7月23日ソワレの観劇記です。
ほぼ1週間ぶりのBB観劇。今回は2回目ということで、メタメタに崩壊した初日の時よりは突き放して観劇できたかな~~……と言っても、やっぱりウーナの独白部分の、特に15年前に二人が出会った頃の話をする部分はきつかったですね~~自分の中にある触れてほしくない心の欠片が疼いてしまうので
やっぱり錘を飲み込んだ気分というか、観劇後に胸の辺りが重くて痛い……う~~ん
本日のお席、、、前方進出
5列目の通路側。さすがによく見えました
ま、場合によってはあまり積極的には見たくない(笑)内野さんのレイ仕様の老けメイクの作りまでバッチリだったんですが、やはり口元はしっかりと描かれてるのね
舞台メイクなので当たり前なんですけど
ただね~~この付近……3~5列目辺りって役の空気がダイレクトに伝わってくる位置で激しく危険なんです
←かえって最前とかだと飛び越えてしまうから
今回もやっぱりビビビッと来ちゃいましたね~~しかも、レイが客席に向けて椅子に座って過去のことを話す場面、思いっきり真正面
思わず通路に乗り出して「それで…?!」とやっちゃいそうになったり
いえいえ、もちろんそんなことはしていませんが、レイの交錯した心が斑模様のように入れ替わり立ち代わり伝わってきて、それを整理するのが大変でした。
今回はレイに感情移入できませんでしたね~~前回はもう少し優しい眼差しをむけていたように思ったのですが……
最初の方はウーナに対して露骨にバリアを張っているのが分かりました。それが口調や振る舞いもさることながら、雰囲気で伝わってくるところが凄いな~~と思うのよね
さすが内野さん
そういう態度を取られた時のウーナの気持ちに寄り添ってしまって、「最悪な奴だな~~」とちょっぴり苛々っと
でもね~~ある面においては小さい男なんですよね。ウーナがカバンの中をゴソゴソやってる時に、凶器を出されて殺されるんじゃないかと怯えてカバンを奪い取る……そのカバンを前に抱えて震えながら不満をタラタラ言ってるんですが、その姿が何とも哀れ。。。ただ、保身のために話を逸らしたり、ウーナの追及をはぐらかしたりする狭間に、斑模様の如くレイの本心が見え隠れするんですよね~~ウーナが15年前の思い出を話したり、今の暮らしについて聞いたりする時に、基本
レイは黙って聞いてるんだけど、その表情の変化に釘付け
目の奥がスーッと澄んでくるようにみえたり、潤んでいたり、苦しい表情になっていたり……ただの幼児性愛の犯罪者とは思えないんです。
もしかしたらじいの「そうあってほしい」という甘ちゃんな願望がそんな風に見せてしまうのかもしれないけれど、ただ欲望を満たすだけの狡猾な犯罪者ならそんな風にはならないと思うんです。それを愛と断定するわけにはいかないけれど、理屈じゃない、道徳なんぞでは判断できない、もっともっと本質的なもので、多分それはレイが“今”の人生を生きている限りは満たすことも解決することもできない深いものに包まれ、翻弄され、満たされ、苦しむ思いなんじゃないかな~~と。特に後半、ウーナに追い詰められて椅子に倒れ掛かるシーンでレイの目に圧倒されたんですよ。まさにあのポスターの目
深くて狂気じみた目……いや~~あれは凄かった
抱えきれない深い闇が心にグッサリと。
ウーナの方は、、、少し歩ちゃんの声が擦れていたのが心配
大変な役ですからね~~頑張ってもらいたいです。初日に比べて噛み噛みだったのが気になりましたが
変な硬さはなくなっていて良かったです
初めて観た時に気になった“いかにも演劇っぽい”喋り方ですが、、、ふと思ったんです。あれはわざとらしいんじゃなくて、「ウーナだから」そういう喋り方になるんだって……上手側の椅子に足を組んで喋ってる時に気付きました……というのが、見た目は普通の若くて綺麗な女性なんだけど、伝わってくる雰囲気が12歳のままなんですよ
しかも、表面上はレイを追い詰めるような振る舞いをしたり、暴言を浴びせたりしているのに、ところどころ真実を聞きたい→今でも自分に愛があることを確かめたいという思いがあるように感じて、多分彼女の心も時間も12歳で止まっているんだろうな~~と
それが切なくて切なくて、そうさせてしまったレイに怒りが湧いて、でもそうせざるを得なかったレイの本能を思うとこれまた切なかったりして。。。
20ページの独白部分、今回ももちろん
レイの物語る背中を堪能させていただきましたが、後姿を見ながらウーナの言葉を聞いて、15年前の情景が目の前に現れてくるんですよね~~12歳のウーナが、結ばれた後に天にも昇るような気持ちで窓から見ていたもの、見知らぬ町を歩き回って探して探して見つけたかったもの、それがまさにその背中だったんだな~~と思ってすっごく苦しかったです。しかも窓から見て「私、チョコレートが欲しかったから、買ってきてほしくてあなたを…」という部分、チョコレートを欲しがる年の子が、こんなに純粋に……もう言葉にならないですわ
何だろうな~~二人を見ていると、「普通」ではいられない故の哀しさを感じてしまうんですよね
何を以って普通とするかというところが、これまた難しいんだけど、だからこそレイやウーナのような人間が苦しむというか……もっともらしい道徳観や法律、医学的な専門知識で語って割り切ることは簡単。それこそジーンで教授が言ってた「浮気は遺伝子がやらせてる」みたいな感じで二人の間にあった性的な本能の部分を語ることもできるのかもしれないけれど、とにかく
どうしようもない、割り切れない二人の心が苦しかったですわ。
終始緊張感が抜けない会話の後に、とうとう壊れちゃった
ゴミ箱をひっくり返して二人でゴミを投げ合うシーンがあるのですが、その姿を見ながら、15年前の二人はきっとこんな風に過ごしていたんだろうな~と、未熟で純粋で危なっかしい二人の“恋愛”を彷彿させるんですよね~~でも、これでがんじがらめに武装してた心が解放されたのか、やっと「今の」レイとウーナとして向き合えるようになったような感じかな~~一瞬凄く自然な空気に変わるのを感じました。ま、これが所謂「普通に」向き合うことなのかもしれないけれど……でも、結局それはできなくて、その後に現実を突きつけるように今の彼女が現れる。。。今回は前方席ということもあって、少女の表情がバッチリ。ウーナを見る目、年齢に関係なく持っている「女の目」でしたね~~素晴らしい
でも、舞台上にいる三人の現在、過去、未来、、、それぞれのことを思うとなんともいえない哀しさが溢れてました。
いや~~何か観れば観るほど追い詰められていくし、観劇後に決して爽快な気分にならないんだけど、どんどん深みに嵌っていってるような気がします
しかも、終わった後に舞台に戻ってお辞儀をされる内野さんの表情を見て、胸がいっぱいになるんですよ
いつもならフッと戻る素の笑顔にクラクラしちゃうんだけど、今回はそんなことはないし、じいもそういうのは全く期待していないし。。。まだレイの心が残っていて、それでも必死に挨拶に立っていらっしゃる姿を見て、ほっっっんとこんな凄い役者さんを好きになっていられることが嬉しくて嬉しくてたまらなくなってしまうのです……ますます深い内野地獄に陥落していくのね