今から40年前の今日74年10月26日に行われたWBA:Jウエルタ
ー級タイトルマッチで王者のアントニオ・セルバンテスは挑戦者・
門田恭明を8Rで8度も倒すという圧勝劇で8度目の防衛に成功した。
挑戦者の門田はサウスポーの強打者でアメリカ西海岸で元世界
王者のチャンゴ・カルモナや世界挑戦経験のあるジミー・ロバー
トソンを倒すなど腕を磨いていたがターゲットのWBCライト級
王者のロドルフォ・ゴンサレスへの挑戦を石松にさらわれる形で
1階級上げての挑戦となった。
王者のセルバンテスは藤猛を完封したニコリノ・ローチェを倒して
防衛に成功するなど評価が高かったのだが、前年12月にパナマで
ライオン古山の挑戦を受け判定勝ちしたものの時おり古山のパンチ
を受けてグラつく場面もあったので同じサウスポーという事から
‘門田のパンチが先に当たれば'という希望論もあった。
ところが1Rに王者の左フックで門田は腰を落とし連打をまとめ
られてダウンをすると5Rまで毎回ダウンを喫し、8Rに3度のダウ
ンをしてKO負けという惨敗だった。
長身の王者に門田は得意の右フックをリードにして飛び込むの
だが同時に右ガードが下がるため、そこへ王者の正確な右ショート
や左フックが炸裂する展開でダメージを溜めていく形になった。
門田は東洋王者時代に日本王者の高山将孝と並んでライト級の日本
人ホープといわれていたし海外でも活躍していたのだが、ハワイで
カルモナを鮮やかに倒した試合を見たゴンサレス陣営から警戒され
パナマでロベルト・デュランに完敗した石松が選ばれるという不運も
あった。
ただ100戦を越えるキャリアを誇りJウエルター級タイトルを通算
16度も防衛したセルバンテスは日本人と3戦しているものの来日した
のは門田戦のみなので、名王者のファイトを国内で見る事ができたのは
日本のボクシングファンにとってありがたい事だった。