レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

セクハラ パワハラ No サンキュー

2021-10-31 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

こちらでは「コロナは一応終わったという空気」ということを書いたばかりですが、制限の大幅な緩和をした途端に、またしても新規感染者数が増加しています。ここ数日は毎日80人前後。

人口十万人当たりの感染指数は260,7。ということは、例えば東京の人口を一千万とすると、感染者数26000人以上ということになります。これは相当なものです。

入院者数は13人。うち4人がICUに入っています。あっという間にイギリスやロシア並みの水準に仲間入りをしてしまったわけですが、ワクチン接種が進んでいることを鑑み、政府は規制の再強化に踏み切るつもりはないようです。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir S-Migaj@unsplash.com


何度か名前を触れました感染症予防医師で、当初より政府の特命チームで進言をしてきたソーノーブルさんは「たとえ規則ではないとしても、自分で良識のある対応をしてもらいたい」と国民に直で呼びかけています。

「政府に言っても埒(らち)が明ないから」みたいなことも言ってましたね。尾美会長のことを思うと共通のパターンがあるような、ないような。

さて、巷はハロウィーン、教会では宗教改革記念日という十月末日の日曜日ですが、今日は少し取扱いの難しい問題です。

この夏に近隣の教会であったことです。ある外国人の男性が、生活上の困難の相談にやってきました。教会の女性スタッフがそれなりに対応したのですが、その男性は感謝の握手をした際に、その女性スタッフを引き寄せキスしようとしたというのです。

その女性は、当然とてもショックを受け茫然自失みたいになってしまいました。そこへ男性スタッフがやってきて、ことの顛末が明らかになりました。

ところが、そうなると他にもふたりの女性スタッフが、その同じ男性によって同じ経験をさせられていたことがわかったのです。アイスランドでは、そういうセクハラについては、非常にオープンになってきてはいますが、まだまだ自分の内に留めてしまう人もいます。

被害にあった三人の女性スタッフは、いずれも中年以上の婦人でしたので、若い世代ほどはオープンではなかったようです。




パワ・セクハラ辞任のクオモ前NY州知事
Myndin er ur Foxnews.com


その教会では話し合いをし、この男性の振る舞いを警察にレポートしました。レポートというのは、警察が公式に申し立てをファイルすることで、そのようなファイルが溜まると次の段階「起訴」に至ります。

当初より、被害者がkaeraキャイラという告訴に近い訴えをすることもできます。その際は警察が事情を聴取し、送検するかどうかを判断します。今回はキャイラではなくレポートの方を選んだわけです。

この事件は、私のいるブレイズホルトゥス教会と同じ地区にあるため、私たちにも事件の顛末が伝えられ、そのようなことが起こるのを防ぐためには、どのような対処が適切だろうか?ということになりました。

これまた近隣の教会に女性牧師のヒルダさんがいるのですが、ヒルダさんは自身がDVの被害者でした。彼女はまだ若く、極めてオープンに問題を語り、同時に暴力被害者の女性たちのグループのケアの活動もしています。

このヒルダさんを招いて、話し合いが持たれました。適切なコミュニケーションを保つために大切なこととして、例えば「セクハラにあった時はすぐに牧師に報告する」「男性と女性が一対一で教会内にいることを避ける」「一対一で談話室等に入らなくてはならない時は、必ず他のスタッフにその旨を告げておく」等々。

これらのことは、牧師間では、まあ以前から「常識」として守られていることなのですが、教会スタッフに周知徹底しているわけではありませんし、牧師間でもどの程度シビアに守るか?に関しては個人差があります。

ブレイズホルトゥス教会では、もう少し対策を進展させるために、検討委員会を作りさらに話し合いを進めることになり、私もその委員会に入ることになりました。





「そんなつもりじゃなかった」はNo言い訳
内閣府ポスター


で、ちょっと考えてみたのですが、「適切なコミュニケーションを保つ」という名の下に(少なくとも)ふたつのカテゴリーがあると思います。ひとつ目は「特に未知の男性の暴力から女性を守る」ということ。ジェンダーが入れ替わることはもちろんあります。

ふたつ目は「既知の男性、あるいは良く見知った男性のセクハラから女性を守る」ということです。

「未知の男性からのセクハラ、暴力を防ぐ」というのはある程度常識で対処できるだろうと思います。教会には「未知の人物」は相当数訪れるものですが、とにかく「ふたりきりになるのを避ける」「職場環境での『死角』を明らかにしておく」というようなことがポイントで、あとはそれを実際に可能にする方法を探るべきでしょう。

警備会社に直結した「非常用ブザー」なるものもあるそうで、これも検討すべき手段です。

私見では、「見知った仲の人たちの中でのセクハラを防ぐ」ことの方がはるかに複雑な課題です。大体世間を賑わすようなセクハラニュースのほとんどは、見知った仲間の中で起きたものではないでしょうか?

クオモ・前NY州知事の秘書に対するパワ・セクハラや、著名映画監督の女優さんへのセクハラ、スポーツのコーチの選手に対するパワ・セクハラ。ある程度、基礎的な人間関係が確立している場合の方が、対処が難しいように思われます。

その人間関係の中で、gerandiゲーランディ(セクハラの「行為者」)は、「ここまでは大丈夫」という見切りをしてくるわけですから、どうしてもセクハラ等へ強くなれない人がtholandiソーランディ(ビクテム)となってしまいます。

セクハラがパワハラと抱き合わせになっているケースが多いのは、そういう理由があるからだろうと推察します。




こういう本もあるようで 
佐藤律子著 青春出版社


「ふたりきりなるのを避ける」のも職場仲間の間では難しいものがあります。私自身、若い女性牧師とコンビで仕事をしていますが、無人の教会でふたりきりでいることなど日常化しています。

準備、後片付け、話し合い等々あるのですから、これは避けようがありません。まあ、自分はセクハラをすることはないと思いますし、女性牧師の方が虚偽の訴えを起こす心配も持っていません。

唯一、現実にありそうで、気をつけなくてはいけないのが「自分はセクハラと思っていないことがセクハラと受け取られる」ことで、結構のセクハラ加害者がこれを言い訳に使っていますよね。コワッ!

見知った仲同士でのセクハラ防止というのは、最終的には男性が何がセクハラに相当するかを良く認識し、セクハラとは暴力であることを理解すること。ムラムラしない。 いや、ムラムラしても抑えること。

女性の側からしたら、挑発しないことと、何が挑発と受け取られるかについての理解を持つことくらいが実効性のある対策ではないでしょうか?(ここでもジェンダーが入れ替わることもあります)

スッキリ、クッキリの解決がない問題というのは世の中に無数にあるのでしょうが、考えさせられますね。唯一の良い点は、考える中で人間に対する洞察が多少なりとも深まることかなあ?... まあ、そうだといいけど。(^-^;


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
Facebook: Toma Toshiki
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