比嘉、体重超過で王座剥奪=日本選手初の失態―WBCフライ級
いよいよ明日は横浜アリーナでWBAミドル級王者・村田諒太と
WBCフライ級王者・比嘉大吾の防衛戦がWタイトルマッチとして
行なわれる予定だったのだが、何とWBCフライ級王者・比嘉大吾
が体重オーバーの失態で失格になるという失態を演じる事に。
世間の目はロンドン五輪の金メダリストで昨年10月にアッサン・
エンダムをギブアップさせWBAミドル級タイトルを奪取した村田
の初防衛戦に行くのだろうが、個人的にはセミファイナルで行なわ
れる比嘉大吾の防衛戦の方が注目度が高く実質的なメインだと思
っていた。
というのも村田の初防衛戦は6位のエマヌエーレ・ブランダムラ
相手だが年齢が38歳でKO数も17勝中5と少ないので油断は禁物
ではあるものの、どちらかといえば次戦以降のアメリカでの大きな
試合に備えた調整試合という位置付けになっているので‘どんな勝
ち方をするか’という方に興味は注がれるだろう。
一方の比嘉は2位のクリストファー・ロサレス相手で26勝中17
KOとKO率は悪くないし体格的にも身長で8cm、リーチに至って
は18cmもの差があって元3階級制覇王者ローマン・ゴンサレスと
遠縁にあたるとの事から仮想比嘉としてスパーリングをしている
らしく比嘉のようなタイプに対する苦手意識はないと思われる。
さらに日本新記録となる16連続KO記録がかかるので、そちらの
方のプレッシャーもかかるだろうから面白い試合になると思って
いたのだ。
それが1回目の計量で900gオーバーで2時間の猶予を与えられる
ものの、汗すら出ないという事でギブアップとの事。
もともと比嘉は骨太で筋肉質な体型という事から最近は常に減量
苦に苛まれておりロサレスとの試合に勝てば、1階級上げて最近ア
メリカ大陸で開催されているSUPPER FLYシリーズに臨んで欲しい
と思っていた。
最近は前日計量が主流になったためギリギリまで絞って試合当日
までに大幅にリバウンドさせて試合に臨むというのが主流になって
おり、リバウンドさせるためにガクんと落とすスタイルを取る選手
が世界的にも増えていた。
ところがこのやり方は急激に落とすため凄い負荷がかかるだけで
なく体重オーバーというリスクがあり、最近は世界的にも体重オー
バーでタイトル剥奪や挑戦者刺客剥奪という例が妙に目立っていた。
実際に昨年5月に比嘉がタイトルを奪ったファン・エルナンデス
も体重オーバーで剥奪されていたし、3月には山中慎介のラストフ
ァイトとなったWBCバンタム級タイトルマッチで王者のルイス・ネ
リが体重オーバーをやらかしている。
基本的に律義な日本人世界王者は計量失敗という不祥事を起こさ
ないので有名だったのだが、今回の比嘉の不祥事は‘まさか’とい
う形で体重オーバーの一報を聞いた時には声を失った。
世界的には‘よくある事’に成り下がっている体重オーバーの不
祥事を2度と起こさないためには、骨身を削る減量に対する美意識
を捨て厳しくなったら階級を上げるようにするべきだろう。