ヤンキーボクサーのメッキが剥がれた日

　昨年の今日8月2日は、浪速のヤンキー・亀田興毅のメッキが
剥がれた日である。
　今考えてみても昨年の8月2日までマスコミの亀田報道は、凄
かった。OAするTBSだけでなく、他の民放地上波の局もワイド
ショーで大々的にあの品のない一家を取り上げていたのだ。
　そして‘亀田が勝つのは当然で、何Rで倒すか’という論調で
語っていたのだ。
　当時来店したお客さん達も口々に‘楽しみやね、何Rで倒すと
思う？’と私に言うので‘簡単には勝てませんよ、負ける可能
性も否定できません’と応えていた。
　というのも対戦相手のランダエダは、ストロー級の元暫定王者
で正規王者だった新井田豊と対戦。
　地元判定とも思える際どい判定で新井田は辛勝したが、とても
じゃないがやりにくそうで、まだダウン経験がない。
　こんな相手に、いくらフライ級から1階級落として戦っても
むしろスピードで下回るので苦戦しかねない。
　実際に試合が始まるとランダエダの方がガッシリして、どっちが
元フライ級か？と思えたのだ。
　しかも1R早々にダウンまで喰う。
　この瞬間驚いたのが、満員の横浜アリーナの観客が‘アアッ！’
と悲鳴を上げるのではなく、‘やっぱりね’というムードに包まれ
た事だ。
　しかも2階席で亀田ギャルと言われるミーハーな連中の、軽薄な
コーキコールだけがシーンとした会場で空しく響く異様なムードの
中で試合が延々と進むのだ。
　‘ダメだこりゃ！’と試合が終って思ったが判定は亀田。
　その瞬間場内は‘エエッ！’というしらけ切ったムードが漂って
いた。
　戦った亀田に罪はないものの、あのまま負けていれば‘やはり経
験不足だった’という事でロードバックに期待という一般のファン
も切り替えられるのだが、怪しげな判定で勝ってしまったので余計
にメッキが剥がれた感がするのだ。
　06年8月2日を境に、亀田一家は迷走を始める。
　試合を重ねるごとに内容が酷くなってきているのだ。
　しかもランダエダとのリターンマッチで快勝したものの、王座を
返上してフライ級に戻して‘2階級制覇’をぶち上げているが、結
局はWBA、WBC両団体王者の衰え待ちを露骨にやっている。
‘やるぞ、やるぞ’とアドバルーンばかり派手に上げて、その内実
は？という絵に描いたような展開だ。
　これではまるで‘かつて水曜スペシャルでOAされていた川口浩探
検隊のようなもの’とボクシングサイトのARU-BOXに書き込んでいる。

　ちなみに試合の翌日以降来られたお客さんは異口同音で‘何かね
昨日の試合、あんなんで勝ちかね？’と言われたし、2日までに来ら
れたお客さんからは‘アンタの言う方が当たったね’と言われる始末。
　一夜にしてメッキが剥がれたという言葉がピッタリの亀田家だった。