山中らトリプル世界戦=五十嵐は八重樫と対戦―ボクシング(時事通信) - goo ニュース
今日の新聞に4月8日に両国国技館でボクシングのトリプル世界戦開催の
記事が載っていた。
WBCバンタム級王者・山中慎介-マルコム・ツニャカオ戦や昨年10月に粟生
隆寛からタイトルを奪取したガマリエル・ディアスに三浦隆司が挑戦する試合と
共にWBCフライ級王者の五十嵐俊幸に前ミニマム級王者の八重樫東が挑戦
するというのである。
王者の五十嵐にしてみるとアテネ五輪代表ではあるが知名度が今ひとつ
なのに対し昨年6月に敗れたとはいえWBAミニマム級王者としてWBC王者
だった井岡一翔と死闘を演じた八重樫の方が知名度が高いので勝って知名度を
上げたいというのがあるだろう。
問題は八重樫陣営の姿勢である。
八重樫は一昨年10月にポンサワン相手に激闘の末TKO勝ちしてタイトルを
奪取したが井岡に敗れている事実は変わらないし、減量がきつかったから階級
を上げるという選択肢は悪くないものの昨年はSフライ級王者の佐藤洋太に挑戦
するという話まで出ていたのに続いて ある意味拙速ともいえる世界戦だ。
もともと八重樫は7戦目にイーグル京和世に挑戦して失敗しているように大橋
ジムは短いキャリアでの世界戦を組むなど話題性重視の姿勢が目立つ。
つまり井岡に敗れたとはいえ激闘を演じたという熱が冷めないうちに一気に
世界戦へという感じだろうし一時期話が出た佐藤への挑戦も その流れだろうが、
正直言って階級を上げるという事に関しての軽視感が窺える。
長谷川穂積が体験したようにバンタムでは倒せていたパンチがヒットしても
フェザーでは倒せないケースが多く、それゆえスタイルを崩してしまったという
事から分かるように階級を上げる場合は いくら減量が厳しいとはいえ上の階級
にフィットするべくノンタイトル戦を3~4試合はこなす必要があると思う。
ところが八重樫の場合は当初3階級アップのSフライ級挑戦の話が出ていたし、
1月にようやく2階級上のフライ級で再起戦を飾ったばかり。
個人的には世界タイトル奪取はゴールではなくビッグマッチへのスタートだと
思っているので世界挑戦する前に いかにキャリアを積むかが重要だと考える
のだが、八重樫陣営の感覚では‘とりあえず世界を獲ったら後は野となれ山と
なれ’的だとしか思えない。
大橋ジムにはビッグホープの井上尚弥がいるのだが今のままのような話題性
のみを重視したスタンスでの育成法では歴史に名を残せるような逸材を並みの
王者で終わらせかねないと危惧するのだ。