アイスランドを始め北欧国では女性の権利が相当拡充されてきていることはご承知のことと思います。世界経済フォーラムの昨年の男女平等ランキングでの一位アイスランド、二位フィンランド、三位ノルウェー、四位スウェーデンは一昨年のマンマです。日本は四位後退して136ヶ国中105位と史上最低に終わりました。
アイスランドの女性の進出に関しては一昨年にも書いたことがありますので、そちらもよかったら読んでみてください。
オンナは強...くなった...
ところが、それではアイスランドは女性天国かというとどうもそう簡単にはいかないようです。そのひとつの証左となるニュースがこの月曜日に報じられていました。アイスランドの会社の役員数における男女比に関してのリサーチの結果なのですが、ちょっとご紹介してみたいと思います。
まず端的に結果です。女性役員は全体の僅か23.1%で、男性役員の半分にも満たないとのこと。「男女平等世界一」にしては情けないのでは...?
ニュースによるとアイスランドには33.000弱の会社が登録されています。この中にはもちろん、義足製造で有名な「オッシュル」やコンピューターゲームの「CCP」などの大きな会社も含まれていますが、大半は日本でいうところの「有限会社」、すなわち会社の所有者が資金を調達し、株式などによる市場からの資金調達はできない会社です。
家族で会社を立ち上げよう、などという場合に一般的な形で、要するに規模が小さめの会社ということになります。(日本ではもう有限会社というものは法律上なくなったそうですね。知りませんでした。恥...)
さて会社を登録するには役員名簿が必要条件となっています。そこで役員はどの会社にもいます。役員名簿は普通「メイン」の役員に加えて「控え」の役員が添えられます。今回のリサーチによりますと、「メイン」の役員は全体で50.000人ほどいるのだそうですが、そのうちの38.600人が男性。女性は11.600人。大体3:1くらいでしょうか?
それに対して「控え」の役員は全体で33.000人ほどで、そのうち女性が14.000を占め、これは全体の51%と過半数を制しています。つまり女性は「メイン」ではなくて「控え」の方に人気があるということです。
専門家のコメントによると「小さな会社では所有者(出資者)がそのまま役員になることが多い。だからこれまでの会社設立の経緯などからして、やはり男性の所有者が多く、それが統計に現れている」とのこと。
実はこの役員の男女格差は今初めて分かったことではないので、昨年の秋にはこの格差是正のための新しい法律が発効しました。その法律では「従業員数が五十名以上の会社では、女性の役員数が全体の40%以上になるように努める」ことを定めています。
2012年の女性役員の割合は22%でしたので、昨年の23%はかろうじて1%はアップしたことになります。でもこのスピードで伸びていくと、男女差が同等になるにはあと三十二年かかるというのが専門家の弁です。
それでも専門家はめげているわけではなく「新法の目指しているのは小さな会社ではなく、経済をリードしているような大きな会社を念頭に置いている。そういう会社では同族以外の役員を迎えているのが普通で、そういう部分から格差が小さくなっていけば、社会全体への波及効果が大きい」とのこと。
ちなみに業界別に男女格差を見てみると、一番格差が少ないのがサービス関連業で、ここでは唯一女性役員が54%と男性役員を上回っています。続いて教育関連業では女性役員が37%とまあまあ新法の基準に近くなっています。
さらに保健衛生関連業で36%、宿泊飲食業で31%と続きます。
逆に役員の男女格差が大きいのは何でしょうか?金融保険業では女性役員は17,6%に過ぎず(やっぱり金に群がるのはオトコか?)、運輸保管業では15,5%、建築業で13,8%となっています。
そして最大格差は女性役員数7%余り、つまり九割方がオトコ役員なのですが、砂利や石材などの採掘業だそうです。
まあ、何となく男っぽい?業界では役員男女格差も大きいようで、何となく納得はできますよね、これは。(何が男っぽく何が女っぽいかとは、むやみに口にしない方が無難です。(*^^*))
というわけで、「男女平等ランキング世界一」というのも無条件に賞賛できるものではないようです。もっとも「男女平等」という目標に向かってはきちんと努力していること、そしてこれまでの努力が実を結んでいることはたしかですので、「それ見たことか」とバカにするのもハズレでしょう。
それでも「男女平等とはなんぞや?」という根本的な問題はいつまでも存在するでしょうから、議論もいつまでもしなくてはいけないのだろうと思いますが。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
アイスランドの女性の進出に関しては一昨年にも書いたことがありますので、そちらもよかったら読んでみてください。
オンナは強...くなった...
ところが、それではアイスランドは女性天国かというとどうもそう簡単にはいかないようです。そのひとつの証左となるニュースがこの月曜日に報じられていました。アイスランドの会社の役員数における男女比に関してのリサーチの結果なのですが、ちょっとご紹介してみたいと思います。
まず端的に結果です。女性役員は全体の僅か23.1%で、男性役員の半分にも満たないとのこと。「男女平等世界一」にしては情けないのでは...?
ニュースによるとアイスランドには33.000弱の会社が登録されています。この中にはもちろん、義足製造で有名な「オッシュル」やコンピューターゲームの「CCP」などの大きな会社も含まれていますが、大半は日本でいうところの「有限会社」、すなわち会社の所有者が資金を調達し、株式などによる市場からの資金調達はできない会社です。
家族で会社を立ち上げよう、などという場合に一般的な形で、要するに規模が小さめの会社ということになります。(日本ではもう有限会社というものは法律上なくなったそうですね。知りませんでした。恥...)
さて会社を登録するには役員名簿が必要条件となっています。そこで役員はどの会社にもいます。役員名簿は普通「メイン」の役員に加えて「控え」の役員が添えられます。今回のリサーチによりますと、「メイン」の役員は全体で50.000人ほどいるのだそうですが、そのうちの38.600人が男性。女性は11.600人。大体3:1くらいでしょうか?
それに対して「控え」の役員は全体で33.000人ほどで、そのうち女性が14.000を占め、これは全体の51%と過半数を制しています。つまり女性は「メイン」ではなくて「控え」の方に人気があるということです。
専門家のコメントによると「小さな会社では所有者(出資者)がそのまま役員になることが多い。だからこれまでの会社設立の経緯などからして、やはり男性の所有者が多く、それが統計に現れている」とのこと。
実はこの役員の男女格差は今初めて分かったことではないので、昨年の秋にはこの格差是正のための新しい法律が発効しました。その法律では「従業員数が五十名以上の会社では、女性の役員数が全体の40%以上になるように努める」ことを定めています。
2012年の女性役員の割合は22%でしたので、昨年の23%はかろうじて1%はアップしたことになります。でもこのスピードで伸びていくと、男女差が同等になるにはあと三十二年かかるというのが専門家の弁です。
それでも専門家はめげているわけではなく「新法の目指しているのは小さな会社ではなく、経済をリードしているような大きな会社を念頭に置いている。そういう会社では同族以外の役員を迎えているのが普通で、そういう部分から格差が小さくなっていけば、社会全体への波及効果が大きい」とのこと。
ちなみに業界別に男女格差を見てみると、一番格差が少ないのがサービス関連業で、ここでは唯一女性役員が54%と男性役員を上回っています。続いて教育関連業では女性役員が37%とまあまあ新法の基準に近くなっています。
さらに保健衛生関連業で36%、宿泊飲食業で31%と続きます。
逆に役員の男女格差が大きいのは何でしょうか?金融保険業では女性役員は17,6%に過ぎず(やっぱり金に群がるのはオトコか?)、運輸保管業では15,5%、建築業で13,8%となっています。
そして最大格差は女性役員数7%余り、つまり九割方がオトコ役員なのですが、砂利や石材などの採掘業だそうです。
まあ、何となく男っぽい?業界では役員男女格差も大きいようで、何となく納得はできますよね、これは。(何が男っぽく何が女っぽいかとは、むやみに口にしない方が無難です。(*^^*))
というわけで、「男女平等ランキング世界一」というのも無条件に賞賛できるものではないようです。もっとも「男女平等」という目標に向かってはきちんと努力していること、そしてこれまでの努力が実を結んでいることはたしかですので、「それ見たことか」とバカにするのもハズレでしょう。
それでも「男女平等とはなんぞや?」という根本的な問題はいつまでも存在するでしょうから、議論もいつまでもしなくてはいけないのだろうと思いますが。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com