24日(日)。昨日の朝日朝刊のコラム「ことば サプリ」が「コロナ禍(か)」を取り上げていました 最近よく見かけるようになった言葉ですが、同紙 校閲センター・丹羽のり子さんは次のように解説しています
「『禍』はわざわい、災難のこと。新型コロナウイルスへの強い不安や市民生活への影響の大きさが字面から伝わってくるようだ 『禍』のつく言葉は、古くから『戦禍』『輪禍』『舌禍』といった漢語の形で使われてきた。『輪禍』は交通事故のこと。『舌禍』は今なら『失言』のほうが身近だろうか。『新型コロナウイルス感染拡大の影響で』のような長い書き出しを避けようとして、新聞を含めた活字メディアが便利に使いだした合成語が『コロナ禍』と言える ただ、『渦中』という言葉があるためか、『禍』は『渦』と間違えやすいので注意 『禍』と同様、『わざわい』と訓読みする字に『災』がある。『漢字ときあかし辞典』によると、『災が主に運命による災害を指すのに対して、禍は人間の営みによって引き起こされるものまで含めていうのが、この2つの違い』とのこと」
「災いを転じて福となす」とは災害が発生するたびに よく言われてきた言葉ですが、新型コロナウイルスの感染がこれから収束に向かおうとするとき、「禍を転じて福となす」ように社会をもっていかなければならないですね
ということで、わが家に来てから今日で2062日目を迎え、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため閉鎖されている礼拝施設の再開について、トランプ米大統領は22日 記者会見し、全米の州知事に対し、教会などの礼拝施設を即時再開させるよう要求した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
大統領選での宗教団体からの支持を意識した発言であるのは明らか 知事は拒否か
井岡瞬著「冷たい檻(おり)」(中公文庫)を読み終わりました 井岡瞬は1960年東京都生まれ。2005年に「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞し作家デビュー 代表作の「代償」は45万部をこえ、「悪寒」は25万部を超えるベストセラーになっている
物語の舞台は北陸にある人口1万人弱の 取り立てて名所もない過疎の村、岩森村。その中に、払い下げられた「かんぽの宿」の建物を使い、中国資本「星河(シンホー)」が開設した、老人介護・青少年更生・児童養護の3部門とクリニックを併設する複合ケアセンター、通称「施設」がある そんな小さな村から、駐在所の警察官・北森が忽然と姿を消した 実は北森は公安関係者だったことから、1カ月後、警察に関係するある組織から調査を命じられた調査官の樋口透吾が岩森村にやってくる。北森の後任として駐在所に勤務する巡査部長の島崎は、警察官でもない得体のしれない樋口に戸惑いを感じながらも彼の調査を手伝うことになる 調べるうちに、一見平和そうに見えるこの村で、密かにとんでもないことが行われていることが判明する 施設の老人が崖から転落死したり、ぼや騒ぎが起きたり、農機具が盗まれたり・・・そして遂に殺人事件が発生する 一連の事件は誰がどうして引き起こしたのか 最後に、事件を引き起こした彼らこそが犠牲者だったことが判明する
井岡瞬の作品はこれまで「代償」「桜も咲かない季節」「もしも俺たちが天使なら」「乙霧村の七人」「痣(あざ)」「悪寒」と続けて読んできましたが、この「冷たい檻」はこれまで彼の”代表作”と言われてきた「代償」を超える最高傑作かもしれないと思いました 主な舞台が複合型ケアセンターであることから、登場人物が老若男女問わず数多く登場し、主要な登場人物が語り手を変えながら物語が進んでいきますが、そえぞれの人物描写が優れているので、話が混乱することがありません この作家の確かな構成力と筆力を感じます 580ページを超える大作ですが、一気読み必至です。お薦めします
読書のBGMに流すCDとして昨日から聴き始めたのは「ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 設立450年記念アルバム(1998年発売・4枚組CD:ドイツ・グラモフォン)」です
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(スターツカペレ・ドレスデン)は1548年、ザクセン選帝侯の宮廷楽団として設立され、1998年に創立450年を迎えた歴史と伝統のあるオーケストラです
今からン十年前にヘルベルト・ブロムシュテットの指揮でリヒャルト・シュトラウスの「ティル オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」を聴いた時の感激は今でも忘れられません それ以来、このオケの大ファンになり、来日するたびに聴きに出かけました
このアルバムにはリヒャルト・シュトラウス、シューベルト、モーツアルト、シューマン、ウェーバー、ベートーヴェン、ワーグナーといった いわゆる”ドイツもの”が中心に収録されています 指揮者はカール・べーム、カルロス・クライバー、コリン・デイヴィス、ベルナルト・ハイティンク、ジュゼッペ・シノーポリ、小澤征爾、ジェイムズ・レヴァインといったお馴染みの顔ぶれです
1枚目に収録されているリヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」のフィナーレにおけるオクタヴィアン、マルシャリン、ゾフィーの三重唱をカール・べームの指揮で聴いて、鳥肌が立つほど感動を覚えました リヒャルト・シュトラウスの音楽は 誇大妄想的であまり好きではないのですが、「ばらの騎士」だけは例外です こんなに素晴らしいオペラがあるのだろうか、と思うほどです