なかなかできないイビチャ・オシムの皮肉采配

 先日亡くなった元ユーゴスラビア&日本代表監督のイビチャ・
オシム監督はいろんなエピソードがあるのだが、個人的に興味深
いものとしてユーゴ代表監督時代に90イタリアW杯の初戦で行っ
た采配だ。

 ユーゴスラビアという国ははセルビアやクロアチアなど他民族
国家で有名だったので、ユーゴのマスコミは各民族のスター選手
ばかり集めたメンバーでの戦いを要求したらしいのだが何と初戦
の西ドイツ戦でマスコミの要求するメンバーで臨み1-4で敗れて
いる。

 これ完全なメディアに対する当てつけで次のUAEに快勝すると、
コロンビアと引き分け1勝1敗1分の2位でグループステージを突破
している。

 決勝トーナメントではスペインに完勝した後に準々決勝でアル
ゼンチンと退場者を出したにも拘わらず押しまくり、0-0で引き
分けPK戦の末に敗れた。

 まぁ本来なら采配を振るうはずだった南アフリカ大会では岡田
武史監督が、明らかに調子を落としていた中村俊輔から本田圭佑
にチームの柱を変更し2試合目のオランダ戦で途中出場させ引導
を渡す形にしたのも見事だったのだが。

 ここで凄いのがマスコミの望むメンバーを敢えて強敵・西ドイ
ツ銭で起用し、それから自身の理想とするメンバーで戦っている
という事。

 どこの国でもマスコミはメディア受けする選手の起用を主張す
る傾向が強く、それらの選手が活躍して勝つ事を望んでいるよう
だが現実は甘くない。

 ところがマスコミというのは自分達の推す選手を起用しないで
苦戦すると‘〇〇を使わないから’‘〇〇を生かしきれてない’的に批
判する傾向が強いわけで、それを敢えてマスコミの希望するメン
バーで戦うというのは頭で考えていてもなかなかできる事ではな
いと思う。

 ユーゴでそういった事があったからこそ日本でもメディア受け
する選手の起用を主張されても、それなりに対策を立ててくれる
と思っていた。

 特に民放地上波は特定の選手をク専用カメラまで設けてクロー
ズアップし活躍をPRするなどスター選手中心主義を主張するわけ
だが、オシムならばそういった雑音を皮肉な表現で封じてくれる
と期待していたのだが病気で適わぬ事となった。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
日本人には (こうちゃん)
2022-05-04 11:10:35
到底マネ出来ないブーメラン攻撃の様に思えて愉快痛快。外国人はこういうユーモアセンスがあるから、口五月蝿いメディアにチャック出来るんだ。
 
 
 
日本人監督では (こーじ)
2022-05-05 20:10:41
>こうちゃん様

 日本人監督では、むしろそういった選手を起用する傾向が強いですからね。

 もっともジーコもそうでしたけど。

 これはオシムならではの芸当だと思いますよ。
 
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