ミラーマンの38話&39話は残暑の中の怪談シリーズという企画で38話は
地獄谷の妖怪、39話は吸血鬼・狼男・のっぺらぼうと登場するのだが、2つの
EPを監督したのが黒田義之。
黒田監督は大映で大魔神シリーズや妖怪大戦争などの妖怪3部作の特技
監督だったから‘不気味さを醸し出す演出’が得意としているようで、5話のイン
ベラー編でも地獄谷というキーワードに のっぺらぼうに扮したインベーダーが
登場し闇が迫る中で霧の向こうから逆光で現れる傘をかぶった老人の演出は
本当に不気味だった。
ヒーロー作品の敵は異形のものだから当然 不気味さを強調する演出や怪奇
色の強いEPがあるので、そういう演出をするのが得意な監督は貴重だ。
第1期ウルトラでは東宝でモスラなどの助監督をしていた野長瀬三摩地監督が
印象深い。
ウルトラQで海底原人ラゴンがヌッと窓から覗くシーンから始まりウルトラマン
ではダダの不気味さのインパクトも野長瀬演出ならではだろう。
セブンになると2話のワイアール星人編で小包を届ける郵便配達人が‘異星
人が変身しているのでは?’と思わせるほどの不気味さだったし、23話の
シャドー星人編でも予言をした安井を しつこく追い掛け回すダンプや星人が
安井の行く先々に出没し追い詰めて行くのも印象深い。
第2期になって野長瀬監督は外れていたのだがミラーマンで妖怪モノが得意な
黒田監督が参入してきて‘怖がらせ’を行ったのだ。
ミラーマン大全でも語られていたが地獄谷に出現した妖怪怪獣マグマゴンを
目撃者が‘妖怪’と呼ぶのは確かに無理があるのに対し、闇の中で生活し壁を
すり抜けたりするインベーダーの方が妖怪的なのだから 妖怪モノを得意にして
いる黒田監督が51話中19話を担当してメイン監督となったのも必然だったの
かもしれない。