今年に入って桜宮バスケットボール部の体罰事件から女子柔道の園田監督に
よる体罰事件など‘体罰’に対する批判がマスコミを賑わしている今日この頃
だが、言うなれば行き過ぎた経験重視主義の暗部が暴きだされたという事だろう。
日本ではプロ野球や大相撲を中心に現役時代にすばらしい成績を残した者が
指導者になるので彼らの経験してきた事が神聖化されるのだが、これこそが
昨今の体罰事件などの温床というか元凶になっている。
素晴らしい実績を残した者は すべからく自らを律して限界まで追い込んで鍛え
上げる者ばかりだが、万人が そこまでやれるわけはない。
今回 批判の矢面に立っている園田監督も現役時代は世界選手権の優勝者
なので実績は十分だし自らやってきた事を選手達が実践すれば結果が出ると
信じて疑わなかったのだろうが、これこそが経験重視主義の盲点で現代の選手
達に全てが合うわけではないため こういう軋轢が生まれたのだろう。
そして全柔連のトップにしても選手より自分達と同じ経験をしている監督の言う
事の方を重要視し、体罰を受けた選手達に対しては‘今どきの若いヤツは根性が
ない’的な見方しかしてなかったに違いない。
それで結果が出ていれば問題はないのだろうが本当のプロ化した現在において
トレーニング理論などの進化は目ざましく進んでいるので、うさぎ跳びや夏場の
給水制限など昔なら常識だった事が現在では否定されているのが いい例なのに
むしろ指導者の方が付いて行けてないケースが多いのが日本の現状だ。
日本で数少ない本当のプロであるサッカーなど指導者になるにはライセンスが
必要になっているし、MLBなどで監督になるにはマイナーリーグのコーチをして
結果を残さないといけないなど現役時代の実績と指導者としての資質は違うと
いう事が明確になっている。
体罰やオーバーワークなどの不祥事を防ぐには行き過ぎた経験重視主義を
棄て現役時代の実績に関係なく指導者こそ新たな理論を勉強して受け入れる
ようにするのが重要ではないだろうか。