ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

卒寿の旅

2022-07-27 20:16:42 | エッセー

 26日に90歳の誕生日を迎えた夫を喜ばしたくて、3人とも梅が丘に住んで

いる夫の弟達に、「清一の誕生日だけど当日に一泊旅行に行かない?」

と誘った。次男は私の同じ年だが脳梗塞で二度倒れ、体の自由が利かな

いので行けなかったが,三男6歳下、4男10歳下の弟達の奥さんと6人

箱根湯元の富士屋ホテルに行くことにした。ところがなんと乗る

はずの新宿発のロマンスカーが、早朝の人身事故の影響で「いつ走れ

るか分からない」状態だそうだ。そのため、急遽急行で行った。

 歩けるが遅いしと、私は車椅子を持って行くことにしたが、弟達が

家まで迎えにきてくれたし、私の荷物も全部持ってくれた。

 ホテルではリッチなディナーで乾杯し、3人兄弟で昔話で盛り上がり

楽しい誕生日を過ごせた。その間も弟達やその奥さん達も、かなり

きめ細やかに「お兄さん、お兄さん」と対応してくれて、私はとても

嬉しかった。帰りは私の提案で「成川美術館」へタクシーで往復し

私が大好きな美しい箱根の景色や、日本画を鑑賞した。

 帰りのロマンスカーは時刻通りに発車し、我が家には5時少し過ぎに

帰宅した。入浴して食事をしているとき、「昨日はオレの誕生日だよね」

と、昨日今日のことはすっかり忘れて何度も聞いたので、私は何度でも

「弟達夫婦と箱根に一泊した」と話した。「オレすぐ忘れちゃうんだね

ゴメンね」と言った。認知症は忘れる病気だ、私は何度でも同じことを

言うことにしている。それにしても・・・認知症満10年、救急車で13回

緊急入院、90歳の夫が今も元気でいる事自体が、もしかしたら奇跡に

近いかも知れない。これからも、できるだけ「幸せを感じる状態で夫

に接したい」と考えている。お陰様でとても楽しい旅だった。

コメント
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