宝石ざくざく◇ほらあなJournal3

ロシア語をはじめ、外国語学習に関するあれこれを書いておりましたが、最近は…?

スポーツニュースはそんなに見ないけど

2010年03月06日 | 
図書館で新書を何冊か借りてきた。
オリンピック後ということもあって、いつもは見ないスポーツの棚で目に留まった1冊。
(と書き出すととお勧め本の紹介みたいだが、以下はただの悪口です。)

『スポーツニュースは恐い 刷り込まれる<日本人>』(森田浩之)

ニュース記事から受ける印象と実際に感じたこととの乖離にびっくりする今日このごろだったので、これは面白そう、と思ったのだった。
しかし、最初の数ページでがったり興味を失い、全体をぱらぱら見てもその印象は覆らず、結局私の読了本リストに追加するのはやめた。

内容は大体分かった。
簡単に言うと、
・スポーツニュースは「オヤジ」の目線で描かれている。
(女子選手にはやまとなでしこを求め、会社組織のごとく人間関係にうるさい。米メジャーリーガー日本人選手は食事と英語に苦労している…)
・国際大会においてはステレオタイプを蔓延させる。
(各国チームの特徴をステレオタイプで描く。日本は常に「辺境の地から世界へ挑戦」のスタイル。日本チーム=「我々」とする日本人アイデンティティの表出…)
ということで、いわゆる「メディア・リテラシー」を鍛えましょうということらしかった。

全くそのとおりだとは思うけど、著者が巻末に参考文献をいくつも掲げて論じている上記のような内容は、一般読者視聴者はとっくの昔に漠然と感じ取っているのではなかろうか。
また、イチローだけでなく、最近のスポーツ選手は、上記オヤジが描くところの日本人像からはみ出しているタイプのほうが多くなっていると思う。
ゆえに、上記内容のスポーツニュースに対する一般読者視聴者の違和感は、昔よりもずっと大きくなっているのではなかろうか。

ああ、最近一般大衆の「テレビばなれ」「新聞ばなれ」が言われているのって、こういう理由も大きいんだろうなという点では、腑に落ちた。
思うに、著者は、メディアに刷り込まれがちな読者視聴者を啓蒙したいようだけど、この本が示すところを真剣に考えるべきは、実際に記事・ニュースをつくるジャーナリストのほうではなかろうか。
読者がとっくに気づいていることを(まぁ論文にはできないかもしれないが)、「どうです、知らなかったでしょう」と(ほかならぬそういう記事を垂れ流してきた側にいたジャーナリストが)嬉々として語る傲慢さが、なんだか不快だったんだな。書いてみて分かった。

私ががったり興味を失ったのは、本の前半で浅田真央選手の名前が誤植されていたことも大きかった。それも1度ならず2度も。
今この時期に読むと本当に信じられない。2007年発行だけど重版時には直っているのだろうか。(重版されているのか知らないけど)
また、amazon のレビューに「(野球の)斎藤佑樹選手の名前が間違っている」というのがあり、がっかり度が増した。私は後半流し読みしていたので気づかなかったんだけれど、言われてみると、これはひどい…何回間違ってるんだ…
ほかはともかく、国民的に認知度がある選手の名前を間違うとは…スポーツニュースがテーマだけに、誠実さが足りないと言われても仕方がないのではなかろうか。

(まぁ同情的に推測すると、著者はイギリスの大学院で研究していたとのことで、横文字をずっと読んでいたせいで、選手名の漢字誤記に対して視覚的違和感を感じる力が鈍っていたのかも。…それにしても校正者も編集者もいるだろうに…
自分への教訓としては(私も何かと誤字が多いのでひとごとではない)、ほかのことは笑って許してもらうとして^^;まずなによりも人名・固有名詞を見直す、かな…)