南武線・武蔵野線の府中本町駅の近くに住む山下さん(仮名)に、昨年10月に地主からS社に土地を譲渡した旨の挨拶状が送付された。同社に社員は昨年11月と今年1月に来て面談した以降、コロナを理由に話し合いもなく、今年の1月分からの地代も受け取ってもらえない。旧地主は山下さんの借地を含む約210坪を売却し、空き地になっている部分は新地主が建売業者に売却し、現在4棟の建売が建設中だ。山下さんから買う意思がないと判断し事実上放置された。山下さんは今年10月に組合立ち合いで同社の社員と面談した。山下さんは再三連絡しても無視されたことなど同社の対応を批判した。今後地代の受取を速やかに行うよう確認も求め、社員は会社に持ち帰り回答することを約束した。10月26日現在、S社から回答はない。
コロナ禍の中で、借地や老朽化した借家を狙った底地買い買い事件が各地で多発している。首都圏の東京、神奈川、埼玉、千葉までターゲットになっている。底地買い事件は、通常の土地取引と比べ、利益の幅が大きいため、東証一部上場の不動産会社から地上げ屋と呼ばれる業者まで幅広く参入している。基本的な手口は「底地を買うか、借地権を売って明け渡すか、借家を明渡すか」の選択を迫る。借地借家人組合には様々な業者からの相談が寄せられている。
バブルが崩壊して、底地買い・地上げ事件が組合に頻繁に相談が寄せられるようになったのは、2000年以降である。バブル時代と違って底地買い業者のT社は、地主から底地を安く購入し、関西の地上げ屋を使って借地借家人を脅して、地主の底地を高く借地人に売りつけるか、借地権を安く購入する。借家の場合は僅かな立退料で追い出す手法をとっていた。
T社はその後、本社を大阪から千代田区永田町に移し、脅しの手法はさらにエスカレードし、2014年には三鷹市の借地人Mさんが底地の買取りも借地権の売却にも応じないと交渉を拒否すると、「貸したものを返せ」と近所に聞こえるように大声で怒鳴り、Mさん夫妻の後を追跡し、嫌がらせを行った。Mさんは組合に入会し、東借連の弁護団と相談し、T社に対し面談禁止の仮処分を行い撃退した。T社は、脅しを行った社員を辞めさせ、同様な脅しは行わなくなったが、強面で強硬な主張を繰り返す態度は変わっていない。
東証一部上場のS社のホームページを見ると、地主に対し、底地を所有していても収益性がないのにも関わらず、相続税評価額が高く、相続すると資産を減らしてしまう。早期の底地の売却を勧め、権利関係が複雑で、借地権者が複数いて維持管理煩わしさから解放されたいとの地主の悩みに応えている。同社は地代の集金・契約書の作成・更新料の受領支援等の管理もサポート料を取って行っている。地代の集金は受取地代の10%程度を報酬として受け取っている。
2000年代当初は、底地買い業者はT社の独壇場だったが、現在は数多くの業者が参入するようになり、競争が激しくなり、地主に対するセールスも活発になっている。借地や老朽借家は何時底地買い業者に売却されるかわからない。
(東京借地借家人新聞より)
バブルが崩壊して、底地買い・地上げ事件が組合に頻繁に相談が寄せられるようになったのは、2000年以降である。バブル時代と違って底地買い業者のT社は、地主から底地を安く購入し、関西の地上げ屋を使って借地借家人を脅して、地主の底地を高く借地人に売りつけるか、借地権を安く購入する。借家の場合は僅かな立退料で追い出す手法をとっていた。
T社はその後、本社を大阪から千代田区永田町に移し、脅しの手法はさらにエスカレードし、2014年には三鷹市の借地人Mさんが底地の買取りも借地権の売却にも応じないと交渉を拒否すると、「貸したものを返せ」と近所に聞こえるように大声で怒鳴り、Mさん夫妻の後を追跡し、嫌がらせを行った。Mさんは組合に入会し、東借連の弁護団と相談し、T社に対し面談禁止の仮処分を行い撃退した。T社は、脅しを行った社員を辞めさせ、同様な脅しは行わなくなったが、強面で強硬な主張を繰り返す態度は変わっていない。
東証一部上場のS社のホームページを見ると、地主に対し、底地を所有していても収益性がないのにも関わらず、相続税評価額が高く、相続すると資産を減らしてしまう。早期の底地の売却を勧め、権利関係が複雑で、借地権者が複数いて維持管理煩わしさから解放されたいとの地主の悩みに応えている。同社は地代の集金・契約書の作成・更新料の受領支援等の管理もサポート料を取って行っている。地代の集金は受取地代の10%程度を報酬として受け取っている。
2000年代当初は、底地買い業者はT社の独壇場だったが、現在は数多くの業者が参入するようになり、競争が激しくなり、地主に対するセールスも活発になっている。借地や老朽借家は何時底地買い業者に売却されるかわからない。
(東京借地借家人新聞より)
足立区内で宅地30数坪を賃借する山田さん(仮名)は一昨年、地主から月額坪当り100円以上の地代の増額請求通知書を受取る。
組合と相談して土地評価証明書を都税事務所で発給してもらい税額を計算。現行地代額でも税額の4・7と高く、地代を値上げする理由に当たらないので現行地代をお支払いする旨を通知する。
現行地代を持参すると地主は了解し、受領した。その際、できれば底地を言い値でもよいので買い取ってもらえないかとも打診される。底地の買取りには隣接する奥の住人のための通路部分を含めての条件があり、山田さんにとっては必要としない敷地との抱き合わせでは負担も重いので即答を避けた。
昨年になり地主の妻から、区内の法律事務所の弁護士に夫の成年後見を依頼したので、今後は弁護士と賃貸借契約に関するやり取りをお願いしたので、よろしくと伝えられる。しかし、弁護士からはその後、何も連絡はなかった。
すると今年になって不動産仲介会社の社員が訪ねてきて、地主が底地を投資会社に売却したと通告。組合に連絡し、仲介業者に土地の所有権移転登記の謄本を開示してもらうよう助言される。山田さんは思案したが、今回の底地買取り話はきっぱり断り、仲介業者には従前通りの契約でお願いしたい旨を通知した。1週間ほどして仲介業者から連絡があり、投資会社と地主の売買契約は解除され、今まで通り山田さんと地主の賃貸借契約に戻すことになった。
(東京借地借家人新聞より)
組合と相談して土地評価証明書を都税事務所で発給してもらい税額を計算。現行地代額でも税額の4・7と高く、地代を値上げする理由に当たらないので現行地代をお支払いする旨を通知する。
現行地代を持参すると地主は了解し、受領した。その際、できれば底地を言い値でもよいので買い取ってもらえないかとも打診される。底地の買取りには隣接する奥の住人のための通路部分を含めての条件があり、山田さんにとっては必要としない敷地との抱き合わせでは負担も重いので即答を避けた。
昨年になり地主の妻から、区内の法律事務所の弁護士に夫の成年後見を依頼したので、今後は弁護士と賃貸借契約に関するやり取りをお願いしたので、よろしくと伝えられる。しかし、弁護士からはその後、何も連絡はなかった。
すると今年になって不動産仲介会社の社員が訪ねてきて、地主が底地を投資会社に売却したと通告。組合に連絡し、仲介業者に土地の所有権移転登記の謄本を開示してもらうよう助言される。山田さんは思案したが、今回の底地買取り話はきっぱり断り、仲介業者には従前通りの契約でお願いしたい旨を通知した。1週間ほどして仲介業者から連絡があり、投資会社と地主の売買契約は解除され、今まで通り山田さんと地主の賃貸借契約に戻すことになった。
(東京借地借家人新聞より)