ウルトラセブンはウルトラ兄弟？

　蒲田時代の事、ウルトラセブンのビデオを見た先輩が
不思議そうに言ってたのが「セブンとキングジョーの戦い
どう考えても3分過ぎてたよね」というもの。
　確かに神戸港でのセブンとキングジョーの戦いは長い。
　ペダン星人に監禁されていたDアンダーソンが記憶を消さ
れており記憶を取り戻すまで、ライトンR30爆弾を開発する
時間、そして爆弾を六甲の防衛センターから神戸港まで運ぶ
時間を考えるとどう見積もっても3時間ほどの死闘だ。
　私が「セブンは活動時間は3分ではないですよ」と言うと
「ウルトラ兄弟は3分じゃなかったっけ？」と驚いたように
先輩が言った。
　考えて見るとウルトラセブンはキャプテンウルトラを挟ん
だウルトラマンの後番組だ。
一応同じM78星雲の出身だが元々製作段階から「レッドマン」
というタイトルの予定だったように全く別の設定である。
　だいいちウルトラセブンというネーミングはウルトラ警備
隊7人目の隊員という事だから唯一ウルトラマンセブンとは
呼ばれないのだ。
　本当にウルトラ兄弟なら最終エピソードでセブンに「変身し
てはいかん」と警告に来るのはゾフィのはずだ。なのにセブン
そっくりのセブン上司という怪しげなキャラが登場する事自体
ウルトラ兄弟の設定はまだなかった。
　ウルトラマンとの違いは3分以内の活動時間か超えてもOKか
だけでなく宇宙空間を長時間移動する時はウルトラマンは赤い
玉になって飛んでいたがセブンは生身である。
　恒星観測員という身分だから赤い玉に入っていると観測がで
きにくい、ただし頻繁に隕石などが飛んできて危ないので額に
ビームランプがありそこから光線を発射して身を守るのだ。
　それでウルトラマンにないビームランプがセブンにはついて
いる、エネルギーが切れかけると額のビームランプが点滅する
のはバッテリー切れのようなもので実際にあの位置で点滅して
も自分には分からないだろう。
　ウルトラマンのメイン光線技はエネルギーを大量に消費する
スペシウム光線だが、セブンはワイドショットという同じく
エネルギーを大量に消費する光線技を持ちながらあまり使わな
い。代りに使うエメリウム光線orウルトラビームは威力を調節
できる、だから肺の中で戦った対ダリーやビラ星人に操られて
いたユシマ博士をビームランプからの光線で撃っても大丈夫だ
ったのだ。
　最終回でセブンは歴戦のダメージでかなり深刻な状態だった
がウルトラビームが途中で止まりアイスラッガーは飛ばず、仕
方なしに手で持って使用した。本来ならワイドショット1発で
終らせられたはずだがワイドショット自体を撃とうとしなかった
のは、ワイドショットを撃つエネルギーすらなくなっていたと
いうのが実情だろう。
　歴代の兄弟が最終回でセブンのような状態にならなかったのは
3分以内で戦いを終らせていたためで、なまじっかセブンのように
いくらでも戦っていないからこそだ。
　だからある意味セブンのように無制限に戦えるならウルトラ
兄弟とはいえボロボロになっていた危険性がある。
　コアなセブンファンに言わせると「セブンは孤高のヒーローだか
らウルトラ兄弟とは関係ない」だそうだ。
　たしかにウルトラ兄弟の設定ができていたらガッツ星人から捕獲
され処刑寸前になったときもウルトラ兄弟が助けに来ただろうし、
最終回でも違ったものになっているだろう。
　解釈は人それぞれだが、これだけのウルトラ兄弟とは違った設定が
あったからこそ‘平成セブン’と言われるオリジナルビデオシリーズ
ができたのではないかと思う。
　他のウルトラ兄弟とは一線を画している存在ではある。