玄関と勝手口に ついて

　先日取り壊された我が家の前の家に住んでいた90代の老夫婦は その奥に
新築された平屋建ての家に住んでいるのだが、おばあさんの方が足が衰えて
いるので まともに歩けないため玄関には車イスでも入れるスロープが付いて
いる。

　ところが2日に1回ディケアに出かける際に迎えの車に乗り込む時には なぜか
スロープの付いた玄関からではなく、段差がある勝手口の方から必ず出ている
のに気が付いた。

　ちょうど台所と思われる部分の左側の出口が玄関で右側が勝手口だから距離
的にも変わらないと思えるのだが、ここで思いつくのが昔の人の玄関と勝手口に
関する認識で特に女の人は玄関からではなく勝手口から出入りする傾向がある
と思う。

　実は建て替える前の我が家の場合 今と同じく店舗兼住宅だったので店の
入り口と玄関に勝手口の3箇所出入口があった。

　基本的に店から居住スペースに上がる部分と勝手口部分には靴やサンダル
など履物が所狭しと並んでいたのだが、玄関だけは履物すら殆ど置くことはなく
あまりここから出入りする事はなかった。
　
‘玄関は家の顔’で正式な客を迎える所という認識が昔の人にはあるようで、
家の住人は勝手口からという感覚だったのだろう。

　しかし家を建て替えてからは勝手口側の通路が狭くなったし自転車などを
置いているので特に結婚後は勝手口を開かずのドアにしているのだが、
自家製ミソを売りに来る業者は年配者だったからか それでも勝手口から入って
来ようとしたので‘玄関から入ってください’と言っても抵抗があるようだった。

　それを考えても玄関から入る場合はフォーマルな行事でないとダメという感覚
が昔の人は強かったのだろうと思うのだ。