人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新日本フィル定期(5/15、16日) ⇒ 中止 、モーツアルト・マチネ(5/23) ⇒ 中止 、「ガランチャ リサイタル」(5/23、28)中止 / 須賀しのぶ著「革命前夜」を読む

2020年05月02日 07時24分27秒 | 日記

2日(土)。新日本フィルのホームページによると、5月15、16日にすみだトリフォニーホールで開催予定のルビー定期演奏会は中止となりました。とても残念です

ミューザ川崎のホームページによると、5月23日に同ホールで開催予定の東響「モーツアルト・マチネ」公演は中止となりました。これもとても残念です

テイト・コーポレーションのホームページによると、5月23日、同28日にすみだトリフォニーホールで開催予定の「エリーナ・ガランチャ  リサイタル」は中止 ⇒ 延期となりました    現在、振替公演の調整中で日程が決まり次第HPその他で周知するとしていますが、現状では振替日程は2021年5月の予定とのことです     詳細は6月上旬をめどに発表するとのことですが、1年後だと何があるか分かりません 一旦払い戻しするのがベターだと思います

ヴォートル・チケットセンターのホームページによると、5月14日、同21日、6月11日、同18日に東京藝大奏楽堂で開催予定の「藝大モーニングコンサート」は中止となりました これについては、同センターから事前に連絡があり、セット券購入者には払戻請求書をまとめて送付してくれることになっています いずれにしても、聴くだけのわれわれはともかく、演奏予定だった学生の皆さんが可哀そうです またチャンスはあります。くじけず頑張って欲しいです

これにより、私に関わる中止公演は62件(うち延期6公演)となりました まだ続きます

昨日、Mさんからメールが入り、「これから連休に入るのに手許に読むべき本が1冊もない 読み終わった本があれば回して欲しい」という内容でした Mさんは私の現役時代から読了後の本を引き取ってもらっている人です。仕事帰りに巣鴨駅まで引き取りに来るというので、夕方5時40分に約束して、選んだ本を駅で手渡すことにしました 文庫本とはいえ25冊は結構 重いです まあ、いい”重いで”になるでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2040日目を迎え、夏を軽装で過ごし、冷房を控える「クールビズ」が1日に始まった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     毎日 変化が激しい天気に”狂うビズ”と呼びたい  羽田首相の半袖ジャケが懐かしい  

 

         

 

昨日、夕食に「ニラ玉」「生野菜サラダ」「スペアリブ」「ジャガイモと玉ねぎの味噌汁」を作りました スペアリブは前回と違う味付けで焼きました

 

     

 

         

 

須賀しのぶ著「革命前夜」(文春文庫)を読み終わりました    須賀しのぶは上智大学文学部史学科卒。1994年「惑星童話」でコバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞しデビュー 2016年「革命前夜」で第18回大藪春彦賞を受賞など受賞多数

 

     

 

舞台は1989年、ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ ピアニストを目指す青年・眞山柊史は、昭和から平成に元号が変わったその日に渡独しドレスデン音楽大学に留学する まさにバブル絶頂期の日本から冷戦末期の閉塞的な東ドイツに飛び込んだ眞山は、同世代の個性的な音楽家たちと出会う 激しい気性で自己中心的だが才能は抜群のハンガリー出身のヴァイオリニスト、ヴェンツェル。彼とは対照的に正確無比の演奏をする紳士的でイケメンのヴァイオリニスト、イェンツ。北朝鮮からの留学生・李、ヴェトナムからの女子留学生・スレイニェット。彼らとの付き合いを深める中、眞山は 町の教会で圧倒的な演奏を披露する美しいオルガニスト、クリスタと出会う 一目ぼれした眞山は彼女に接近するが、彼女はなかなか心を開こうとしない。彼女は他人に明かせない秘密を抱えていた 彼女は国家保安省(シュタージ)の監視対象だった ヴェンツェルはピアノのパートナーに李を選び練習を重ねるが、李は彼の自己中心的態度に怒りを覚え、彼と決別する その後釜として眞山が狙われ、文句を言いながらも素晴らしい演奏を繰り広げ喝采を浴びる しかし、眞山もあまりにも身勝手な彼と喧嘩別れしてしまう すると、ヴェンツェルは以前彼の伴奏をしていたスレイニェットをピアニストとして再び選ぶ。その一方で、ヴェンツェルはいつの間にかクリスタと共演し、その場で結婚宣言までしてしまう 眞山も、李も、スレイニェットも怒り心頭に達する そんなヴェンツェルは敵が多かった。ある日、彼は何者かに刺される

この小説は、主人公の眞山がピアニストで、音楽の本場ドイツ、しかもバッハゆかりの東ドイツに留学するということから、バッハの作品を中心に数多くの音楽が登場します バッハ「平均律クラヴィーア曲集」第1巻、同「深き淵より、我、汝に呼ばわる」、リスト「前奏曲」、フランク「ヴァイオリン・ソナタ」・・・そして、極め付きは東ドイツ建国40周年記念日の1989年10月7日に上演されるベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」です 言うまでもなく、ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」は、政治犯として拘留されている夫を救出するため、主人公レオノーレが男性に変装し、フィデリオと名乗って監獄に潜入する物語です 抑圧されていた人々が解放されるというストーリーのオペラ「フィデリオ」ほど『革命前夜』に相応しい音楽はないでしょう しかも、作曲者はドイツ人のベートーヴェンです 著者のセンスが光っています

この小説にはタイトルの「革命前夜」が2か所に登場します 最初は眞山が月曜夜にニコライ教会に行った時、市民グループのヴィックに「君も『革命前夜』に加わらないか」と誘われるシーンです。つまり、反体制市民グループの名前として登場します 2度目はラストシーンで、ヴェンツェルが作曲したピアノとオルガンのための曲のタイトル『革命前夜』として登場します 強いて言えば、3つめはベルリンの壁が崩壊した1989年11月9日を指していると思われます その日、それまで東ドイツ市民の大量出国の事態にさらされていた東ドイツ政府が、その対応策として旅行及び国外移住の大幅な規制緩和の政令を「事実上の旅行自由化」と受け取れる表現で発表したことで、その日の夜にベルリンの壁に市民が殺到し、混乱の中で国境検問所が解放され、翌11月10日にベルリンの壁の撤去作業が始まったのでした

この小説は、ベルリンの壁崩壊という歴史的史実に寄り添いながら、一人の若き日本人音楽家の成長を描いた460ページを超える傑作です 連休中に是非お読みください

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