今から20年前の日本時間の今日96年12月14日にアトラン
ティックシティで行われたヘビー級ノンタイトル10回戦で、
元世界ヘビー級王者のリディック・ボウはアンドリュー・ゴ
ロタと対戦し2度もダウンをする大苦戦の末にゴロタのロー
ブローによって反則勝ちした。
このカードは同年7月11日にもNYマディソンスクエアガー
デンで行われ、やはりゴロタ優勢で試合が進んでいたにも拘
らずゴロタの2度にわたるローブローで減点された後7Rに3度
目のローブローでボウが悶絶し反則勝ちとなっていたので前
代未聞の2試合連続のローブローによる反則勝ちだったわけ
である。
リディック・ボウといえばソウル五輪Sヘビー級アメリカ代表で
決勝でレノックス・ルイスに敗れて銀メダルだったものの直後に
プロ入りし、196㎝という身長を生かしたボクシングでマイク・
タイソンを脅かす存在などと期待されたホープだった。
名トレーナーのエディ・ファッチに師事し快調に白星を積み上
げていき、デビューから4年後の92年11月にはイベンダー・ホリ
フィールドに判定勝ちして統一世界ヘビー級王者になる。
この試合をTV解説していたジョージ・フォアマンとの初防衛
戦が期待されたもののフォアマンサイドが高額なファイトマネ
ーを要求したため破談になったのだが、これは体格のアドバン
テージを生かせずスピードで勝るボウに勝ち目がないので断ら
せたというのがもっぱらの評判である。
一方WBCからはレノックス・ルイス相手の指名試合を義務付
けられたものの対戦を拒否し、WBCベルトをゴミ箱に捨てると
いうパフォーマンスでWBCタイトルを剥奪される。
ここからボウのキャリアが怪しくなりマイケル・ドークスや
ファーガソンら格下相手の防衛には成功するものの、ホリフィ
ールド相手の再戦では中盤から調子を上げ始めた時にパラシュ
ート男が落下&乱入するという不運なハプニングで勢いを削がれ
て判定負け。
しかしハービー・ハイドに勝ってWBOタイトルを奪取し1度
防衛した後に返上しホリフィールドとの第3戦に臨んでダウン
を喫しながらも8RでTKO勝ちし決着を付け、いよいよ復帰した
マイク・タイソンとの対戦もと思われていた次の相手がゴロタ
戦だったのだ。
この試合でゴロタを侮ったのかオーバーウェート状態でリン
グに上がり反則勝ちで辛勝したものの、エディ・ファッチとも
袂を分かち迎えたゴロタとの再戦でも前回以上の酷い内容を晒
してしまう。
これで勢いを失ったボウは引退してしまいソウル五輪の再戦
となるレノックス・ルイス戦やマイク・タイソン戦なども幻に
なってしまったわけだ。
最終的にホリフィールド2戦目の不運な判定負け以外は記録
上は負けがないし、ホリフィールドとの3連戦の名勝負などが
あるのでポスト・タイソンとして君臨できたはずなのにと今で
も思ってしまうボクサーだった。