東京多摩借地借家人組合

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地主の最高裁への上告棄却 境界越境で土地明渡訴訟で借地人全面勝訴確定

2019年07月29日 | 明渡しと地上げ問題
 小平市小川西町借地人組合の組合員のIさんは、地主から建物収去土地明渡しの訴訟を提訴され、5年間にわたって裁判を闘ってきましたが、今年の6月に最高裁は地主の上告を棄却し、借地人のIさん勝訴で決着がつきました。

 地主は、Iさん所有の建物や門柱等の工作物の一部が公衆用道路(地主の私道)に越境して建てられているので、撤去に応じないので信頼関係を破壊しているとの理由で訴訟を起こしてきました。1審の東京地裁立川支部は昨年の1月に「原告(地主)の請求はいずれも棄却する」と判決を下しましたが、地主は東京高等裁判所に控訴しましたが、高裁も地裁の判決を支持し昨年7月に控訴棄却の判決を下しました。

 Iさんの父親は、昭和32年に都営住宅の分譲地として都から建物を譲り受け、地主と借地契約を締結しました。父親が死亡後はIさんが借地を相続しましたが、越境している事実を知らず、父親が昭和34年と昭和40年に2度にわたって増改築しましたが、地主からも越境しているとの指摘もありませんでした。Iさんは地代の値上げに応じず、地代を供託し、更新料の支払いにも応じてないためか、平成15年頃から樹木の伐採を求められ、平成25年にIさんが設置したブロックの塀の撤去を求めて、期限までに撤去しないと契約を解除すると脅してきました。同じ借地人の中でも借地部分が越境している人もいますが、地代の増額等に応じている人には何も言ってこないようです。

 地主は平成26年に弁護士を代理人に立て実際に裁判に訴えてきました。この地主は一人暮らしや高齢の女性に対して裁判を起こす傾向があるようです。

 裁判の中で、土地を測量してみると2坪強ほど道路に出ていることが分かり、Iさんは弁護士と相談し、越境している土地は時効取得を主張し争いました。

地裁・高裁の判決では、これが認められ「被控訴人の主張の専有部分は長年の間、隣接する借地部分の土地と事実上一体のものとして本件建物の敷地として供されてきたことが認められる」、「同占部分についての賃借権の時効取得の成否は、専ら私法である民法によって決すべき問題である」等の理由で『越境部分は賃借権を時効取得したとして』地主の請求が全て棄却されました。
最高裁から上告棄却の判決がなかなか下されず、心配しましたが、三多摩法律事務所の顧問弁護士さんの努力によって大変難しい裁判を見事に勝訴することができました。Iさんは5年間にわたり本当にご苦労様でした。(東京多摩借組ニュースより)
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貧困の現場から[31]デジタルタトゥーに阻まれる生活再建 「信用スコア社会」の新たな貧困とは?

2019年07月29日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
https://webronza.asahi.com/national/articles/2019072200005.html

 「路上に立って雑誌を売っていると、勝手に写真を撮られてSNSにアップされたりする可能性がある
じゃないですか。家族にばれるとまずいので、ビッグイシューの仕事はできません」
 昨年、何度か生活の相談にのったホームレスの若者は、詳しい事情を語りたがらなかったが、家族との
間に問題を抱えているようだった。体調も悪そうなので、私は生活保護を勧めたが、役所が家族に連絡を
してしまう可能性を考えて申請に躊躇していた。
 彼に、住所や住民票がなくても就ける仕事はないか、と聞かれたので、ホームレスの自立支援のための
雑誌である「ビッグイシュー」販売の仕事について説明をしたが、その時に彼が言ったのが冒頭の言葉で
ある。
 毎月2回発行される「ビッグイシュー」は、ホームレス状態にある人だけが販売することのできる雑誌
である。販売者は1冊170円で雑誌を仕入れ、駅前などの路上に立って、350円で雑誌を販売する。1冊あた
り180円が販売者の収入になる計算だ。

SNSに写真がアップされてしまうリスク

 「ビッグイシュー」の販売者の中には、メディアの取材に顔や名前を出して応じる人もいれば、事情に
より顔も名前も出せない人もいる。そのことは知っていたが、路上で販売をしていて、SNSに写真がアッ
プされてしまうリスクについては考えたことがなかった。
 一度、ネットに「ビッグイシュー」販売者として顔が出てしまうと、その画像は半永久的にネット上に
残り続ける。それを見た家族が販売場所まで来てしまう可能性もゼロではない。今の時代、彼の心配は杞
憂とは言えないと私は感じた。
 ネット上にアップされた個人情報は、本人にとって不都合なものであったとしても、一度、拡散されて
しまったら完全に削除することが事実上、不可能になる。この問題は、消すのが難しい「入れ墨(タ
トゥー)」にたとえて、デジタルタトゥーと呼ばれている。
 デジタルタトゥーという言葉は、2013年のTEDカンファレンスにおいて、生物科学関連のベンチャー
キャピタルの役員であるフアン・エンリケス氏が行った講演がきっかけとなり、広く知られるようになっ
た。エンリケス氏は、スピーチの中で「人間は不死になった」という表現で、この造語を紹介している。
 今年5~6月には、NHK総合テレビで『デジタル・タトゥー』というドラマ(全5回)が放映された。こち
らは、インターネットに疎い50代の「ヤメ検弁護士」が20代の人気ユーチューバーと共に、デジタルタ
トゥーに苦しむ人たちを救うという筋書きで、このドラマをきっかけに日本でもこの言葉が知られるよう
になった。

最も影響力が大きい犯罪歴のデジタルタトゥー

 私は前述の若者がネット上に自分の痕跡が残るのを恐れて、路上販売の仕事をできなくなっていたよう
に、デジタルタトゥー問題がさまざまな点で国内の生活困窮者支援にマイナスの影響を与えつつある、と
危惧している。
 最も影響力の大きいデジタルタトゥーは、犯罪歴である。
 近年、生活困窮者支援の現場では、ホームレスの人が生活保護を申請して施設に入ったものの、アパー
トに移る段になって、ネットに過去の犯罪歴が残っていることがネックになり、部屋探しに苦労する、と
いう話は珍しくない。部屋探しが難しくなるのは、家賃保証会社の審査に落とされるからだ。犯罪自体は
軽微なものであったとしても、ネットに名前が残っていれば、不利に働くことになる。
 都市部では、アパート入居時に個人の保証人を立てるのではなく、家賃保証会社を利用するのが一般的
になっている。家賃保証会社の保証料は2年間で家賃の半額程度が一般的であり、その費用は入居者負担
となっている。
 入居希望者は家賃保証会社の利用を申し込むため、申込書に勤務先などの個人情報を記載して、不動産
業者に提出する。不動産業者は代理で申請書を家賃保証会社にファクスするが、信用度が低いと判断され
ると、審査に落とされてしまう。
 そのため、不動産業者によっては数社の家賃保証会社と連携をして、1社の審査に落とされても、すぐ
に別の家賃保証会社の審査を申し込み、通してくれるところが出てくるまで探すという対応をしている会
社もある。
 しかし、何社に申し込んでも審査に落とされる人もいる。家賃保証会社はどういう基準で審査をしてい
るのか、教えてくれないので、審査のプロセスは闇の中なのだが、今回、私は都内の家賃保証会社に派遣
社員として働いていた経験のある30代の男性に話を聞くことができた。
 彼の業務は、不動産業者から送られてきたファクスの内容をもとに審査の材料となる資料を集めて、審
査担当の社員に渡すことだった。
 「まず最初にやるのが、Googleなどの検索サイトで申込者の名前と、スペースを1文字空けて、『逮
捕』または『容疑』と打ち込むことです。過去のニュースや『5ちゃんねる』(掲示板サイト)等で名前
がひっかかると、それを社員に伝えます。」
 彼は3カ月しか、その職場で働いていなかったが、 ・・・

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