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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

8月13日の東響定期「マタイ受難曲」 ⇒ 中止 / ライアン・ジョンソン監督「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」 & レジス・ロワンサル監督「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」を観る

2020年07月22日 07時19分51秒 | 日記

22日(水)。昨夜、東京交響楽団からメール配信があり、今年3月28日に開催予定で8月13日に延期となっていた「第678回 定期演奏会(マタイ受難曲)」は、チケット完売となったが、収容人数に関するガイドラインが緩和されておらず、アマチュア合唱団を伴う合唱作品を安全に開催することが困難であることに鑑み、中止することになったとしています 真夏のマタイを期待していただけにとても残念です

ということで、わが家に来てから今日で2121日目を迎え、トランプ米大統領は10日、自信がマスクを着用したモノクロ写真をツイッターに投稿し、「他人との距離が取れない時、マスクの着用は愛国的だと多くの人が言っている。私ほど愛国的な人物はいない」と書き込んだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     新型コロナ世界一の感染者377万人 死者14万人で 愛国的な大統領が聞いて呆れる

 

         

 

昨日は土用丑の日だったので、夕食は「鰻丼」と「肝吸い」にしました。あとは浅漬け(キュウリ、カブ、大根、ナス、人参)です 鰻は長焼きを娘と半分こしました

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」と「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」の2本立てを観ました

「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」はライアン・ジョンソン監督による2019年フランス・ベルギー合作映画(105分)です

世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生パーティーが彼の豪邸で開かれた その翌朝、家政婦フランがハーランの死体を発見する 匿名の人物から捜査の依頼を受けた名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は、事件の調査を進めていく 莫大な遺産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師といった屋敷にいた全員が事件の第一容疑者となったことから、裕福な家族の裏側に隠れた様々な人間関係があぶり出されていく

 

     

 

この作品は「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」を監督したライアン・ジョンソンが、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を書いたオリジナルの密室殺人ミステリーです

私立探偵ブノワを演じるのは「007」シリーズでお馴染みのダニエル・グレイグです。マッチョなジェームズ・ボンドが私立探偵に転身とは驚きです

死亡したハーランの家族は、長女リンダ夫妻、リンダの息子ランサム、次男ウォルト一家、亡き長男の妻子、年齢不詳の母ナナです 家族はそれぞれ問題を抱えていてハーランから叱責を受けています ハーランが唯一心を許していたのは家族でもない専属看護師マルタでした。誕生パーティーの後、いつもの習慣でマルタはハーランに薬を投与しますが、間違えてモルヒネを大量に投与してしまったことに気が付きます 10分以内に拮抗薬を注射しないとハーランが命を落としてしまうとマルタはパニックに陥ります 余命いくばくもないハーランは、家族よりも信頼のおけるマルタが困らないように、一大決心をし、マルタに大芝居を打つように言い残し自害します この時点で、事件はマルタの薬の誤投与をキッカケとするハーランの自殺であることが明らかになりますが、ブノワは、誰かが2種類ある薬の瓶の中身を入れ替えていたことを見抜きます その犯人こそ、ブノワに捜査を依頼した人物だったのです

事件の解決のカギは、マルタは嘘をつくと嘔吐する癖があることです ブノワは彼女の癖を利用し、誘導尋問で生前ハーランが彼女に伝えていた家族の醜聞を聞き出し、事件の真相に迫ります

ハーランによる遺言状に「すべての遺産はマルタに相続する」と書かれていることが弁護士から告げられると、家族たちはマルタに「今まであなたに良くしてきたのだから、よく考えて相続を放棄すべきだ」と迫ります。この辺は、お金がからむと人間は欲に駆られて汚くなるという、よくある話を描いています

さて、音楽です ブノワがハーランの年齢不詳の母ナナに、夜中に誰か見なかったか、と訊くシーンがあります その時バックに流れていたのはヴェルディのオペラ「椿姫」第1幕の終盤でヴィオレッタがアルフレードに惹かれる自分に気づいて真実の愛を得た喜びを歌うアリア「ああ、多分、あの方なのよ」です つまり、ナナさんが夜中に見たのは「あの方」(真犯人)だったというわけです

 

         

 

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」はレジス・ロワンサル監督による2019年アメリカ映画(131分)です

フランスの人里離れた村にある洋館に、オスカル・ブラック著による全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた ロシア語担当のカテリーナ、スペイン語担当のハビエル、ドイツ語担当のイングリット、中国語担当のチェン、ポルトガル語担当のテルマ、英語担当のアレックス、イタリア語担当のダリオ、デンマーク語担当のエレーヌ、ギリシア語担当のコンスタンティノスの9人です 翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく しかし、ある夜 出版社のエリック・アングストローム社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く 犯人は9人以外に考えられない。果たして誰の仕業か

(以下、ネタバレ注意)

 

     

 

この映画は、世界的なベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説「ロバート・ラングドン」シリーズの出版秘話をもとにしたミステリー映画です シリーズ第4作の「インフェルノ」出版時に、違法流出防止のため各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離して翻訳を行ったという前代未聞のエピソードを題材に映画化しています

9人の翻訳家たちは洋館に閉じ込められる際にインターネットの使用を禁止されているので、こういう犯罪は単独ではできないだろうと思っていましたが、案の定、9人のうち1人が洋館に入る前に他の4人に話を持ち掛け共犯者になっていたのです それは元原稿が入ったアングストロームのカバンを通勤電車内で偽物とすり替え、コピーを取った上でまた彼のもとに戻すという計画です この計画は実行され成功します これで真相は判明したと思いきや、驚くべきはその後の展開です 実は「デダリュス」の作者はオスカル・ブラックではなかった 「本は売れれば良い」と商業主義に徹し、自分の父親同然だったフォンテーヌ(オスカル・ブラックを名乗っていた)を殺したアングストロームに対する真の作者の復讐だったのです

予想外のどんでん返しに、ただただ唖然としました

この映画では、シューベルトの「アヴェ・マリア」が流れましたが、残念ながらどのシーンか思い出せません

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アニエス・ヴァルダ監督「落穂拾い」を観る ~ フランス各地で物を拾って生活する人々を描いたドキュメンタリータッチのロードムービー

2020年07月21日 07時06分50秒 | 日記

21日(火)。わが家に来てから今日で2120日目を迎え、米司法省は14~17日、3人の死刑囚の刑を相次いで執行したが、連邦政府による執行は17年ぶりで、トランプ氏の大統領選のキャンペーンの一環だと見られている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     新型コロナ死亡者世界一の次は死刑復活か  トランプの独断で犠牲者が増える一方

 

         

 

昨日、夕食に 息子が山形から送ってくれた「金華豚みそ漬け」をアルミホイル焼きにし、「厚揚げのケチャップしょうが焼き」「生野菜とワカメのサラダ」「大根の味噌汁」を作りました 金華豚は味が閉じ込められて美味しかったです 息子に、下の写真を添付して「美味かったよ」というメールを送っておきました

 

     

 

         

 

昨日、神保町の岩波ホールでアニエス・ヴァルダ監督・脚本・語り・編集による2000年フランス映画「落穂拾い」(82分)を観ました

岩波神保町ビル1階のチケット売場でチケットを購入し、エレベーターで10階へ。受付で手指のアルコール消毒と検温をして、チケットの裏に名前と電話番号を記入し、そのままボックスに入れます 席は自由席ですが、座れるのは60席のみです。午前10時半上映の部の入場者は12名でした

 

     

 

この映画はフランス各地で物を拾って生活する人々を描いたドキュメンタリータッチのロードムービーです

ヴァルダ監督はパリの市場で、道路に落ちている物を拾う人たちを見ていて映画の着想を得たといいます その後、いろいろな市場で人々の拾い集める動作を観察しているうちに、ミレーの名画「落穂拾い」を連想し、田舎ではまだ落穂拾いをしているのだろうかという疑問にかられ、ハンディカメラを手に フランス各地の「現代の落穂拾い」を探す旅に出かけます ある時は、ジャガイモ畑で、ある時はブドウ畑で、ある時は海辺で(牡蠣)、食物を集めて生活する人々を、また ある時はゴミ箱や粗大ごみ廃棄場からガラクタを集めてきて芸術作品を創り上げる人々を取り上げ、なぜ彼らが「落穂拾い」をしながら生活をするのかをインタビューします その一方で、農地の管理人や地主に 彼らが残り物を持ち去ることをどう思っているのかをインタビューし、その上で法律家に法律上の見解を聞き出し、「食物の場合は 収穫が終わった後なら、それらを拾って食用にしたり売り物にしても罪にならない」ことを明らかにします あるイシューについて一方の立場だけでなく、別の立場の考え方も併せて提示することは、ジャーナリズムの鉄則ですが、その意味で バルダ監督はジャーナリスティックなアプローチで「現代の落穂拾い」を捉えています

この映画で一番印象に残るのは、ヴァルダ監督もナレーションで語っていますが、映画の終盤に登場する、市場で野菜を漁ってその場で食べているベジタリアンの男性です 彼は大学院を修了したにも関わらず、給料収入が少ないため、野菜やパンを漁って食費を浮かせています ところが、そんな生活をしながらも、彼は難民のためにボランティアでフランス語を教えているのです こういう彼の生き方にリスペクトの思いを抱くとともに、ある信念に基づいて 心身のバランスを取りながら生きているのだろうか、と思ったりしました

現代の「落穂拾い」をする人たちが共通して主張するのは、「まだ食べられるのに廃棄してしまう」「まだ使えるのに捨ててしまう」社会に対する告発です

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タランティーノ監督「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を観る ~ レオナルド・ディカプリオ ✕ ブラッド・ピット ✕ マーゴット・ロビーの豪華な協演:エンドロールまで見逃せない

2020年07月20日 07時21分21秒 | 日記

20日(月)。わが家に来てから今日で2119日目を迎え、共同通信の世論調査によると、森友学園問題を巡り公文書改ざんを強制され、近畿財務局職員・赤木俊夫氏が自殺したとされる問題について、政府は再調査する必要があるとの回答が82.7%に上った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     当然の結果だ  雅子夫人の指摘通り  安倍首相は調査する側でなく される側にいる

     

         

 

昨日、早稲田松竹でクエンティン・タランティーノ監督による2019年アメリカ映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(161分)を観ました

テレビ俳優としての人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、リックを支える付き人でスタントマンのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らすリックと、いつも自分らしさを失わないクリフは対照的だったが、2人は固い友情で結ばれていた リックの暮らす家の前の豪邸に「ローズマリーの赤ちゃん」などを手掛けて一躍時代の寵児となった気鋭の映画監督ロマン・ポランスキーと、その妻で新進女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)が最近引っ越してきていた 今では悪役しか回ってこない落ち目のリックは、今まさに光り輝いているポランスキー夫妻を目の当たりにして、自分も俳優として再び輝くため、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することに同意する そして、1969年8月9日、彼らを巻き込むある事件が発生する  (以下、ネタバレ注意)

 

     

 

この映画は、当時流行っていたご機嫌な歌が全編を通して流れます 私が解るのは「ミセス・ロビンソン」「カルフォルニア・ドリーミング」ぐらいなものでしたが、とにかく、これらの歌が楽しい映画に仕立て上げています そして、シャロン・テートはカラフルなミニスカートに白いブーツでゴーゴーダンスを踊ります    まさにあの時代を切り取った作品であることを認識させられます また、クリフに投げ飛ばされてしまうブルース・リー(の そっくりさん)が出てきたり、雑誌「プレイボーイ」の総師ヒュー・ヘフナーの豪邸ではスティーヴ・マックイーン(の そっくりさん)が登場したりして、いかにも当時のハリウッド映画界の雰囲気を醸し出します

さて、1969年8月9日といえば、チャールズ・マンソン率いるカルト集団の信徒たちが、シャロン・テートの屋敷に押し入り、妊娠8か月の彼女を惨殺した日です 映画を観ている誰もが、信徒たちが屋敷に近づいた時、「間もなく彼女が惨殺されるシーンを見ることになるはず」と 手に汗握るのですが、タランティーノ監督は(良い方に)期待を裏切ります    信徒たちはテートの屋敷ではなく、なぜか隣家のリックやクリフの住む家に押し入るのです その結果、悲惨な返り討ちに遇うことになります。ある者はクリフの飼い犬に噛み千切られ、ある者はリックの火炎放射器で焼きつくされてしまいます

この映画はエンドロールが終わるまで目が離せません リックによるタバコのCM映像が流れます。リックがタバコを吸いながら登場し、リックの等身大の姿の看板の前で「うまい これを吸ったら、ほかのタバコは吸えない」と持ちあげるのですが、「カット!」の合図があると、「くそまずいタバコだ」と言って投げ捨て、看板を見て「(自分の顔が)二重顎になってるぜ」と文句を言って看板を倒して去っていきます これが本当の「看板倒れ」か このあたりはタランティーノらしいラストだと思います

 

     

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「みみずくは黄昏に飛びたつ 川上未映子 訊く / 村上春樹 語る」 を読む ~ 川上の鋭いツッコミにユーモアで応える村上のインタビュー / アベノマスク使ってますか? ⇒ 「いいえ」が95%

2020年07月19日 07時18分18秒 | 日記

19日(日)。昨日の朝日朝刊別刷り「be」の「between 読者とつくる」コーナーは「『アベノマスク』使ってますか?」というテーマでした 政府が全世帯に2枚配布した布マスク、いわゆる『アベノマスク」について「使っていますか?」という読者アンケートをしたところ、回答1863人のうち95%が「いいえ」と答えたということです

その理由は、「小さい」=913人、「使い捨てが入手できる」=690人、「無駄の象徴だから使いたくない」=553人、「首相以外であまり見たことがない」=550人、「ストックとして保存」=513人、「自家製で間に合う」=428人、「衛生面が不安」=384人、「洗うのが面倒」219人(以上、複数回答)となっています

たしかに「小さい」し、「首相以外であまり見たことがない」のが実情です

「無駄の象徴だから使いたくない」の自由コメントには、「マスクに使う金があれば、自動のPCR機器や防護服がどれほど購入できたか」という意見があったそうです 政府はマスクに260億円もの税金を投入しています。コメントはまったくその通りだと思います

「そのマスク、どうした?」との問いには、「家に置いてある」=1355人、「寄付した」=94人、「緊急持ち出し袋の中」=53人、「ほしい人にあげた」52人などとなっています

また、「アベノマスク」事業に反対が91%で、菅官房長官の「アベノマスク配布でマスク全体の需給改善、価格反落」の発言に「全く同意できない」が74%だったということです

このアンケートを見る限り 非常に残念な結果で、「アベノマスク」というよりは「アベノ増す苦」としか言いようがありません 国民の税金を使う事業を 一握りの人間の「思いつき」でやってもらっては困ります

ところで、同じアンケートを読売新聞や産経新聞が実施したら、傾向は同じようなものだと思いますが  相当違う数字が出てくると思います

ということで、わが家に来てから今日で2118日目を迎え、黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を圧迫されて亡くなった事件をきっかけに広がった人種差別への抗議デモを受け、エスパー国防長官は17日、すべての米軍施設で、南北戦争で南部連合が使った旗を掲揚することを事実上禁止し、南軍旗の使用を擁護しているトランプ大統領と一線を画した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大統領選での敗戦が濃厚になってきたトランプに反旗を翻す幹部が増えていくか

 

         

 

「みみずくは黄昏に飛びたつ   川上未映子 訊く / 村上春樹 語る」 (新潮文庫)を読み終わりました   村上春樹は1949年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。「風の歌を聴け」(群像新人文学賞)でデビュー 「海辺のカフカ」「1Q84」「騎士団長殺し」など著書多数。川上未映子は1976年、大阪府生まれ。2007年にデビュー小説「わたくし率 イン 歯ー、または世界」が第137回芥川賞候補になる。2008年「乳と卵」で第138回芥川賞受賞。著書多数

 

     

 

この本は、川上未映子が村上春樹に行った4度にわたる合計13時間に及ぶインタビューに、その2年後に当時を振り返って5度目の短いインタビューをした内容を付け加えたものです

村上氏が巻末の「インタビューを終えて」に、

「次々に新鮮な鋭い(ある場合には妙に切実な)質問が飛んできて、思わず冷や汗をかいてしまうこともしばしばだった 読者の皆さんも本書を読んでいて、そういう『矢継ぎ早感』をおそらく肌身に感じ取ってくださるのではないかと思う

と書いていますが、まさにその通りだと感服します 10代の頃から村上氏のファンだったという川上は、村上春樹の初期のエッセイから最新の長編まで、すべての作品と資料を精読し、決死の思いでインタビューに臨んでいます 時に村上氏が「そんな昔のこと覚えていないよ」と答えると、川上は「〇〇に書いてあります」と資料を基に指摘します さすがの村上春樹もたじたじになっている様子が目に浮かぶようです

村上氏の発言で興味深いものがいくつもあるのですが、「読者を眠らせないための、たった2つのコツ」というのがあります それは次のような内容です

「文章を書くときの基本方針はほとんど2つしかない 一つはゴーリキーの『どん底』の中で、乞食だか巡礼だかが話している時、一人が『おまえ、俺の話、ちゃんと聞いてんのか』と言うと、もう一人が『俺はつんぼじゃねえや』と答える 普通の会話だったら、『おまえ、俺の話聞こえてんのか』『聞こえてら』で済む会話だ。でもそれではドラマにならない。『つんぼじゃねえや』と返すから、そのやり取りに動きが生まれる。単純だけどすごく大事な基本だ もう一つは比喩のこと。チャンドラーの小説で、『私にとって眠れない夜は、太った郵便配達人と同じくらい珍しい』というのがある これは何度も言っていることだが、もし『私にとって眠れない夜は稀である』だと、読者はとくに何も感じない。普通に読み飛ばしてしまう それが『太った郵便配達人と同じくらい珍しい』というと、『へぇ!』と思うだろう。『そういえば、太った郵便配達人って見かけたことないよな』みたいに。それが生きた文章なのだ そこに反応が生まれ、動きが生まれる。この2つのコツさえつかんでいれば、けっこういい文章が書ける。ハッとさせる文章ばかりで埋める必要はないけど、何ページかに一つはそういうのを入れなくちゃいけない。そうしないと読者はなかなかついてこない

次に「文体は心の窓である」という発言も興味深いものがあります 村上氏は語ります

「小説を書くというのは一種の信用取引だから、1回失われた信用を取り戻すのはとても難しい 時間をかけて、『この人の書くものなら、お金を払って買って読んでみよう』という信用を築いていかなくてはならないし、その信用を維持していかなければならない。そのためには文章を丁寧に磨くことが大事になる 自分は文体がほとんど一番重要だと思うが、日本のいわゆる『純文学』では、文体というのは3番目、4番目ぐらいにくるみたいだ だいたいはテーマ第一主義で、まずテーマ云々が取り上げられ、それからいろんなもの、例えば心理描写とか人格設定とか、そういう観念的なものが評価され、文体というのはもっとあとに問題になる。でも、文体が自在に動き回れないようでは、何も出てこないだろうというのが自分の考えだ

村上春樹の作品を読むと、確かに彼特有の文体があります これに関して川上が、「わたしなんかも文体でしたよね。『乳と卵』という小説に関しても文体のことしか言われないぐらいの感じだった」と語ると、村上は「あれ、文体のことしか言うことないよ。良い意味で。文体がすべての小説だと思うし、素晴らしい達成だと思う」と返します。読者はここに二人の共通点を見い出します

「文体」とともに、村上氏の「文章」に対する執念にはもの凄いものがあります 彼はパソコンで原稿を書いているらしいのですが、紙にアウトプットする前の段階で、第6稿まで書き直し(全てのバージョンを保存!)、それからプリントアウトし、その「ゲラ」に さらに校正作業を重ねるといいます プロの小説家はこういうものでしょうか 私などは、このブログを例にとると、見直しをせずにアップすることは決してありませんが、せいぜい第3稿止まりです

上にご紹介したのは興味深いインタビューのほんの一部です このほか 少年期の記憶、意識と無意識、フェミニズムについて、死後の世界のこと、創作上の秘密 等々 様々なテーマが取り上げられています 是非、本書を手に取って川上未映子の鋭いツッコミと、ユーモアを交えて答える村上春樹の応戦ぶりを堪能していただきたいと思います

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太田弦 ✕ 田部京子 ✕ 新日本フィルでベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第1番」、シューベルト「交響曲 第8番 ”グレイト” 」を聴く ~ ルビー・シリーズ第32回定期演奏会

2020年07月18日 07時27分06秒 | 日記

18日(土)。昨日は午前中、近所のOクリニックに行って「特定検診」(健康診断)を受けてきました 身体測定、採血(前立腺がん検診を含む)、肺のレントゲン、心電図など一通り検査しましたが、特に問題はないようです。最終結果は後日知らせてくれるとのこと また、「眼底検査」も必要とのことで、紹介状を書いてもらい、その足で駅近くのAクリニックに行き、検査を受けてきました あとは結果を待つだけです

ということで、わが家に来てから今日で2117日目を迎え、トランプ米大統領は15日、11月の大統領選に向けた選挙対策本部のブラッド・パースケール本部長を降格させると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     諸悪の根源はトランプなんだから 選対本部長を代えたって 支持率は上がらないよ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のから揚げ」を作りました 鶏肉を栗原はるみ先生のレシピによる「うまみ醤油」(ニンニク、ショウガ、削り節入り)に漬けこんで揚げたので、美味しくできました

 

     

 

         

 

山形県鶴岡市に単身赴任している息子から山形県産「平牧金華豚みそ漬け」が送られてきました 給料の半分近くを家賃、電気・ガス・水道・NHK受信料などの公共料金、社内預金などで持っていかれ、厳しい家計の中を送ってくるので、お礼のメールで「無理をしないように」と付け加えておきました 返信には「今年の夏は帰省できそうもないので、お土産がわりに送った」と書かれていました 地方のアパートに一人住まいをして、炊事・洗濯など何から何まで自分でやらなければならない状況に置かれ、親の苦労が少しは分かってくれているのだと思います 家事いっさいを親に任せて自宅通勤し、自分の給料から出すのはモコタロの食事代だけという娘にも、少しは弟を見習ってほしいと思いますが、健康で働いていることだけでも良しとしなければならないのかな、とも思います

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「ルビー(アフタヌーン  コンサート・シリーズ)第32回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15」、②シューベルト「交響曲 第8番 ハ長調 D944  ”グレイト” 」です 演奏は①のピアノ独奏=田部京子、指揮=太田弦です 当初、ピアノはアンヌ・ケフェレック、指揮は上岡敏之の予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う出入国制限により来日出来なくなったため代演となったものです

会場入口で手指のアルコール消毒をし、自分でチケットの半券を切り、プログラムを取って入場します。座席は一人おきの市松模様です。今やこれがコンサートの「ニューノーマル」です

オケのメンバーが入場すると 会場から拍手が沸き起こりました ほぼ5か月ぶりの再会に際してエールの拍手です 弦楽奏者とティンパニ奏者は全員グレー系のマスクを着用しています。コンマス・チェ氏の合図で全員で一礼し着席します コロナ禍前にはなかった習慣です。オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの編成です ざっと見渡すと、オーボエに 最近まで東京藝大で教鞭を執っていた小畑善昭氏が、チェロのトップには東京交響楽団を昨年引退した西谷牧人氏がスタンバイしています  注目すべきは、弦楽奏者の譜面台です。いつもは2人で1つの譜面を見て演奏するのですが、ステージ上のソーシャルディスタンスを図るため1人1台を使用します

国内外のピアノ・コンクールで入賞歴のある実力派ピアニスト・田部京子が白のマスクとマリン・ブルーの鮮やかな衣装で登場、ピアノに向かいます 1994年生まれ、今年26歳の若手指揮者・太田弦が飛沫拡散防止のためのフェイス・シールドを着用して指揮台に上がります

1曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1794年から95年にかけて作曲(1800年に改訂)、1795年にウィーンで初演されました 第2番より後に作曲されましたが、出版が8か月早かったので第1番として数えられています 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「ロンド:スケルツァンド」の3楽章から成ります

第1楽章は管弦楽による序奏が長く、まだモーツアルトの影響が窺えます おもむろにピアノのソロが入ってきますが、田部のピアノは高音部がキラキラ輝いてとても美しい 先日、東響と協演したベートーヴェンの第3番の協奏曲でも感じたのですが、演奏に作為を感じません 正統派という言葉が浮かびます 終盤のカデンツァはベートーヴェンの作曲によるものだと思いますが、ものすごく長く感じました 聴きごたえのある素晴らしい演奏でした 第2楽章は相当ゆったりしたテンポで進められます 中盤のクラリネットとピアノの掛け合いが楽しく聴けました 第3楽章は一転、軽快なテンポにより推進力に満ちた演奏が展開、新しい時代を切り開こうとするベートーヴェンの意欲を感じさせました

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「交響曲 第8番 ハ長調  D944 ”グレイト” 」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1825年頃から28年にかけて作曲しました 1838年に自筆譜がシューマンによって発見され、翌39年にライプツィヒでメンデルスゾーンの指揮により初演されました したがって、シューベルトは生前この曲の演奏を聴いていません

第1楽章「アンダンテ~アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ~トリオ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

第1楽章冒頭は2本のホルンにより幕が開きますが、私の頭にあるテンポより若干速めでした この楽章を聴いていて感心したのは、この指揮者は良く低弦を鳴らしているな、ということで、バランス感覚の良さを感じました 第2楽章冒頭は、小畑氏のオーボエが冴えわたりました オーボエと言えば、プログラム7月号に、首席オーボエ奏者の古部賢一氏が3月末で退団し、東京音楽大学准教授に就任したというニュースが載っていました 4月からは客員首席奏者として演奏するとのことです。もう一人の首席だったオーボエの金子亜未さんはすでに読響に移ってしまったし、大丈夫か、新日本フィル 第3楽章のスケルツォと第4楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェを聴いていて、「何と長い曲なんだろう」と今さらながら感じました この曲が「グレイト」と呼ばれているのは、「偉大な」という意味ではなく、同じハ長調で書かれた「第6交響曲」と比べて「規模が大きい方の交響曲」という意味であることは周知のことですが、そのスケールの大きな曲想は「偉大な」という意味でも通用するのではないか、と思ってしまいます その一方、この曲の演奏時間は全体で55分の前後ですが、ほぼ同じくらいかかるマーラーの「交響曲第1番」と比べると、シューベルトの第8番の方が長く感じます これは、マーラーの音楽は目先がクルクル変わり新鮮さが持続するのに対し、シューベルトの音楽は同じメロディーが執拗に繰り返され、まだ続くのかと思うからだと考えます

そういうことがあるにしても、太田弦は溌剌とした指揮ぶりで新日本フィルから熱狂的な演奏を引き出しました 新日本フィルの創設者、世界の小澤征爾だって昔は若かったのです 頑張れ、太田弦 頑張れ、新日本フィル

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クリント・イーストウッド監督「リチャード・ジュエル」を観る ~ 未然に事件を防いだ英雄から一転、爆弾テロ犯に仕立て上げられた警備員の真実の物語

2020年07月17日 07時41分45秒 | 日記

17日(金)。わが家に来てから今日で2116日目を迎え、政府が22日に始める観光支援策「Go  To  トラベル」キャンペーンについて、赤羽国土交通相は16日、新型コロナウイルスの陽性者が増大している実情を受けて、東京都発着の旅行や、都内在住者を対象から外す方向で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会に諮ることを記者団に明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     政府と東京都のバトルは 「Go  To  トラブル」キャンペーンに発展しそうな感じだ

 

         

 

昨日の夕食は、勝浦のS君が送ってくれた秋刀魚を塩焼きにし、「マグロの山掛け」「生野菜とアボカドのサラダ」「ホウレン草のお浸し」「ジャガイモと玉ねぎの味噌汁」を作りました 昨日の日経朝刊によると、北海道釧路市の地方卸売市場で15日、全国に先駆けて秋刀魚の初競りが行われ、これまで最も高かった2018年の値札を更新したそうです 釧路市漁協の担当者の話では、量が少ないので高値になったとのことです 千葉県はどうだったでしょう。いずれにしても貴重な秋刀魚です   とても美味しくいただきました

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールでクリント・イーストウッド監督による2019年アメリカ映画「リチャード・ジュエル」(131分)を観ました

1996年、オリンピックを開催中のアトランタで、警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)が、センテニアル公園で不審なリュックを発見する 中には無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾が入っていた 多くの人々の命を救い 一時は英雄視されるジュエルだったが、現地の新聞社とテレビ局が彼を容疑者であるかのように実名報道し、FBIがジュエルを第一容疑者として捜査を開始したことから彼を取り巻く状況は一変する FBIは誘導尋問、家宅捜査などによりジュエルを追い詰めていく一方、メディアによる連日の過熱報道により、ジュエルの人格は全国民の前で貶められていく そんな状況に異を唱えるべく、ジュエルと旧知の弁護士ワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)が立ち上がる ジュエルの母ボビ(キャシー・ベイツ)も記者会見で息子の無実を訴える。ついにFBIは証拠を挙げることができず、ジュエルの無実が明らかになり、その後、真犯人が逮捕される

 

     

 

この映画は、巨匠クリント・イーストウッドが1996年のアトランタ・オリンピック爆破テロ事件の真実を描いたサスペンス・ドラマです

監督のイーストウッドは今年90歳を迎えるそうですが、こういう「知られざる真実」を掘り起こし、感動のドラマを作り上げる手腕はまったく衰えていません

この作品を通してイーストウッド監督が主張したかったことは、捜査権力としてのFBIの恐ろしさ、そして、捜査対象者の人権を無視してまでスクープのために過熱報道に走るマスコミの「メディア・スクラム」問題です 「第一発見者を疑え」というのは捜査の鉄則でしょうが、容疑者の過去を洗い出すうちに、「過去にこういうことをやった人間は、絶対こういう事件を引き起こす」と決めつけるようになり、結論ありきで そのための自白を求めて罠を仕掛けることになる、という恐ろしさがあります    日本の検察・警察でもでっち上げ事件がありました    また、「メディア・スクラム」については、1996年の当時こそ「マスコミ」が前面に出ていますが、SNSが社会に広まった現代においては、マスコミと並んで、匿名による誹謗中傷が空間を飛び交っています フェイク・ニュースでも瞬く間に広がってしまい、取り返しのつかない状況に追い込まれます この映画は、そうした、誰もが被害者にも加害者にもなり得る現代社会への警鐘を鳴らした作品と言えるのではないか、と思います

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芸劇ブランチコンサート「名曲リサイタル・サロン~若林顕 ピアノ・リサイタル」を聴く ~ コロナ禍後初めて聴くピアノ・ソロを堪能

2020年07月16日 07時17分04秒 | 日記

16日(木)。昨日は検診準備デーでした まず最初に、豊島区の検診センターに電話して①「肺がん検診」の予約をしました ここのところ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で受付を中止していたらしいのですが、また再開したようです ただし、3密を避けるため1日の受診者数を絞っているらしく、一番早くて11月24日だというので、その日に予約を入れました 次に近所のOクリニックに行き、②「大腸がん検診」の採便セットを受け取り、③「特定検診」(健康診断)が予約なしでもできることを確認しました 早ければ明日にでも受診し、併せて採便セットを提出しようと思います 次に駅近くのAクリニックに行き、④「胃がん検診」(胃カメラ)の説明を受け、予約を入れました 豊島区の胃カメラ検診は2年に1度なので、初めてチャレンジすることにしました。昨年はバリウムを飲みました こちらは一番早くて9月2日だというので、その日の朝一番に予約を入れました これで豊島区から案内のあった検診はすべて予約を入れたので、あとは受診日を待つだけです

というわけで、わが家に来てから今日で2115日目を迎え、トランプ米政権は14日、オンライン授業しかない学校に在籍する留学生について「秋以降は米国滞在を認めない」としていた政府の方針を、大学や自治体から訴訟を起こされ、批判の声が広がったことから、発表からわずか8日で撤回した  というニュースを見て感想べるモコタロです

 

     

     いかにトランプ政権が排他的で日和見で自国本位で大統領選に勝てないかが解る 

 

         

 

昨日、夕食に「筑前煮」を作りました 食材は野菜と鶏肉と蒟蒻なのでヘルシーです

 

     

 

         

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート「名曲リサイタル・サロン~若林顕 ピアノ・リサイタル」を聴きました プログラムは①ショパン「バラード 第1番」、②リスト「ペトラルカのソネット第104番 ~ 巡礼の年 第2年『イタリア』」、③同「愛の夢」第3番、④同「メフィスト・ワルツ第1番『村の居酒屋での踊り』」、⑤チャイコフスキー「ノクターン 嬰ハ短調 作品19‐4」、⑥シューベルト(リスト編)「セレナード」、⑦バラキレフ「東洋風幻想曲『イスラメイ』」です

 

     

 

東京芸術劇場でコンサートを聴くのは2月12日(水)の芸劇ブランチコンサート以来なので、ほぼ5か月ぶりです 主催者側から事前に何の発表もなかったので、どのようにソーシャルディスタンスを図った座席配置にするのだろう、と思って会場に行くと、やはり手元のチケットは無効となり、新たな座席指定券が配布されました 本来の席の1列後方ですが、近い席です。ナビゲーターの八塩圭子さんの話によると、会場は百数十人の入りです いつもの4分の1くらいだと思います

 

     

 

若林顕がピアノに向かい1曲目のショパン「バラード 第1番」の演奏に入ります この曲はフレデリック・ショパン(1810-1849)が1835年に完成した作品です 若林は詩情を湛えながらも力強い演奏を展開しましたが、5か月ぶりに聴くピアノ・ソロの美音は会場の壁と聴衆の心に沁み込みました 芸劇はとても良いホールだとあらためて感じました 幕間のインタビューによると、若林氏がコンサートの形で演奏するのはコロナ禍後、今回が初めてだそうです

2曲目はリスト「ペトラルカのソネット 第104番 ~ 巡礼の年 第2年『イタリア』」です この曲はフランツ・リスト(1811‐1886)が1858年に出版した作品で、リストがスイスやイタリアなどを旅行した時代の記憶から書いた「巡礼の年」という組曲の「第2年  イタリア」の中の1曲です ペトラルカというのは中世イタリアの詩人です 若林は技巧を凝らしたこの曲を、大きなスケールで描きました

続けて演奏されたリストの「愛の夢」第3番は、もともと歌曲として書かれた作品をピアノ用に編曲したものです 若林は何かに憧れるような心情をロマンティックに歌い上げました

次いで演奏されたリストの「メフィスト・ワルツ第1番『村の居酒屋での踊り』」は、詩人レーナウが書いたファウスト伝説の詩からインスピレーションを受けて作曲したもので、メフィストが何かに憑かれたようにヴァイオリンを弾くシーンを表現したものと言われています まさに超絶技巧曲ですが、若林は何の苦もなくスピード感溢れる演奏を展開、鋭い高音で会場を圧倒しました

 

     

 

5曲目はチャイコフスキー「ノクターン 嬰ハ短調 作品19‐4」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1873年に作曲したピアノ曲「6つの小品 作品19」の1曲です 若林の弾くメランコリックな演奏を聴いて、なぜかチャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」のタチアーナのアリアを思い出しました あるオペラ解説書に「チャイコフスキーのオペラは歌いにくい」と書かれていたことも思い出しました

6曲目はシューベルト(リスト編)「セレナード」です この曲はフランツ・シューベルトの曲をリストが編曲したものです この曲を聴いて思い浮かべるのは「メランコリー」という言葉です。メロディーがエコーのように追いかける音楽が印象的   編曲の妙です

最後の曲はバラキレフ「東洋風幻想曲『イスラメイ』」です この曲はミリイ・バラキレフ(1837-1910)が1869年に作曲した作品ですが、プログラム・ノートによると「ピアノ好きの方なら誰もが知る『ピアノ史上最も技巧的に難しい曲』」だそうです バラキレフがロシア南部のカフカス地方を旅した時に着想したと言われているそうです 演奏を聴いていると、確かにロシア民謡のようなメロディーが聴こえてきました 若林は力強く推進力に満ちたアグレッシブな演奏で駆け抜けました

会場いっぱいの拍手に、アンコールがありました イントロでは何の曲か分かりませんでしたが、やがて誰もが知っているメロディーが流れてきました ジョニー・マーサー作詞、ヘンリー・マンシーニ作曲、1961年公開映画「ティファニーで朝食を」の劇中、オードリー・ヘップバーンが歌い、その後、アンディ・ウィリアムスが歌って大ヒットとなった「ムーン・リバー」です 誰の編曲か分かりませんが、とても良いアレンジで、演奏も素晴らしかったです

 

     

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METライブビューイングでワーグナー「さまよえるオランダ人」を観る / 「フェスタサマーミューザ2020」の抽選結果発表 ⇒ 応募の全12公演すべて当選!

2020年07月15日 07時14分41秒 | 日記

15日(水)。新日本フィルから7月17日(金)すみだトリフォニーホールで開催の「ルビー(アフタヌーンコンサート・シリーズ)」公演の再指定チケットが、東京交響楽団から7月25日(土)サントリーホールで開催の「第682回定期演奏会」(19時開演の部)の再指定チケットが それぞれ届きました いずれも定期会員席のすぐ隣の席です それにしても、各楽団の事務局の方は本当に大変なご苦労をされていると思います 収容人数に「定員の50%」という枠をはめられてしまったことから、コンサートのたびに公演回数を2回に増やすなどの対応を図らなければなりません このための事務処理のための人的、経費的な負担は決して小さくないでしょう それでも、新型コロナウイルスの感染拡大が治まらない限りコンサートの「ニューノーマル」に沿って開催せざるを得ません 自分にできる最低限のことは、定期会員であることを止めないことです

ということで、わが家に来てから今日で2114日目を迎え、トランプ政権の新型コロナウイルス対策本部で主導的な役割を務めてきた米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、トランプ大統領が「感染者の99%は無害」などと持論を展開していることについて、「間違いだ」などと異論を唱えているなか、トランプ大統領は「いつも意見が一致するわけではない」と述べた  というニュースを見て感想べるモコタロです

 

     

     「消毒液を注射したらどうか」と非科学的なことを言う輩と 一致するわけがない

 

         

 

昨日、夕食に「カレーライス」と「生野菜サラダ」を作りました カレーは牛バラ肉を使っています。まるで吉野家みたいですが、コスパ抜群で美味しいです

 

     

 

         

 

昨日は「フェスタサマーミューザ2020」の各公演限定600席の抽選結果の発表日でした 私はオーケストラ公演を中心に12公演申し込みました 抽選結果はメールで配信されましたが、全12公演すべて当選しました 各公演の日程・内容は11日付の当ブログでご紹介した通りですが、オーケストラ=11公演、パイプオルガン=1公演です チケット代はミューザ会員が1割引きなので助かります もっとも そのために会員になったようなものですが ただ、実際にチケットを発券してみないと座席番号が分かりません 今日、セブンイレブンで支払いをして発券してきますが、1階席後方か2階席前方が当たっているといいな と、 わたし祈ってます

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ワーグナー「さまよえるオランダ人」を観ました これは今年3月10日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 当初 3月14日の公演を収録する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、4日前の公演に変更となったものです キャストは、オランダ人=ブリン・ターフェル、ゼンタ=アニヤ・カンペ、ダーラント=フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ、マリー=藤村実穂子、エリック=セルゲイ・スコロホドフ、船の舵手=デイヴィッド・ポルティッヨ。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・同合唱団、指揮=ワレリー・ゲルギエフ、演出=フランソワ・ジラールです

 

     

 

このオペラは「船乗りとして不遜な言葉を吐いたオランダ人船長は、悪魔の呪いを受け、世界の海をさまようべき宿命に陥る 7年に一度だけ上陸を許され、そこで永遠の愛を誓ってくれる女性に出逢えば救済されるが、かつて その願望が叶えられたことはなかった」として、物語が始まります

嵐を避け、とある入り江に避難したノルウェー船の船長ダーラントは、そこで謎のオランダ人船長に出会う オランダ人から山のような財宝を見せられ、「あなたに娘がいたら私の妻にしたい。結婚を許してくれないか」と頼まれたダーラントは、すぐその気になり、愛娘ゼンタを紹介する約束を交わす 嵐は治まり、南風が吹き始める。ノルウェー船は水夫の掛け声とともに故郷へ出帆していく オランダ船もそのあとに続く(以上第1幕)

ダーラントの家。糸紡ぎに精を出す娘たちの前で、ゼンタはみんなが知っている「不幸なオランダ人船長」のバラードを歌って聴かせるが、突然「彼を救うのはこの私」と叫び出すので、一同も彼女を愛している狩人エリックも愕然とする やがて当のオランダ人船長が、ダーラントに伴われて訪ねてくる。恍惚のうちに彼への愛を誓うゼンタ、そしてついに救済を見い出したオランダ人 愛の二重唱が歌われる(以上第2幕)

その夜の港。陽気に騒ぐノルウェー船の水夫たちとその恋人たちは、隣に停泊したまま不気味に静まり返っているオランダ船に、次第に恐怖感を募らせる やがてオランダ船水夫たちの嘲笑の合唱が爆発する エリックに気遣われ説得されるゼンタの姿を見て、交わされる話を耳にしたオランダ人船長は、またも救済を失ったと絶望し、出航して行く しかし、ゼンタはその後を追い、「永遠の誠」を叫んで海に身を投げる(以上第3幕)

 

     

 

指揮をとるワレリー・ゲルギエフは1953年モスクワ生まれ。35歳でマリインスキー劇場の芸術監督に就任、同劇場を世界的な水準まで高めた、現代のカリスマ指揮者の一人です

ゲルギエフがオーケストラ・ピットに入り、序曲の演奏に入ります。咆哮する金管楽器、うねる弦楽器、ダイナミックな音楽が展開します ステージ奥の上空で大きな目が下界を見下ろしています。その下で赤い衣装のダンサーが音楽に合わせてバレエを踊ります 目はオランダ人を、女性はゼンタを象徴しています この辺の演出は音楽と一体化していて見事です

オランダ人を歌ったブリン・ターフェルは、1965年イギリスのウェールズ生まれ、ギルドホール音楽演劇学校で学んだバスバリトンですが、力強く伸びのある歌唱で聴衆を魅了します

ゼンタを歌ったアニヤ・カンペは、旧西ドイツのチューリンゲン生まれ、イタリア人と結婚してトリノに移住、トリノの音楽院で学んだソプラノです 今回がMETデビューということですが、堂々たる歌唱力と演技力が印象に残りました 特に第2幕冒頭の「ゼンタのバラード」は強く引きつけられました

ダーラントを歌ったフランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒは、1962年ドイツ、マイエン生まれで、ケルンの音楽院に学びんだバスです 船長としての格調がありながらも財宝に目がない狡猾な父親を見事に歌い演じました

マリーを歌った藤村実穂子は、今や日本を代表する国際的ワーグナー歌手ですが、今回日本人として初めて待望のMETデビューを果たしました

エリックを歌ったセルゲイ・スコロホドフは、サンクトペテルブルク生まれ、同地の音楽院で学んだテノールですが、一途にゼンタを思う青年を身体全体で歌い上げ、好感が持てました

船の舵手を歌ったデイヴィッド・ポルティッヨは、アメリカ生まれの新進テノールですが、軽く良く通る歌声で聴衆を魅了しました

今回特に素晴らしかったのは、メトロポリタン歌劇場合唱団の熱唱です 第2幕での「糸紡ぎの合唱」、第3幕での「水夫たちの合唱」をはじめ、力強くも美しい合唱を堪能できました

そして、煽り立てるゲルギエフのタクトのもと、メトロポリタン歌劇場管弦楽団は迫力ある渾身の演奏を展開しました

最後に、CGを巧みに駆使し、映画的なステージを作り上げたカナダ出身のフランソワ・ジラールの演出・舞台作りは特筆に値します 第1幕冒頭のバレエ、第2幕における30本もの太いロープを巧みに使った「糸紡ぎ」のシーンが特に印象に残りました

今回の公演の大きな特徴は、ワーグナーの最初の意図に従い 全曲切れ目なく演奏したことです   そのことが舞台に緊張感をもたらし、集中力に満ちた演奏を可能にしました 序曲のあと、フィナーレまでの約2時間10分、音楽が途切れることなく、文字通り”無限旋律”が続きました

これで「METライブビューイング 2019‐2020 シーズン」も終了です アンナ・ネトレプコの歌う「トスカ」と、ディアナ・ダムラウの歌う「マリア・ストゥアルダ」が聴きたかったのに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で公演自体が中止となってしまったので仕方がありません 来シーズンはどうなるんだろう

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喫茶店で人生相談 / METライブビューイング、ワーグナー「さまよえるオランダ人」のチケットを取る / 井岡瞬著「祈り」を読む ~ これまでの井岡作品とテイストが異なる小説

2020年07月14日 07時26分38秒 | 日記

14日(火)。私は週のうち最低3回は駅前の同じ喫茶店に行って新聞を読んだり読書をしたりしています   いろいろなお客さんがいますが、最近 気になっているのは、カード占いで人生相談を(多分、職業として)やっている中年女性です  これまで3回ほど遭遇しましたが、なぜか相談者は女性だけです 主宰者の女性も相談者も内緒話のように声を落とすでもなく、ごく普通の会話の大きさで話すので相談内容が他の席に駄々洩れ状態なのです ソーシャルディスタンスを取っているテーブル配置でも聞こえてきます。ある時は 親族経営による会社内の人間関係の相談、ある時は 連絡がこなくなった彼氏と別れたいがどうしても別れられないという若い女性の相談、といった具合で、相談内容は種々雑多です

私が「気になっている」というのは、極めてプライベートな人生相談を、内容が他人に聞こえてしまう喫茶店でやって良いのか、ということです もちろん、喫茶店はお金さえ払えば 本を読もうが、おしゃべりしようが、パソコンで仕事をしようが、何をしても自由(ただし 大声の会話は大迷惑)だと思いますが、プライバシーに対する姿勢があまりにも無防備だと思います たまたま相談者の利害関係者が 同じフロアの席で聞いていたらどうなるでしょう? たぶん、主宰者は事務所やコーナー等を持っておらず、喫茶店がその代わりなのでしょうが、もっとプライバシーに注意を払うべきと思います

ということで、わが家に来てから今日で2113日目を迎え、日本からレバノンに逃亡し、国際手配されている日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が中東メディアの取材に応じ、逃亡に当たって「日本国外にいる人と連絡を取れる仕組みをつくった。力を貸してくれた全員に、金銭面などあらゆる手段で援助している」と語った  というニュースを見て感想べるモコタロです

 

     

     お金さえあれば違法行為も許されることをレバノンの子供たち知らしめたわけだ

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーで METライブビューイングのワーグナー「さまよえるオランダ人」のチケットを取りました 今日10時上映開始の部です いつもの通り後方の通路側席を押さえました。METライブビューイング2019‐2020シーズンもこれを持って終了です 本来なら、この後、アンナ・ネトレプコがタイトルロールを歌うプッチーニ「トスカ」(4月11日上演・収録予定)、ディアナ・ダムラウがタイトルロールを歌うドニゼッティ「マリア・ストゥアルダ」(5月9日上演・収録予定)が上映されるはずでしたが、新型コロナウイルス感染拡大により上演自体が中止となったため上映中止となりました 2作とも今シーズンのハイライトと言ってもよい公演だったので口惜しいです

 

     

 

         

 

千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君から海産物の詰め合わせが届きました 秋刀魚、鯵、赤魚、鯖が所狭しと収まっています。魚のローテの日はこれで決まりです S君、ありがとう。有難くいただきます

 

     

 

         

 

昨日、夕食に「ナスの揚げ焼き香味だれ」「ひと口  ガーリックステーキ」「生野菜サラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 「ナスの~」は新聞の料理コーナーに載っていたレシピで作りました。私は美味しかったのですが、娘にはちょっとすっぱかったようです 文句があるなら自分で作れ、とは口に出しては言わない

 

     

 

         

 

井岡瞬著「祈り」(文春文庫)を読み終わりました 井岡瞬は1960年東京都生まれ。2005年「いつか、虹の向こうへ」(応募作「約束」を改題)で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞して作家デビュー 14年に刊行した「代償」は累計50万部突破のベストセラーになった

 

     

 

この作品は2015年に文藝春秋社から刊行された「ひとりぼっちのあいつ」を改題し文庫化にあたって大幅に加筆訂正したものです

この物語は、新宿西口公園で、アパレルメーカーの営業職として働く25歳の会社員・宮本楓太と、炊き出しのうどんを食べている中年男・大里春輝が出会うところから始まります 楓太はいつも上司から叱られている うだつが上がらない青年で、金欠病でカードの引き落とし日が心配でならない状況に置かれています    一方、春輝はどうやら”超能力”の持ち主で、過去にテレビにも出演した経歴があります    しかし、彼はその特別な能力を得てしまったために人生が狂わされてしまうことになります     この二人の共通点は、見た目は冴えないけれど、真っ直ぐなところがあるという点です    非合法組織の仲介役・鶴巻が刺されて死にかけた時、春輝が”超能力”で止血して助けたシーンから、物語が俄然面白くなっていきます    鶴巻は命の恩人・春輝の用心棒のように振る舞い、ひいては窮地に陥った楓太を救うことになります

井岡瞬の小説はこれまで、「代償」「桜の花が散る前に」「もしも俺たちが天使なら」「乙霧村の七人」「痣」「悪寒」「冷たい檻」と読んできましたが、本作はそれらの作品とは一味異なったテイストを持った作品です 少し強引にこじつけると、伊坂幸太郎風のスタイルというか、ミステリーではなくエンタメ風というか、独特のユーモアとアイロニーと温かさを湛えた作品です 春輝と楓太の共通の”友人”である資産運用アドヴァイザー新妻千穂に連れられて、楓太が都庁に臓器提供意思表示カードを貰いに行くラストシーンは、もう一つの物語の始まりを意味しているようで秀逸です 果たして楓太の運命やいかに・・・一気読みをお薦めします

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「『芸術で食べていく』ということ」~日経「文化時評」から / 伊坂幸太郎「ホワイト ラビット」、原田マハ「暗幕のゲルニカ」、井上荒野「あなたならどうする」他を買う

2020年07月13日 07時16分50秒 | 日記

13日(月)。昨日の日経「The  STYLE / Culture」面の「文化時評」に同社編集委員・瀬川奈都子さんが「『芸術で食べていく』ということ」というテーマで書いています 超訳すると、

「新型コロナウイルス感染症のまん延は、はからずも社会におけるアーティストの役割を再考する契機となった まず事象として表れたのはライブイベントの自粛による補償問題。続いて『ステイホーム』を促しファンを癒すオンライン活動の数々 そして検察庁法改正案の成立見送りを後押ししたSNS上での言論。社会の中でアーティストは、もろさと強さを併せ持つ存在だと、私には映った 尚美学園大学などで教える林容子さんは『画家、音楽家などを目指す教え子は今、卒業後に食べていけるか不安になっている』と指摘する。コロナ対策で絵を売るギャラリーは閉鎖され、イベントの自粛は巨額の損失を招いた 『どうすればアーティストとして生活できるのか、社会にとって芸術はなぜ必要なのかを、学生はこれまで以上に考えている』と語る。確かに『芸術で食う』のは厳しい。緊急事態宣言下の4月、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)が実施した調査によると、俳優や音楽家らの7割以上が『新たな仕事の依頼はまったくない』と答えた 宣言は解除されたが、いつ同様の状況に陥るか分からない もともと、創作や表現活動だけで生計をたてられる人は一握りだった。国内の文化・芸術活動を経済的な自立度で区分すると、エイターテインメントビジネスが上位にあり、下位に素人の趣味の活動がある。中間にひしめくのが副業でしのぐプロの活動だ。芸団協常務理事の福島明夫さんは『児童対象の劇団や地方オーケストラなどで収入を得ているが、それだけでは食べていけない人々。日本の芸術家は大半がこの中間層にいる』と分析する そもそも『芸術家』は職業なのだろうか。西欧ではルネサンス以降、王侯貴族や裕福な商人が芸術家の庇護者となる時代が続いた 貴族社会が終わりを告げると、国家がその代わりを担う構図が出てきた。最たるものが旧ソ連などの社会主義体制下での芸術活動だ。国の威信を示すのに利用できる芸術家には、仕事も住む家も名誉も、国が与えた 今日、職業芸術家は市場経済のなかで生きる。活動を継続するには、切符や作品を買ってくれるファンが必要だ 税金で支援してもらう場合も、やはり多くの国民のコンセンサスが必要になる。社会での存在意義を認めてもらえなければ支えてはもらえない。その存在意義とはなにか。芸術はしばしば『炭鉱のカナリア』に例えられる。鋭敏な感覚で世のよどみをいち早く察知し、警告し、意識改革を促す 『役にたつ』ことが芸術の目的ではないもかもしれない。だがあえて『職業』とするならば、芸術家は自らの居場所をもとめて社会に発信しなければならない。社会の側も失う前に、その価値に気づかなければならない

瀬川さんが指摘する「もともと、創作や表現活動だけで生計をたてられる人は一握りだった」という事実には重いものがあります 音楽で言えば、名の知れたソリストになるには、国内外のその道のオーソリティーに師事するなり、世界的なコンクールに入賞するなり、とにかく実力を客観的に証明しなければなりません またオーケストラの楽団員になりたくても、定員が決まっているので、欠員が出ないとオーディションが開かれません 「競争率が激しい」みたいな生易しい問題ではないのです

一方、毎年毎年 いったい何人の学生たちが音楽大学や大学院を卒業・修了していくのだろうか・・・そのなかで、自分が志望したところに”就職”でき「芸術で食べていける」学生は何人いるのだろうか

瀬川さんの「あえて『職業』とするならば、芸術家は自らの居場所をもとめて社会に発信しなければならない。社会の側も失う前に、その価値に気づかなければならない」という主張は、まったくその通りで、芸術を発信する側も、それを受け取る側も、心しなければならないことだと思います

ということで、わが家に来てから今日で2112日目を迎え、アメリカのトランプ大統領は軍の病院を視察し、初めて公の場でマスク姿で現れた  というニュースを見て感想べるモコタロです

 

     

     いま 病院でマスクを付けるのは世界の常識!  ニュースになること自体が異常だ

 

         

 

ティータイムです 先日、人気作家・中山七里氏 御用達の成城石井オリジナル「プレミアム  チーズケーキ」を買ったつもりが、アーモンドとレーズンが入っていない方を買ってしまったので、今回はよく見て購入しました    やっぱりこちらの方が味の幅が広がり美味しいです

 

     

     

         

 

まだ手元の本をすべて読み終わっていないのに、本を6冊買いました やっぱり病気かもしれない 1冊目は伊坂幸太郎著「ホワイト  ラビット」(新潮文庫)です 伊坂幸太郎の作品は文庫化されるたびにご紹介してきました

 

     

 

2冊目は原田マハ著「暗幕のゲルニカ」(新潮文庫)です 原田マハは絵画をテーマとする作品が多いですね

 

     

 

3冊目は井上荒野著「あなたならどうする」(文春文庫)です この人の作品を読むのは初めてです

 

     

 

4冊目はG.K.チェスタントン著「知りすぎた男」(創元推理文庫)です これは新聞の書評欄に載っていました

 

     

 

5月目はエリザベス・ウェイン著「コードネーム・ヴェリティ」(創元推理文庫)です これは帯に書かれた「私が影響を受けた1冊 柚木麻子」に惹かれて買いました

 

     

 

6冊目はチャールズ・ウィルフォード著「コックファイター」(扶桑社ミステリー)です これは新聞の書評欄に載っていました

 

     

 

いずれも読み終わり次第、当ブログでご紹介してきます

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