向きもあるかもしれません だれがどういう基準で選んでいるのでしょうね

今回は7人の演奏家がソロで演奏したわけですが、私としては2人以上、願わくは4人以上のアンサンブルが聴きたいところです 「ソーシャル・ディスタンシング」が言われる中、一同に会して演奏するのは難しいとは思いますが、是非実現して欲しいと思います。さらに欲を言えば、早くコンサートを解禁して欲しい

 

         

 

昨日も1日中読書をして過ごしましたが、BGMに流したのはチェルカスキーのピアノ曲集(CD7枚組)です シューラ・チェルカスキー(1909-1995)はウクライナ出身のピアニストで、ロシア革命の勃発により家族とともにアメリカに亡命、カーティス音楽院で名匠ヨゼフ・ホフマンに師事しました 知的かつ華麗な演奏スタイルはホフマン譲りと言われています

 

     

 

私がチェルカスキーを初めて知ったのは、今はない近所のラーメン屋「映月軒」の店主Kさん(音楽之友社「週刊FM」編集担当から脱サラ)から「ヨゼフ・ホフマンという凄いピアニストがいる その弟子がチェルカスキーだ」と聞かされて、店の片隅にあるタンノイのスピーカーで両者の演奏をLPやCDで聴いた時でした

このCDにはショパン、シューマン、ベートーヴェン、リスト、ラフマニノフ、フランク、メシアン、ムソルグスキー、シューベルトなどが収録されていますが、私が特に好きなのはショパン(ソナタ、マズルカ、ノクターン他)です まさに知的で華麗かつ明快な演奏ですが、決して冷たくはありません

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N響6月定期演奏会 ⇒ 中止 / 林哲夫著「喫茶店の時代 あのとき こんな店があった」を読む ~ かつて中野に名曲喫茶「クラシック」があった

2020年05月05日 07時17分27秒 | 日記

5日(火)。NHK交響楽団のホームページによると、N響6月定期演奏会(全6公演)と7月4日の「オラトリオ『箱舟』」は中止となりました 一方、読売日響の5月13日の定期演奏会については、現況では実施するとは思えませんが、まだ何の発表もありません 読響の場合は振替制度が複雑な(手厚い)こともあり調整が難しいのかもしれません。それはそれとしてN響は発表が早いです これで、どうしても聴きたかったマーラー「交響曲第9番」が聴けなくなってしまいました 何のためにN響会員になったのか とても残念です

ということで、わが家に来てから今日で2043日目を迎え、著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイは2日、年次株主総会を開いたが、2020年1~3月期決算は約5兆円の赤字となり、バフェット氏は「世界が変わる」として、保有していた米航空株式を全て売却したと明かした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     経営が低空飛行を続けるならまだよかったけど  額が飛んだ話になってしまった!

 

         

 

昨日、夕食に「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」「炊き込みご飯」「ジャガイモの味噌汁」を作りました たまには炊き込みご飯も良いものです

 

     

 

         

 

林哲夫著「喫茶店の時代  あのとき  こんな店があった」(ちくま文庫)を読み終わりました     林哲夫は1955年香川県生まれ。武蔵野美術大学卒。画家、著述家、装填家。2002年に本書「喫茶店の時代」で尾崎秀樹記念大衆文学研究賞受賞

 

     

 

この本を買った動機は、喫茶店に興味があったからです とくに名曲喫茶と言われるクラシック音楽を流す喫茶店には興味を惹かれます そんなわけで、最初に「はじめに」を読んだわけですが、すぐに後悔し始めました そこにはこう書かれていました

「『喫茶店の時代』と題した本書は、実のところ、喫茶店の本ではない。まず、これは喫茶店案内ではないし、経営の指南書でもない。それならば、喫茶店文化史ではないのか、と問われれば、結果的にそういう性格になったことを否定するつもりはないが、文化史を編むことが目的ではなかった 本書はひとつのコレクションである。子どもたちが牛乳瓶の蓋やきれいな小石を集めるのとまったく異ならない。喫茶店という文字を見つけると嬉しくなってメモしていく。喫茶店の写真や絵もできるだけ手許にため込んでいく。そういった遊びの延長にできあがったのがこの本なのである

あちゃー と思いました。後悔先に立たず、です    しかし、せっかく買ったのだから読まねば損だ、とばかりに目次に目を通してみました

「喫茶店出現まで」

「薬局からカフェへ」

「代用コーヒーの系譜」

「カフェー列伝」

「喫茶店の時代」

「音楽喫茶」

「戦後喫茶店の概観」

という文字が並んでいます    どうやらこの本は、コーヒーと喫茶店に関する雑学的知識をまとめた書籍のようです    この本を読んで次のようなことを初めて知りました

①日本最古の珈琲店は、明治21年(1888年)に上野・下谷に開店した「可否茶館(かひーさかん)」というのが定説である

②コーヒーの語源には2つの有力な説がある。一つはエチオピアの地名カッファからきたというもの、もう一つはアラビア語のカフワが変化したというもの カフワとは酒の別称だったが、その意味は「取り去る」であり、飲酒が食欲を取り去ることからそう呼ばれ、眠気を取り去るコーヒーも同じ発想でカフワと呼ばれるようになったと推定されている

「カフェー列伝」には面白いエピソードが書かれています 明治44年(1911年)に銀座4丁目交差点にオープンしたカフェー・ライオンは、1階がビアホール、2階がレストランと余興室、3階は個室から成っていましたが、精養軒の経営だけに洋食の評価が高く、数多くの文化人も通ったといいます 店のもう一つの大きな特徴は、女給が揃いの白いエプロンを着け、幅広のリボンを背中で結び、美人が多いことで有名だったということです その女給たちが顧客たちをどう見ていたかを相撲の番付表のようにした資料が銀座社発行「銀座」の大正4年(1925年)8月号に「カフェライオン鼻つまみ番付」として掲載されているとのことです それは次のようなものです

〇両大関

村松正俊(1日に8遍も来るから)

原  貢(紅茶1杯で6時間もいるから)

〇関脇

酒井真人(弱いくせに喧嘩をするから)

〇前頭(一部だけ紹介)

辻  潤(酔うと女に抱きつくから)

広津和郎(店のことを小説に書くから)

尾崎士郎(宇野千代に飲み代を貰ってくるから)

山田耕筰(金もないくせに特別室に入るから)

吉井 勇(エッヘッへと笑うから)

コーサク先生、お金なかったんですか? 「この道は~ いつか来た道~ 」ですか? 先生に限らず、客層は昔も今も変わらないような気がします

「喫茶店の時代」の小見出しに出てくるのは、「青木堂」「ミルクホール」「パウリスタ」「ブラジルとブラジレイロ」「不二家」「コロンバン」「モナミ」「千疋屋」「中村屋」「南天堂」「らんぼお」「ユーハイム」等です この中で分かるのは「不二家」「千疋屋」「中村屋」ぐらいで、あとは何となくどこかで聞いたことがある程度です

次に「音楽喫茶」の小見出しに目を通すと、「ミュージック・ホール」「電気蓄音機」「クラシック」「ジャズ・エイジ」「フォーク」「うたごえ」とあります

「電気蓄音機」では、エジソンが音を記録再生できる機械フォノグラムを発明したのが1877年(明治10年)で、ほぼ同じ頃、エミール・バーリナーも平円盤を用いる装置グラモフォンを開発していた、と解説しています そして、加太こうじの説を紹介します。「昭和10年前後の音楽喫茶はおおよそ3種に大別される。それはレコードの種類と女給のサービスによって分類できる ①名曲喫茶=ベートーヴェン、ショパンなどを聴かせ、女給は令嬢スタイルで必要な用件以外は客とほとんど会話を交わさない ②軽音楽喫茶=タンゴ、ワルツ、シャンソン、ジャズなどをかけ、女給は町娘スタイル。会話は比較的多かったが、客はソファに座り、女給は立っていた ③社交喫茶=特殊喫茶ともいう。カフェーが名称を変更したもの。浪花節、歌謡曲などをかけ、女給は客の横に腰かけて酒の酌をした。チップも必要だったが、10銭スタンドなどに対抗し、安価で呑める形態をとっていた いずれの喫茶店もレコードを聴かせるのが看板で、昭和5年(1930年)頃から、電気蓄音機が普及し始めるにつれて増えてきた新商法だった」。どうやら、音楽喫茶には女給(ウェイトレス)が付きものだったようですね。初めて知りました

さて、この本の中で一番身近に感じたのは「クラシック」です ここでいうクラシックとは中野にあった「クラシック」という名前の名曲喫茶のことです この本によれば、五木寛之がこの「クラシック」を初めて訪れたのは早稲田大学露文科に入学した昭和28年(1953年)のことだったといいます

「クラシック」の主人は因幡と名乗ったが、本名は熊本県生まれの洋画家・美作七朗氏。昭和5年(1930年)に高円寺に音楽喫茶「ルネッサンス」を開業、戦時中は「古典」と改名して営業を続けたが、戦災で焼失、敗戦を経て、昭和20年(1945年)9月には中野へ移り「名曲喫茶クラシック」として再開した。平成元年(1989年)に病没。享年82だった。経営は娘の良子が引き継いだが、平成17年(2005年)にその死とともに閉店。老朽化した店舗は取り壊された

私が初めて「クラシック」に行った時の衝撃は忘れられません 古色蒼然たる外観で、中に入ると煉瓦造りの室内はほの暗く、2階に上がると床がミシミシいいました 床板の隙間からは下が見え、踏み外したら落ちると思いました 壁には美作七朗氏の絵画がかかっていますが、暗くて良く見えません 飲み物はコーヒー、紅茶、ジュースだけ。驚いたのはコーヒーの受け皿に載せられていた小さなミルク・ピッチャーです。ステンレスでも陶器でもありません。何やら内側がギザギザしています よーく見ると、キューピーマヨネーズのキャップでした 「リユース、リデュース、リサイクル」・・・当時から「クラシック」は環境にやさしい喫茶店でした 名曲喫茶というと、かかっているレコードはベートーヴェンやモーツアルトを思い浮かべますが、私が訪ねた時に流れていたのはホルストの「惑星」でした その数年後に訪ねた時もなぜか「惑星」がかかっていました 同じ人が数年後に同じ曲をリクエストした・・・などというストーリーはミステリー小説にしか登場しません

 

     

 

私が不満に思ったのは、あまりにも有名な渋谷の名曲喫茶「ライオン」がまったく紹介されていなかったことです

「ジャズ喫茶」で興味深かったのは、昭和43年(1968年)にアメリカ海軍横須賀基地から盗んだピストルで連続射殺事件を引き起こした永山則夫(ご存知「無知の涙」)が、逮捕される直前まで新宿歌舞伎町の「ビレッジバンガード」でアルバイトをしており、その時ボーイとして同じ店で働いていたのがビートたけしだったことです たけしと永山はほとんど口もきいておらず、たけしは「暗いあんちゃん」としか思わなかったそうです もっとも別の従業員によると、たけしも「暗いあんちゃん」だったそうですが

この本は、小見出し単元ごとに詳細な「脚注」が付されていますが、全体の半分を占めるほどの分量です 私は、これをすべて読んでいったら いつまでたっても読み終わらない と思ったので、「脚注」はすっ飛ばして読み進めて行きました 内容によってはこういう読み方も仕方ないかな、と思います

コーヒーや喫茶店の歴史から、それにまつわるエピソードに至るまで、幅広く興味のある向きには強くお薦めします

 

         

 

昨日の読書のBGMはハンガリー出身のチェリスト、ヤーノシュ・シュタルケルのチェロ曲集(CD6枚組)でした ハイドン、シューマン、サン=サーンス、ドヴォルザークのチェロ協奏曲や、バッハの無伴奏チェロ組曲、コダーイの無伴奏チェロ・ソナタ、バッハのアリオーソ等の小品ほかが収録されています 十八番のコダーイはもちろんのこと、シューマンとサン=サーンスの協奏曲も素晴らしいです

 

     

     

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「どうする『新型コロナ後』の文化振興策」 ~ 日経「文化時評」から / ルイージ ✕ オポライス ✕ N響の「4つの最後の歌」 / 東野圭吾「素敵な日本人」、井岡瞬「冷たい檻」他を買う

2020年05月04日 07時18分01秒 | 日記

4日(月)。昨夜9時過ぎに たまたまテレビを点けたら NHK-Eテレでリヒャルト・シュトラウス「4つの最後の歌」が演奏されていました    新聞の番組表を見ると「クラシック音楽館」という番組で、今年1月22日にサントリーホールで開かれたN響第1932回公演の録画映像でした 歌っているのはMETライブビューイングの「マノン・レスコー」や「蝶々夫人」のヒロインを歌ったラトヴィア出身のソプラノ歌手、クリスティーヌ・オポライス、指揮はファビオ・ルイージです コンマスはウィーン・フィルの元コンマスで現在 N響ゲスト・コンマスを務めているライナー・キュッヒル氏です 「4つの最後の歌」はリヒャルト・シュトラウス(1865-1949)が最晩年の1848年に作曲したソプラノ独唱とオーケストラのための作品です 第1曲「春」を聴いていて「いいなあ」と思っていると、第2曲「九月」がさらにいいのです そして第3曲「眠りの前に」がもっと良くて、第4曲「夕映えの中で」でとどめです オポライスは抜群のコントロールで作曲者最晩年の諦念の想いを歌い上げます タクトを持たずにオポライスをサポートするルイージの指揮も素晴らしい 生演奏が聴けないので、こういう番組は慰めになります 次の曲「英雄の生涯」が始まったのでスイッチを切りました。こういう誇大妄想的な作品はパスします サントリーホールでコンサート聴きたい

ということで、わが家に来てから今日で2042日目を迎え、動静が3週間近く途絶えていた北朝鮮の金正恩委員長が1日、北朝鮮西部・平安南道で肥料工場の竣工式に出席したが、一方、3日午前7時40分ごろ南北朝鮮軍事境界線付近の南側にある韓国側の監視所に向け、北朝鮮側から数発の銃撃があった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        トランプ君も文在寅君も コロナばかり相手にしないで 僕と遊んで!  金誤恩より

 

         

 

昨日の日経「The STYLE / Culture」の「文化時評」に、「どうする『新型コロナ後』の文化振興策」と題する日経編集委員・瀬崎久見子さんの時評が掲載されていました 超訳すると、

「新型コロナウイルスの感染拡大により、収入を絶たれた俳優や音楽家ら 多くの団体や個人が補償や給付を求めているが、芸術文化にかかわる人が安心できる状況にはなかなかならない   対して海外からは、例えばドイツに暮らす日本人芸術家が、オンラインで申し込んで1週間以内に数十万から百万円を受け取れた、などという話がいくつも伝わってくる    なぜここまで違うのか。日本は『文化予算が少ない』『芸術が軽視されている』のかもしれないが、それだけではなく、助成の仕組みも関係していると思われる    早稲田大学の藤井慎太郎教授によると、欧州各国に限らず、オーストラリア、シンガポール、香港でも支援策は出されていて、政府のほか自治体やアーツカウンシルのような助成機関がそれぞれ対策を立てるケースも多いという 公的助成より寄付が中心といわれる米国でも、民間の非営利団体が政府の代わりを果たし、芸術を支援しているという 日本にも文化庁や『芸術文化振興基金』などの助成機関があり、メニューも多様だが、特定のオーケストラや劇団が運営費を得られるわけではなく、個々の公演の赤字補填が基本で、イベント助成ともいえる プロでもアマチュアでも応募できる極めて公平で『薄く広い』支援だが、これが既存の芸術団体の弱体化を招いたという批判もある 一方、公的資金や寄付などで少なからぬ『団体助成』を得ている欧米の劇場やオーケストラは、感染症による公演の中止の間、有料、無料を織り交ぜたさまざまな動画配信(METライブビューイング等)をした 同様の仕組みは日本にもあるが、収益につなげる仕組みが未整備な上、アーカイブの量に圧倒的な差がある イベント中心の日本の文化助成の下では、芸術団体が総じて弱小になり、映像のような新しいプロジェクトに容易に挑戦できない これを機に、日本の文化助成の仕組みを、ゼロベースで構築し直してはどうか 現代の各国の芸術支援策の一つの手本になっているのは、1946年に発足した英国の『アーツカウンシル』だ 芸術団体を審査し、助成先を決め、財政難に陥った団体の財務の立て直しをはかることもある 10年に一度、中長期的な目標を立て、それに沿った芸術を重点的に支援しているという 賛否があるが、それを理解した上で、日本の新しい文化振興策を模索すべきだ しかし、すべてお上まかせで作るべきものではない。今こそ芸術家でも、プロデューサーでも誰でもいい。『こういう芸術に税金を投入すべきだ』という案を、どんどん世に問うべきだ それは『ヒットが期待できる芸術』なのか、『社会に問題提起する芸術』なのか、あるいは『地域社会に役立つ芸術』なのか、さまざまな議論が生まれるといい うまくまとまる保証はないが、手をこまねいていても芸術の危機は終わらないし、特に舞台芸術は生き残れない そして全国にある大小さまざまな劇場が、廃墟と化してしまうだろう

この時評を読んで思ったのは、日本でも コロナの影響で中止に追い込まれたコンサートやオペラを無観客で実施し配信する方策が取られてきたものの、ほとんどが無料配信であり、収入面では直接的なメリットが全くないという実態です これを有料配信に結び付けることが出来れば、米国のメトロポリタン歌劇場の「METライブビューイング」のように、ある程度 安定的な収入源の一つとして期待できると思います

また、瀬崎さんが指摘している英国の『アーツカウンシル』の仕組みを日本でも導入できないか、とも思います 支援先を「浅く広く」ではなく、「芸術団体を審査し、助成先を決め、財政難に陥った団体の財務の立て直しをはかるところまで面倒をみる」という方式は、限られた資金の中では団体間の競争にもなるので 個々の団体にとっては厳しいかもしれませんが、優れた芸術活動をする団体にとっては「実力発揮のチャンス」となり、支援が決まれば中長期的に経営の安定が保証されるようになると思います

さらに、先日のブログにも書いたように、行政には あくまでもオーケストラや劇団等は「人が財産である」ことを踏まえて「今そこにある危機」に対応してほしいと思います

 

         

 

早くも手許の本が底を突きかけてきたので、本の買い出しに行こうと池袋のジュンク堂書店の営業時間をホームページで調べたら「5月2日~10日は臨時休業になります」と書かれていました。「あんだって 」と思わず志村けん口調になってしまいましたが、紀伊国屋書店、三省堂書店などを調べてみても同様で、大型書店はほとんどが新型コロナウイルスの影響で休業中であることが分かりました 最初はコンサートが次々と中止となり、次に映画館が休館となり、ついには書店までが閉店となってしまいました 私の3つの目標がすべて否定されてしまったようで、腹が立って「日本の文化はどこに行ってしまったんだ  責任者を出せ」と叫んでみましたが、今の日本は責任者不在のようで誰も出てきません 「こうなったら あそこに行くしか手はない」と即断した私は、巣鴨駅近くのS堂書店に行きました。大型書店が閉まっていても、地元の小さな書店は開いていました 本の種類や数は限られているものの、探せば読みたい本が見つかるものです 地元の商店は大切にしなければならないと 思った次第です

ということで、さっそく本を5冊買いました 1冊目は東野圭吾著「素敵な日本人」(光文社文庫)です 東野圭吾氏の本はほとんど買ったことがないのですが、これを機会に読んでみようと思いました

 

     

 

2冊目は井岡瞬「冷たい檻」(中公文庫)です 井岡瞬の作品は今年に入って集中的に読みました。これは文庫最新作です

 

     

 

3冊目は門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社文庫)です これはかなり前、新聞の書評に載っていました

 

     

 

4冊目は堂場瞬一著「孤狼 刑事・鳴沢了」(中公文庫)です 意外にも この人の作品を読むのはこれが初めてかも知れません

 

     

 

5冊目は万城目学著「パーマネント神喜劇」(新潮文庫)です    彼の作品を読むのは久しぶりです

 

     

 

いずれも読み終わり次第、このブログでご紹介していきます

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10月6日の「フォーレ・クァルッテット」公演は発売日:調整中 ⇒ 実施か? 延期か? 中止か? / 昨日のBGMはフォーレの室内楽~カプソン兄弟ほか

2020年05月03日 07時22分19秒 | 日記

3日(日)。「ゴールデンウィーク」は英語ではありません 知ってました?  昨日の朝日新聞朝刊のコラム「ことば/サプリ」によると、「ゴールデンウィーク」は1950年代に日本の映画界が、盆や正月以上に客が増える春の連休中に大作を封切るようになり、キャンペーンで使われ始めたと言われているそうです 日本の祝日でできている連休のため、海外にゴールデンウィークはなく、一種の和製英語といえるとのことです。NHKではこの言葉を使わず「大型連休」などと表現していますね 今年の大型連休は「ゴールデンウィーク」どころではなく「コロナウィーク」になってしまいました

ということで、わが家に来てから今日で2041日目を迎え、トランプ米大統領は30日の記者会見で、中国が初期対応を誤った結果、新型コロナウイルスが世界に拡散したとして、同国に損害賠償を含めた報復措置を検討していることを明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大統領選を意識して 自分の初期対応の失敗を中国に責任転嫁してるのは明らかだ

 

         

 

10月6日(火)はフォーレ四重奏団の結成25周年記念コンサートが予定されています プログラムは①フォーレ「ピアノ四重奏曲第1番ハ短調」、②ベートーヴェン「ピアノ四重奏曲変ホ長調」、③ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番ハ短調」です 「たしか4月30日がチケット発売日だったな」と思い出して、昨日トッパンホールのホームページで確認したら、「発売日:調整中」と表示されていました 予定通りやるのか、中止になるのか、延期されるのか、まったく予測が出来ませんが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が10月のコンサートまで及んでいるのか、と愕然としました 海外からの来日アーティストの公演は、パレルモ・マッシモ劇場にしても、エリーナ・ガランチャにしても、1年後に延期される方向なので、フォーレ四重奏団の場合も、もし延期されるようなら1年後という線が強いような気がします どうなるのか、時々トッパンホールのホームページをチェックするしかないようです

 

         

 

毎日、音楽を聴きながら読書に勤しんでいますが、昨日のBGMはフォーレの「弦楽とピアノのための作品全集」(2010年)でした 「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」「ピアノ三重奏曲」「ピアノ四重奏曲」「ピアノ五重奏曲」などを収録をした5枚組CDです 演奏はカプソン兄弟(ヴァイオリンとチェロ)、アンゲリッシュ(ピアノ)、ダルベルト(同)ほかです いずれもエスプリに満ちた素晴らしい演奏です

 

     

     

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新日本フィル定期(5/15、16日) ⇒ 中止 、モーツアルト・マチネ(5/23) ⇒ 中止 、「ガランチャ リサイタル」(5/23、28)中止 / 須賀しのぶ著「革命前夜」を読む

2020年05月02日 07時24分27秒 | 日記

2日(土)。新日本フィルのホームページによると、5月15、16日にすみだトリフォニーホールで開催予定のルビー定期演奏会は中止となりました。とても残念です

ミューザ川崎のホームページによると、5月23日に同ホールで開催予定の東響「モーツアルト・マチネ」公演は中止となりました。これもとても残念です

テイト・コーポレーションのホームページによると、5月23日、同28日にすみだトリフォニーホールで開催予定の「エリーナ・ガランチャ  リサイタル」は中止 ⇒ 延期となりました    現在、振替公演の調整中で日程が決まり次第HPその他で周知するとしていますが、現状では振替日程は2021年5月の予定とのことです     詳細は6月上旬をめどに発表するとのことですが、1年後だと何があるか分かりません 一旦払い戻しするのがベターだと思います

ヴォートル・チケットセンターのホームページによると、5月14日、同21日、6月11日、同18日に東京藝大奏楽堂で開催予定の「藝大モーニングコンサート」は中止となりました これについては、同センターから事前に連絡があり、セット券購入者には払戻請求書をまとめて送付してくれることになっています いずれにしても、聴くだけのわれわれはともかく、演奏予定だった学生の皆さんが可哀そうです またチャンスはあります。くじけず頑張って欲しいです

これにより、私に関わる中止公演は62件(うち延期6公演)となりました まだ続きます

昨日、Mさんからメールが入り、「これから連休に入るのに手許に読むべき本が1冊もない 読み終わった本があれば回して欲しい」という内容でした Mさんは私の現役時代から読了後の本を引き取ってもらっている人です。仕事帰りに巣鴨駅まで引き取りに来るというので、夕方5時40分に約束して、選んだ本を駅で手渡すことにしました 文庫本とはいえ25冊は結構 重いです まあ、いい”重いで”になるでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2040日目を迎え、夏を軽装で過ごし、冷房を控える「クールビズ」が1日に始まった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     毎日 変化が激しい天気に”狂うビズ”と呼びたい  羽田首相の半袖ジャケが懐かしい  

 

         

 

昨日、夕食に「ニラ玉」「生野菜サラダ」「スペアリブ」「ジャガイモと玉ねぎの味噌汁」を作りました スペアリブは前回と違う味付けで焼きました

 

     

 

         

 

須賀しのぶ著「革命前夜」(文春文庫)を読み終わりました    須賀しのぶは上智大学文学部史学科卒。1994年「惑星童話」でコバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞しデビュー 2016年「革命前夜」で第18回大藪春彦賞を受賞など受賞多数

 

     

 

舞台は1989年、ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ ピアニストを目指す青年・眞山柊史は、昭和から平成に元号が変わったその日に渡独しドレスデン音楽大学に留学する まさにバブル絶頂期の日本から冷戦末期の閉塞的な東ドイツに飛び込んだ眞山は、同世代の個性的な音楽家たちと出会う 激しい気性で自己中心的だが才能は抜群のハンガリー出身のヴァイオリニスト、ヴェンツェル。彼とは対照的に正確無比の演奏をする紳士的でイケメンのヴァイオリニスト、イェンツ。北朝鮮からの留学生・李、ヴェトナムからの女子留学生・スレイニェット。彼らとの付き合いを深める中、眞山は 町の教会で圧倒的な演奏を披露する美しいオルガニスト、クリスタと出会う 一目ぼれした眞山は彼女に接近するが、彼女はなかなか心を開こうとしない。彼女は他人に明かせない秘密を抱えていた 彼女は国家保安省(シュタージ)の監視対象だった ヴェンツェルはピアノのパートナーに李を選び練習を重ねるが、李は彼の自己中心的態度に怒りを覚え、彼と決別する その後釜として眞山が狙われ、文句を言いながらも素晴らしい演奏を繰り広げ喝采を浴びる しかし、眞山もあまりにも身勝手な彼と喧嘩別れしてしまう すると、ヴェンツェルは以前彼の伴奏をしていたスレイニェットをピアニストとして再び選ぶ。その一方で、ヴェンツェルはいつの間にかクリスタと共演し、その場で結婚宣言までしてしまう 眞山も、李も、スレイニェットも怒り心頭に達する そんなヴェンツェルは敵が多かった。ある日、彼は何者かに刺される

この小説は、主人公の眞山がピアニストで、音楽の本場ドイツ、しかもバッハゆかりの東ドイツに留学するということから、バッハの作品を中心に数多くの音楽が登場します バッハ「平均律クラヴィーア曲集」第1巻、同「深き淵より、我、汝に呼ばわる」、リスト「前奏曲」、フランク「ヴァイオリン・ソナタ」・・・そして、極め付きは東ドイツ建国40周年記念日の1989年10月7日に上演されるベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」です 言うまでもなく、ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」は、政治犯として拘留されている夫を救出するため、主人公レオノーレが男性に変装し、フィデリオと名乗って監獄に潜入する物語です 抑圧されていた人々が解放されるというストーリーのオペラ「フィデリオ」ほど『革命前夜』に相応しい音楽はないでしょう しかも、作曲者はドイツ人のベートーヴェンです 著者のセンスが光っています

この小説にはタイトルの「革命前夜」が2か所に登場します 最初は眞山が月曜夜にニコライ教会に行った時、市民グループのヴィックに「君も『革命前夜』に加わらないか」と誘われるシーンです。つまり、反体制市民グループの名前として登場します 2度目はラストシーンで、ヴェンツェルが作曲したピアノとオルガンのための曲のタイトル『革命前夜』として登場します 強いて言えば、3つめはベルリンの壁が崩壊した1989年11月9日を指していると思われます その日、それまで東ドイツ市民の大量出国の事態にさらされていた東ドイツ政府が、その対応策として旅行及び国外移住の大幅な規制緩和の政令を「事実上の旅行自由化」と受け取れる表現で発表したことで、その日の夜にベルリンの壁に市民が殺到し、混乱の中で国境検問所が解放され、翌11月10日にベルリンの壁の撤去作業が始まったのでした

この小説は、ベルリンの壁崩壊という歴史的史実に寄り添いながら、一人の若き日本人音楽家の成長を描いた460ページを超える傑作です 連休中に是非お読みください

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