76年 選抜高校野球Qファイナル・北陽 2-8 日田林工

　北陽は日田林工先発の喜見が右のサイドスローの軟投派という事で、
左投手だった鹿実戦からオーダーを換えてきた。
　3番に7番だった横田を戻し、4番は初戦でサヨナラタイムリーを放った
大岡、5番に中川路を入れて鹿実戦でホームランを放った白石を7番に
下げた。
　つまりクリーンアップに左を並べたのだ。

　共にサイドスロー同士の対決だが、投手力は北陽が上なので日田林工
打線が2試合で1点づつしか取られてない白石を どう打つかが焦点だった。

 　今大会初めて先攻になった日田林工は、1番・吉松がセンター前ヒットで
出塁するとバントで2塁に進み3番・柳川の時に3塁に盗塁成功。
　直後に柳川がスクイズを決め幸先よく先制。

　その裏の北陽も喜見を攻め、2回戦で当っていた1番・西影がヒットで
出塁するとバント失敗などで2アウト1塁とランナーが入れ替わるものの
4番・大岡がライトオーバーの2ベースで横田が還りあっさり追いつく。
　直後に5番・中川路もライト前ヒットを放つが、入田の見事なバックホーム
で大岡はタッチアウトとなり勝ち越せず。

　追いつかれた日田林工は2回に6番・山田がヒットで出塁するとバントと
8番・松原のヒットで1,3塁から喜見がライトへ犠牲フライを上げて2-1と
勝ち越し。
　3回にも日田林工は2アウトから4番・八谷の2ベースと入田のタイムリー
で3-1とリードを広げた。
　更に4回にも1アウトから松原が3ベースでチャンスを作るが、喜見の
スクイズが白石の正面をつきバックホームでアウトになったばかりか打者
走者の喜見もアウトとなるダブルプレーで追加点ならず。

　その裏に北陽は先頭の中川路がライトへ2ベースを放つとバントで1アウト
3塁から7番・白石が初球をスクイズ成功し3-2と追い上げる。

　ところが5回に日田林工は吉松が歩いて盗塁、米原も四球で続き1アウト
後 八谷の右中間3ベースで2点を追加して5-2と突き放す。
　ここで北陽は白石を諦め、ショートの日下が登板し日田林工打線を
抑える。
　ただし北陽打線も喜見から毎回のようにヒットを放ちながら5回以降は
点が取れず。　

　8回に日田林工はベース踏み忘れで追加点を取れず、9回もノーアウト
1,2塁のチャンスでバント失敗と2塁ランナーの柳川が牽制で刺されるミス
で流れが変わるかに思われたが、入田がヒットでつなぐと山田の2ベース
で2者を還し待望の追加点を挙げると更に小関もタイムリーを放ってこの
回3点を挙げて勝負を決めた。

　北陽は喜見に13安打を浴びせ、日田林工の12安打を上回ったが5回
以降は全てシングルで四死球もないし許した盗塁も1。
　粘り強い投球が身上の喜見の本領発揮といったところか。

　一方の日田林工は2ベース2本、3ベース2本と長打が出て得点に結び
付けたし白石と日下から8盗塁と得意の機動力も機能し意外な大差に
なった。　
　やはりヒット数は同じでも四死球と盗塁という要素で上回った日田林工
が快勝した形だろう。

　日田林工　１１１　０２０　００３　８
　北　　  陽　１００　１００　０００　２