相性という要素の重要性を実感した大熊正二のV3戦

 今から40年前の今日81年2月3日に後楽園ホールで行われたWBC
フライ級タイトルマッチで王者の大熊正二が、前王者の朴賛希に2
-0の判定勝ちで3度目の防衛に成功した。

 両者は前年5月にソウルで当時王者だった朴に大熊が挑戦し9Rに
KO勝ちしてタイトルを奪取すると5か月後の10月に行われた再戦で、
大熊が1Rにダウンを喫したものの中盤から追い上げ2-1の判定勝ち
し2度目の防衛に成功していた。

 ただ10月の試合は韓国のジャッジが4ポイント差で朴の勝ちにし
たのに対し、イギリス人レフェリーと日本人ジャッジが1ポイント
差での僅差だったので本来1位のアントニオ・アベラルとの指名試
合を後回しにして3度目の対戦となった。

 例によって1Rに朴の右フックが炸裂し大熊がグラつくシーンが
あるなどペースを握っていたが、中盤から大熊の執拗なボディ攻
めが効き始めてペースを取り戻し11R以降は大熊の一方的なペース
となり壮絶な流血戦の末に2-0ではあるが内容的には完勝したの
だった。

 これで大熊は朴に対して3連勝となったのだが実は朴は大熊が
タイトルを失うなど3連敗したミゲル・カントからタイトルを奪
取し、再戦でも引き分けたもののダウンを奪うなど内容的には
押していたので3人はジャンケン関係という事になる。

 大熊といえばパンチは強いものの世界戦になると妙に手数が少
なく相手をグラつかせても追撃せず、煮え切れない試合ばかりを
するという印象だった。

 後から考えるとタイトルを奪取したベツリオ・ゴンサレスやタ
イトルを奪われたミゲル・カントに、ダウンを喫して敗れたアル
フォンソ・ロペスらは全て中南米のテクニシャン。

 大熊にすると距離を狂わせられコンビネーションを読まれてい
るため下手にパンチを出すとカウンターが飛んで来るので慎重に
戦う必要があったのに対し、朴のようにスピードはあるものの自
らガンガン仕かけて来るタイプとは相性が良く実力が発揮できた
という事になるのだろう。

 それにしても大熊が苦手にしているテクニシャンのカントを
韓国的な馬力を前面に出したスタイルで攻略した朴のスタイル
が、大熊には好相性だったという事を考えると勝負事に
相性と
いう要素の重要さを教えてくれる試合だった。

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