レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

気まぐれ天気に付き合うサダメ

2018-02-18 05:00:00 | 日記
今、これを書いているのは16日の金曜日の夕方なのですが、私の古アパートの寝室兼仕事部屋の窓の外には青空が広がっています。風もなく、春が近着いてきたかのような空気です。

ところが下の方、裏庭や道路へ目をやると、残雪が小山となっているのが見えてきますし、「あ〜、まだそうは簡単には春は来ないよな〜」と現実に引き戻されます。

実際、今から一週間前の週末は、今日とはまったく違う天気模様だったのですし、それによって大分振り回されてしまいました。今回はアイスランド、ちょっと限ってレイキャビくの天気に関連したことを書いてみます。

私は東京(都下)で生まれ育ち、その他には何年間か名古屋で暮らしました。基本的に太平洋側の、かなり落ち着いた気候のもとで過ごしてきたわけです。

ですから、日本の中でも天気が厳しくなる地方の様子はまったく知りません。おそらく想像を超えた厳しい天候に日々直面している方は多いのだろう、とは想像します。Facebookとかでも散見していますので。

そういう方にとっては、「アイスランドの天気はこんなだ!」とか書いても、「それで〜?」という感じになるかもしれませんが、それはそれで納めておいていただきたいと思います。

さて、こちらの天気の特徴ですが、「アイスランドの天気は山の天気だ。晴れていたかと思ったら、あっという間に雨が降り出し、しかも強風が吹きつけてくる」というようなことを何回か書いてきました。

これは本当にその通りなので、皆さんの中でアイスランドへお出かけの方がありましたら、天候の変化に対する備えはいつも怠らないでいていただきたいと思います。生命に関わるようなことすらありますからね。

日本では台風が発生した場合は、発生直後からちゃんと追跡していきますよね。そして日本へ接近する可能性が大きくなるにつれて、詳細がレポートされますし、また大きさが増すに連れて警戒度も増しますよね。

アイスランドでは、台風ほどの大きさはないような「ミニ台風」とでもいうべきものが割と頻繁に発生します。特別な言葉はないようで、単にlaegd(低気圧)とかstorm(ストルム)と呼びます。季節限定ではなく、私の感覚では一年中、いつでもやってくると思います。

そしてこのミニ台風が発生すると、天気予報が激変してしまい、色々と影響が出てくるわけです。台風のように、何日も前からその到来が予測されるものと違い、このミニ台風は、一日とか半日くらいの前振りで来てしまいます。アメリカの竜巻ほどではないでしょうが、かなり突然出てくるわけです。

ですから、何かのイベントを計画している時に、週間天気予報が割りと安定した予報を出していて安心していても、このミニ台風のおかげですっかり予定が狂わされてしまうことがあるのです。

一週間前の土曜日には、私のオフィスのある教会でお父さんがアイスランド人、お母さんが日本人である赤ちゃんの洗礼式がありました。その直前の天気予報はひどいもので、大雪に加えて大風になるというものでした。

お母さんのご両親も駆けつけていたので、スケジュールの変更が難しく延期はできないので心配したのですが、幸いミニ台風というか、この場合は普通の低気圧だったのかもしれませんが、到来が遅れてことなきを得ました。




全国に荒天の週 北西部に住むレベッカさんの撮った写真!
Myndin er eftir Rebekka.Gudleifsdottir.Facebook


しかしです。翌日の日曜日は私が担当する英語での礼拝がある日でした。

私の場合、特別職牧師であるので、普通の教会の日曜礼拝のようにスタッフが揃っていません。ということは、プログラムのコピー印刷から始まり、コーヒータイムの茶菓の買い出し、椅子の並び替え等の礼拝の直前準備のほとんどを私が自分ですることになります。

Facebookでのイベントにアップもしますし、英語がダメな(イラン·アフガン)人用にペルシャ語でお話しの要旨をまとめたものを依頼して、それをコピーしたりと、細々した準備がそれなりにあるわけです。

最後に、私は英語ペラペラではありませんので、何回もお話の「読み」の練習をしなくてはなりません。そして最後の最後に、教会に定期的に集っている難民、元難民の人たちにSMSでリマインダーを送ります。

こうした一連のリチュアルを通過して準備万端。「さあ来い、日曜日」という気分になるのです。今回もそういうスタンバイはできていました。

しかしです。あの遅れていた低気圧がまだそこにいたのです。土曜の晩の天気予報はひどいもので、「これだったら礼拝は中止か?」と真剣に考えなくてはならないほどでした。

その後、多少予報が持ち直し。そして...

日曜日の朝8時過ぎ。風もなく、雪も舞っていません。「これは助かった」と思いました。やはり天は味方してくれる。そう思い、9時くらいにネットの予報を見てみると...

なんとレイキャビク一帯は「オレンジ警報」になっています! この警報はアイスランドの気象局が昨年の11月から新しく取り入れたシステムで、緑(異常なし)、黄色(強風、注意)、オレンジ(風速24m/s以下、相当注意)、赤(風速24m/s以上、危険)に別れるのだそうです。

CAP(Common Alerting Protcol)という国際的に共通のシステムに依っているのだそうです。ですが、これまで「オレンジ」レベルの警報は見たことがありません。警報の度合いは風の強弱だけではなく、雨、雪その他の気象条件も加味して判断するそうです。

さて困りました。予報では日曜日午前10時過ぎから夕方までモーレツな荒天になるとのこと。そうなるとしたら午後2時からの礼拝は中止にしなくてはなりません。こちらの言葉ではMessufallメスファットゥルといい「礼拝(メサ)落ち(ファットゥラ)=礼拝中止」を意味します。

今は9時半。しかし外はほとんど「凪」と言いたいくらいの静かな天気。私の集会に来る人の多くは難民の人たちでもちろん徒歩とバスの利用者です。しかも何人かは郊外の田舎の宿舎をあてがわれおり、バス停に着くまでなんと一時間歩かなくてはなりません。中止にするなら、十分なゆとりを持ってその旨伝えないと。

迷いました。せっかく準備してきたのに、中止にするのは残念なこと極まりない。しかし、バス利用の人を強風と雪の中をこさせるのは、非道というか、危険なこと。あー、どうしようか。

十五分迷いましたが、教会に電話をし「メスファットゥル」を伝えました。ちなみに教会は通常の午前礼拝のためにすでにスタッフが来ていましたし、午前中の礼拝は無事にできたようです。午前礼拝に来るのは大体が近所の人たちですから。

でもこれで、天気が悪くならなかったら責任問題になるなー。「サボりたくて休みにしたんだろー」とか言われかねないし...

午前11時を回っても、多少風が強まったくらい。あー、サボり屋の汚名を着せられるかー、と思っていると、突如突風が荒れ狂い始め、雪で視界数メートル状態となりました。

午後1時半くらいにはバスが運行を中止。続いてドミノ·ピザも出前を中止。礼拝中止にして正解だったようです。

午後3時くらいになると、隣り町のコーパボーグルで車8台が巻き込まれる交通事故のニュース。警察は「なるべく自宅に留まって外出しないように」というお願いの声明を発表しました。




7台巻き込まれ事故のニュース
Myndin er ur Visir.is


さらに夕方には空港のある町ケフラビクへ行く途中の町、ボーグルで車7台が巻き込まれる追突事故の報。さらにあちらこちらの幹線を含む道路が閉鎖されました。いたるところで、車が雪漬けになって立ち往生しているとのこと。

そのニュースを聞いた頃には既に「状況を冷静に分析し、人の安全を尊重する判断を下せるリーダー」という感慨に浸り切っていました。自己満足と言った方が正解ですが。

ミニ台風、あるいは大雪等が集会のある日にぶつかってしまい、集会を中止にするか否かの判断を迫られることは、やはり年に二、三回はあります。そういう場合のマニュアルはですね、「迷ったら中止にする」ということです。

集会が一回中止になって、人生に取り返しのつかない損失を受ける、ということはまず考えられませんが、荒天の中を無理して外出してなんらかの事故に遭う危険は実際にあります。特に車の場合は。

くるくる変わる天気の国ですから、肩肘を張るよりは、その気まぐれな天気に付き合うことを学ぶ必要があるようです。結構慣れてきたかな、この国に。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is


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