大失敗に終わった第一弾。新築物件なりの魅力があったのに、それが母にとって独り住まい的な怖さを感じさせてしまったようで、完全に作戦ミスだった。
そんな顛末をケアマネさんに報告。すると、一緒に紹介してくれた別の物件の方も空室があると教えてくれた。
じつはそちらの方が新築物件より近く、土地勘も断然優れているところだったので、連絡をして早速見学に行ってみることにした。
既に60人ほど入居している施設で2~3室あいているとのことだった。
色々な対応は新築物件と大差はなかったが、コロナ対応でレクリエーションなど休止しているそうなのと、
通常の施設が食事は食堂でとなっているのに対し、ここは部屋食対応にしているそうだ。
老人施設のクラスター対策としては究極の方法かもしれないと思った。
部屋食は病院の個室とか高級なホテルでないとお目にかかれない代物だし、動きたがらない母を説得する最高の材料だ。
善は急げで、数日後に母を連れて見学した。最大の売りは「部屋食」。いまどきこんなところはないよと強力にプッシュ。
母はその後も何度かグズグズ言っていたが、ある程度強引に転居計画を進めた。
今までの施設にも転居先をほぼ決めたと報せ、新しい施設と今までの施設の担当者、ケアマネさんと私たちと母との打ち合わせ会を行った。
新しい施設の担当者から母の介護・健康状態などを聞き取りされ、今までの施設の担当者からこれまでの経緯などを報告され、
転居しても大丈夫とゴーサインが出た。この会議を経て新しい施設との契約をして、入居日が決まった。
20年以上過ごした施設から転居するのを母は色々なセレモニーで感じているようではあったが、
最後まで転居するのは他人事のように思っているようだった。
それでも母の気持ちを手探りし、今までの施設からの最後通牒をちらつかせたり、新しい施設がどんなに良いか吹き込んだりして、
「新しい所に引越しするのだよ。」
とちゃんと言いながら、入居日までを過ごした。