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こーじ苑
長谷川穂積と西岡利晃の明暗
昨日行われたWBCの3大世界戦で昨年に続き長谷川穂積と西岡利晃の
2人の世界王者が共演したのだが、昨年同様 西岡がKO勝ちして防衛に成功
したのに対し長谷川は またしても3Rまでポイントをリードしながら4RにKO負け
という残念な結果になった。
日本が世界に誇る2人のサウスポー王者だが、思えば2人の明暗は交錯して
いる。
最初に注目されたのは西岡利晃。
バンタム級時代から‘将来の日本のエース’などと期待され、辰吉丈一郎から
タイトルを奪取し返り討ちにしていたウィラポンに4度挑戦したものの2度の引き
分けを挟んで全て失敗。
しかも2度目の挑戦で引き分け再戦が決まっていた01年12月にアキレス腱を
断裂し、その影響からか3度目・4度目とも試合ぶりに精彩を欠いていた。
一方で長谷川穂積はバンタムで頭角を現し西岡がブランクを作っていた03年
には東洋・太平洋王者で日本人キラーだったジェス・マーカに勝って名を上げ、
05年4月に辰吉と西岡が勝てなかったウィラポンを攻略してWBCバンタム級
タイトルを獲得。
当初は‘2・3度防衛できれば’と思っていたら2度目の防衛戦でウィラポンを
右フック一発でKOするなど着実な進化を見せ10度の防衛に成功するなど平成の
名王者となった。
長谷川が6度の防衛をしている間に西岡はSバンタムに階級を上げて8試合を
行い5KOを含め8連勝していたものの評価は今ひとつ。
しかし08年9月にイスラエル・バスケスが網膜剥離のため暫定王座決定戦に
出場。
奇しくも相手は宿敵・ウィラポンの後輩だったナパポーンだったが倒せなかった
ものの圧倒し大差の判定勝ちで5度目の挑戦で遂に世界王者になり、バスケスが
王座を返上したため正規王者になった。
とはいえアキレス腱断裂した事により断裂前ほどのスピードは戻ってないと思わ
れたし、既に32歳という年齢から考えるとジョニー・ゴンサレスとの指名試合あたり
で負けるのではと思われていた。
ところが初防衛戦後にメキシコに乗り込んでジョニー・ゴンサレスの挑戦を受け、
1Rにダウンを喫したものの3Rに左ストレート一撃でKOして2度目の防衛に成功。
ここから快進撃が始まり昨年10月に1位のレンドール・ムンローを倒せなかった
ものの、一方的に攻めまくって大差の判定勝ち。
これを含めて6度の防衛中5KOという素晴らしい成績で名王者と呼ぶのに十分
な実績を挙げている。
10度の防衛に成功した長谷川は昨年4月にWBO王者のフェルナンド・モンティ
エルから4Rに一瞬のスキを突かれ逆転TKO負けし、モンティエルが再戦の意志
がないという事から悩まされていた減量苦もありフェザー級に2階級上げる。
そしてファン・カルロス・ブルゴスを判定で下し2階級制覇を果たしたものの、
一昨年メキシコで西岡から敗れていたジョニー・ゴンサレスとの初防衛戦で4Rに
TKO負けし初防衛に失敗となったのだ。
こうして見ると長谷川は西岡が勝てなかったウィラポンに連勝、そして西岡がKO
勝ちしたジョニー・ゴンサレスにKO負けと相性というのがあるのかと思えるぐらい
明暗を分けている。
ただ長谷川の場合メキシコ側の事情でフェザー級転向第1戦が いきなり世界戦と
なったのでフェザー級2試合目では体ができてないのが実情だ。
それを考慮すれば今回の負けも仕方ない面があるし、西岡もウィラポン相手に4度
挑戦失敗という挫折を乗り越えての現在の地位だから この敗戦をいいきっかけに
して今度は1年はノンタイトルでフェザー級に慣れてからの世界挑戦に臨んで欲しい
ものだ。
これで引退というのが最悪の選択なのだから・・・・
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