東京多摩借地借家人組合

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契約書の内容が借主に一方的に不利なので拒否したいのだが‥

2008年01月28日 | 賃貸借契約
契約というのは、本来、対等平等な2者の間において、一方からの「申し込み」と他方の「承諾」によって成立します。

 これは、「諾成契約」と呼ばれており、口頭だけで成立します。たとえば、何かを買いにお店に行った場合を想定して考えればよくわかると思います。
 「これをください(申し込み)」、お店「ありがとうございます(承諾)」。

 日本の社会自体も、対等平等を前提としていますから、契約に関しても、「契約自由の原則」(私的自治の原則)というものがあり、人身売買や殺人依頼など、公序良俗に反するような契約は無効ですが、それ以外は、原則として、自由に契約することができるのです(なお、建物の賃貸借契約では借地借家法の強行規定に反する契約は無効であり、例文解釈と言って、契約書、契約約款中の定型的文言の解釈で、文言通りに適用すると不当な結果となる場合に、その不当性を回避するために、その文言を「単なる例文である」として、その有効性を否定する契約解釈の手法などが適用されるときも無効となります)。
 「自由に契約する」というのは、契約内容も自由ですし、誰と契約しようが、逆に契約を拒否すること自体も自由なのです。さらに、契約の形式も自由なので、文書でも口頭でもかまわないのです。
  民法自体も、「契約自由の原則」を前提としつつ、契約内容を取り決めなかった場合のルールを規定しているのです。
  賃貸借契約も、本来は、対等平等な私人間で契約すべきです。しかし、実際には、対等平等どころではなく、立場の強い家主が一方的に定めた契約内容を、立場の弱い借主が承諾するかどうかにかかっているわけです。
  ということは、単純に考えれば、借主に一方的に不利な規定を拒否したくても、家主が認めてくれなければ、結局は契約そのものが成立しないのです。
 つまり、家主には、「あなたとは契約しない」という権利があるわけで、家主に「契約せよ」と請求すること自体できないわけです。
  そういう状況を背景として、民法だけでは立場の弱い借主が一方的に不利であるとして、借地借家法(旧借地法、旧借家法)が誕生しました。
  そのため、借地借家法では、「強行規定」というものを設け、一部の規定については、「契約書にどのような記載があっても、借地借家法の強行規定に反するもので、借主に一方的に不利な条項は無効である」としているのです。
  また、2001年4月には、消費者契約法というものもできました。この法律では、「消費者の利益を一方的に奪う契約条項は無効である」としており、賃貸借契約書にどのように記載されていても、消費者契約法に違反するとされた場合には、借主は従う必要がなく、裁判しても勝訴する可能性が非常に高くなってきています。
  相談内容を見ると、「借主に一方的に不利‥」ということですが、具体的な記載条項を確認する必要があります。
  その条項が、借地借家法の強行規定や消費者契約法に違反すると認められる場合には、そのまま契約しても、条項としては認められませんが、できれば、トラブル予防のために、家主に「法律上認められないと思うので、削除してもらえないか?」申し出ることもできます。
 ただし、言い方には気をつけないと、家主が契約そのものを拒否してくる可能性があります。
  一方、上記の規定・法律に違反していない条項については、借主としては、認めなければ、契約できない可能性が強くなります。
  一般的な傾向として、空室が出てもすぐに借主が見つかるような条件のよい物件の家主は強気ですので、借主から「不利な条項を削除してくれ」と申し出ても、「無理に契約してもらわなくて結構。他にいくらでも借りたいという人がいるから」という答えが帰ってくるのがオチでしょう。
  従って、「借主に一方的に不利な条項がある」場合、「不利を承知でも契約したい」のか、「納得できなければ契約しない」のかをはっきりさせた上で、家主(仲介業者)との交渉に臨まなければなりません。


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