日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

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東京オリパラ大会──これだけコロナ感染が拡大しているのに、「開催する」という1パターンのみ。あらゆるパターンを想定し、できない基準をつくることが必要です

2021-01-03 | 東京都政・都議会のこと

 昨年の12月23日、都議会オリパラ特別委員会で質問にたちました。

■「コロナに打ち勝つ」ってなに?

 「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として東京でオリンピック・パラリンピックを開催する」──菅首相、小池都知事、IOCバッハ会長が、異口同音にこれをくり返しています。

 そもそも「コロナに打ち勝った証」とはなんでしょうか

 コロナウイルスの感染を抑え込んだ状態なのか、コロナ感染が広がったもとでもオリンピックを成功させたということなのか、それとも別の何かなのか。

 時の為政者が、「打ち勝つ」と言えば最終的に打ち勝ったことにされてしまうのではないかという懸念の声も寄せられています。 

 12月の都議会オリパラ特別委員会で、どういう意味なのか質問しました。

 それに対する東京都の答弁はつぎのようなものでした。

(池川)新型コロナのもとで来年夏に大会を開催するにあたり「コロナに打ち勝つ」とは、どういう意味か。どのような状況になることが、打ち勝ったことになるのか。

(担当部長)安全・安心な大会に向けて、中間整理を踏まえ、必要な対策を着実に進めていく。

 これを聞いても、さっぱり何を言ってるかわかりません

 東京都医師会の尾崎会長は年頭所感で、

7月には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開かれる予定です。政府は人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催すると言っていますが、打ち勝つための7月までの具体的なロードマップは全く示されていません。国民皆が強く想えば打ち勝てると思っているのでしょうか

 と、述べています。

 以前には、「やるとすれば無観客という形でやっていくのが、妥当な線」「協力する形になれるのかどうかは難しい」と述べておられます。

■東京オリパラ大会には、どういう状況になったらできないという基準がない

 日本共産党都議団は、何よりも命と安全を最優先に、開催できない事態も想定に入れた対応と、開催自体の可否を、誰が、何を基準に、いつまでに判断するのかを明確にすること。そしてその判断の基準や時期は、感染症の専門家やアスリートの意見を踏まえたものにすることが必要だと強調してきました。

 感染症の専門家である神戸大学の岩田健太郎医師は、「2020東京五輪にはできない基準が設定されていないから不安なんです。『事態がここまで来たら絶対できません』という、それさえ作らないというのが一番無責任なやり方です」と警鐘を鳴らしています。(The Sportiva 岩田健太郎は東京五輪に不安。「できない基準が設定されていない」

 これは重要な指摘だと思います。

 つまり、現状の東京オリパラ大会は、「開催する」という1パターンしかなく、新型コロナの状況がどうであれ開催する選択肢しか持ち合わせていないということが一番の問題です。

 「開催する」以外の別パターン=できないということを、どういう基準にするのかをあらかじめ決めておくというのは、何も特別なことではないはずです。

 国内外の感染症の状況がどうであれ、開催するということは医療従事者方々への負荷をはじめ、到底理解が得られるとは思えません。

 私は、感染状況がどうなろうと、「決めたことだから」ということで突っ走ってはいけないと思います。あらゆる可能性を想定し、状況に応じて対応していく。そのための基準をつくっておくことは、当然です。それを示さないで、安全に大会をやることができるのかということだと思います。

■感染症の拡大とともに、2021年夏の開催はむずかしいという意見は増加

 NHKが12月中旬に行った世論調査では、来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催についてどう思うか聞いたところ、「開催すべき」が27%、「中止すべき」が32%、「さらに延期すべき」が31%で、「中止すべき」が「開催すべき」を上回りました。10月に同じ質問をした際には、「開催すべき」が40%、「中止すべき」が23%、「さらに延期すべき」が25%で、「開催すべき」が「中止すべき」より多くなっています。(NHK 東京五輪・パラ 「中止すべき」が「開催すべき」を上回る

 これは、率直な意思表示で、コロナ対策について、GoToキャンペーン中止ひとつ決められない政府の態度にも、自衛を呼びかける知事の姿勢にも、多くの都民や国民がこれなら大丈夫だと思えないことのあらわれだと思います。

■外国人観客の対策は「ザル」だという批判

 海外のチケットホルダーへの対応は、驚きです。

 防疫措置として行っている、14日間隔離・公共交通機関不使用は観戦を事実上困難とするものとして条件にしないとしているのです。

 水際で止めるために有効な策として行っている対策であっても、オリパラ大会だとそれは現実的でないから、同程度にするということで果たしていいのかと。同程度の中身も、現時点では極めて不明確です。

 観客が世界中から来て、公共交通機関も使っていいというのはザルみたいなやり方だという批判もあがっているわけです。しかも、現時点でチケットホルダーが海外に何人いるかということさえ非公表のため、答えられないという状況です。

 チケットがない人は隔離しないとしていますが、たとえばファミリーで来て、そのうち何人かがチケットがなかった場合はどうするのかという対応についても一言も答えられませんでした。

■科学的な根拠を持って、いつまでに、誰が、判断するのかを明確にすることが大事

 小池知事やバッハ会長は、100年前のアントワープ大会について、「『危機の後の連帯と復興』の象徴」だというわけですが、100年間で科学も、医学も、公衆衛生も発展しています。アントワープ大会になぞって、だから東京もできるというのは精神論でしかありません。

 東京オリパラ大会は、何よりも命と安全を最優先に、開催できない事態も想定に入れた対応と、開催自体の可否を、誰が、何を基準に、いつまでに判断するのかを明確にすることが必要です。


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