大森ショック…大みそか世界戦 王者ケガで中止
今年の大晦日に予定されていたボクシングの世界戦のうちIBF
バンタム級王者リー・ハスキンス-14位:大森将平戦が、王者の
足のケガの影響で中止になった。
ハスキンスは現在ボクシング界で最も勢いがあると言われている
イギリスの選手で、リスのボクシング界は盛況でファイトマネーも
いいためイギリス人選手を挑戦者としてならまだしも王者を呼ぶの
は相当な経費がかかるわけだし実際、山中のライバルだった岩佐亮
佑はハスキンスとの決定戦を敵地で行なったのがいい例だ。
一方9月に宿敵のアンセルモ・モレノとの再戦でダウン応酬の激
闘の末TKO勝ちしたWBC王者の山中慎介は他団体の王者との統
一戦を希望しているものの、ハスキンスやWBA王者のジェイミー
マクドーネルらイギリス人王者は来日するのが難しい。
にも拘らず結果的に中止になったとはいえ決して規模的に大きく
ないウォズジムが、14位の大森を挑戦させるのにハスキンスを招聘
できたのはTBSマネー以外の何ものでもないだろう。
ちなみにTBSはハスキンスだけでなく一昨年がノニト・ドネアに
勝ったギジェルモ・リゴンドーを招聘し、天笠を挑戦させているの
だからTBSマネー恐るべしという事になる。
考えてみれば昭和の時代からTBSが全面バックアップした選手の
世界戦は基本的に日本ばかりで行われており、海外での試合という
のは殆ど記憶にないわけでTBSが使う予算は他の局に比べて尋常
ではない反面、お抱え選手の海外進出を阻む事になる。
視聴率第一主義の民放地上波にとって国内での試合なら最も視聴
率が取れるゴールデンタイムにOAできるが海外での試合の生中継
では視聴率の取れない早朝や午前中になるわけだし、負けるリスク
も高くなるため海外での試合を行う事はTV局にしてみれば決して
いいものではない。
ただ現在のボクシング界はラスベガスでのビッグマッチを行なう
事が強豪選手のモチベーションになるため、本物の強豪と対戦する
には海外に出て行くしかない状況なのだが選手の所属ジムにとって
TVマネーは貴重な収入源だからTV局が嫌がると海外進出は難し
くなっているのが実状だ。
こうしてみると潤沢な資金で強豪を招聘できるTBSの存在は、
日本ボクシング界にとって‘功’よりも‘罪’の方が大きくなって
いるのではないかと思うのだ。