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住生活基本計画が見直し議論開始 最低居住面積水準の撤廃検討か

2025年01月28日 | 法律知識
 国土交通省は、昨年10月31日に第58回社会資本整備審議会住宅宅地分科会を開催し、2050年を見据えた新たな住生活基本法の策定に向けた議論を開始しました。住生活基本計画は、期間を10年間とし、おおむね5年ごとに見直しと変更を行います。空き家の増加や単身高齢者の増加等問題は山積しています。令和8年3月をめどに新たな計画が閣議決定される予定です。

 基本計画見直しの論点とは

国交省では、住生活基本計画の見直しに当たっての主な論点(総論)として、「住まう人」について以下の課題を指摘しています。
○2050年までの世帯構成の変化を見据えて、世帯属性や状況に応じたニーズを満たす住まいの実現を円滑化する市場環境をどのいように整備していくか。○2050年までに1・5倍に増加する高齢単身世帯をはじめとする高齢世帯の住生活を豊かにするためにどのような住宅や住環境が求められるか。○結婚を望む若者の割合が逓減する中で、若者をはじめとする単身世帯の住生活を豊かにするためにどのような住宅や住環境が求められるか。○子どもを産み、育てやすい住まいの実現のためにどのような住宅や住環境が求められるか・○2050年には外国人が人口の1割を占める可能性もあることを踏まえて、住宅や住環境をどのように考えるか。
 その他、○2050年に向けて様々な事情により住宅確保に配慮を要する者が増加すると見込まれる中、住宅セーフティネットを担う公的賃貸住宅の主体のあり方をどう考えるか。○当面、公営住宅、セーフティネット登録住宅、居住サポート住宅等区がある中で、住宅セーフティネット全体をどのように捉え、どのように充実させていくか。○建築費の上昇等物価上昇に賃金の伸びが追い付いておらず、また、金利のある世界での住宅ローンへの影響が見通せないなど、所有・賃貸とも足元で厳しさを増す住宅取得環境にどのように対応するか。
 また、新たな住生活基本計画の検討に当たって、最低居住面積水準(単身25㎡、2人30㎡、3人40㎡、4人50㎡)と誘導居住面積水準の撤廃を検討していると報道されています。最低居住面積水準は健康で文化的な住生活を営むために必要不可欠な面積です。現状でも、賃貸住宅では最低居住水準を満たしていない住宅が多く、更なる住環境の悪化につながる重大な問題です。

 高齢者・若者に重い家賃負担

 図Ⅰのように、高齢者の現在の住宅の問題点として、老朽化の他持家では、防災・防犯面の不安や住性能の不満が多く、賃貸住宅では「家賃など住宅に関する経済的負担が重い」、「台所、便所、浴室などの設備が使いにくい」等の回答が上がっています。図2の若年世帯の住まいの現状では、30歳未満の勤労若年世帯の1カ月当たりの平均消費支出に占める住居費の割合が、年々上昇し約4分の1を占めています。

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