2月3日、反貧困町田青年ネットワークのメンバーといっしょにあだち若者サポートステーション(以下、サポステ)に視察に行きました。サポステ設置は、市議会でも提案し、実現したい課題の一つです。
◆「貧困の連鎖は生まない」──ステップアップをする
「貧困の連鎖は生まない」──足立区の就労支援課のみなさんが語る言葉。また、「税によって生活をしていかなければならない状況から、税を納められる状況に変えていく」──サポステは、若年者に対して、そのためのレベルアップをおこない、就労につなげていくためのステップアップをおこなっています。
区の担当者は、「原野を開拓していくような気持ちでやっている」と表現をされていましたが、これまで行政がやってこなかった分野です。表面的なとりくみではなく、具体的なとりくみが求められています。
◆区、サポステ、ハローワークの一体的なとりくみ
ニート、フリーター、ひきこもりの支援を包括的、総合的にとりくむ拠点がサポステですが、足立区とサポステとハローワークの三者による一体的なとりくみが非常に重要です。
足立区は、産業経済部の中に就労支援課を設置しています。
実情を把握するために、区内の中学校や高校などに足を運び、現場の声をつかんでそれを施策に生かしているという話もありました。また、サポステの情報を民生委員、青少年委員など地域のサポーターの方々に提供し、中学校へ資料の配布などもおこなわれています。
サポステにつなぐためにあらゆる手立てをつくすというところに情熱があることもお話を聞きながら感じたところです。こうしたアウトリーチのとりくみが成果を上げています。
◆働いている人から、働いたことない人まで幅広いメニュー
サポステには、多種多様なセミナーがあります。「アル活セミナー」「就活セミナー」「コミュニケーションセミナー」「いいことし隊」「技ナビ」「職場定着サポート」「仕事道場」「高校学びなおし」など、働いている人から一度も働いたことのない人まで本当に幅広いメニューを準備しています。
仕事道場は、働く体験ができる場をつくり、訓練生として活動をおこないその報酬として一定額を受け取ることができる仕組みです。実際の現場で、サポステのリーダーの方の指示のもとに働きます。
「高校学びなおし」では、基礎基本から自分のペースで学び、どこでどのようにつまづいたのかを知り、それを乗り越えていくプロセスを援助します。
◆常に複眼で見る
「単眼ではなく複眼で見る」──サポステでは月2回のケース会議を開き、担当者任せにしない仕組みをつくり、見立てをおこなっています。私は、これが非常に大事だと思います。
また、サポステには、週5日のキャリアカウンセラーによるカウンセリングと週2日の臨床心理士によるカウンセリングがあります。当事者はもちろん、親御さんの相談にも対応しているのも特徴です。
◆即効性ではなく、長い目で見ていく
サポステ事業は、即効性だけなく、一定期間の積み重ねの中にその成果が表れてくる事業です。すぐに目の前に現れる成果だけを求めていないわけです。
担当者の方も、長い目で事業を進めていくことの重要性を強調していました。
◆「自己責任型社会」からの転換こそ必要
貧困問題研究者の阿部彩さんは『弱者の居場所がない社会』(2011 講談社現代新書)のなかで、「貧困」と「社会的排除」について次のように書いています。
「社会的排除が貧困と異なる一番大きな点は、貧困は『低い生活水準である状態』を示す概念であるのに対し、社会的排除は『低い生活水準にされた状態』を示すという点である」(引用ここまで)
ここには、排除する側とされる側があり、「低い生活水準」が自然の成り行きではないと理解することが必要です。「低い生活水準」が自己責任で、本人やその家族の責任だとする論理であれば、いくら働きかけても無駄であり、当事者のやる気の問題にことがすり替えられてしまいます。
ここから転換をしていく第一歩が、排除されている原因を取り除いていくことであり、サポステがやっているのはまさにこの部分だと思います。
◆「この仕事はおもしろい」
区民アンケートでも評価は高く、全国からの視察の数が多いということから見ても、この施策がいかに重要かをうかがい知ることができます。担当されている方が「この仕事はおもしろい」とくり返し話をされていたことも印象的でした。
この事業は、私から見れば一石三鳥、四鳥です。福祉的な要素を持ちながら、産業経済部が所管しているところも大きな特徴だと思います。町田でも実現に向けてとりくんでいきたいと思います。
最後になりますが、視察を快く引き受けてくださり、丁寧な説明をいただいた足立区の産業経済部長、就労支援課長、議会事務局、あだち若者サポートステーションのスタッフのみなさんにこの場を借りて感謝を申し上げたいと思います。
┏┓池川友一(日本共産党町田市議会議員)
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