26日に90歳の誕生日を迎えた夫を喜ばしたくて、3人とも梅が丘に住んで
いる夫の弟達に、「清一の誕生日だけど当日に一泊旅行に行かない?」
と誘った。次男は私の同じ年だが脳梗塞で二度倒れ、体の自由が利かな
いので行けなかったが,三男6歳下、4男10歳下の弟達の奥さんと6人
箱根湯元の富士屋ホテルに行くことにした。ところがなんと乗る
はずの新宿発のロマンスカーが、早朝の人身事故の影響で「いつ走れ
るか分からない」状態だそうだ。そのため、急遽急行で行った。
歩けるが遅いしと、私は車椅子を持って行くことにしたが、弟達が
家まで迎えにきてくれたし、私の荷物も全部持ってくれた。
ホテルではリッチなディナーで乾杯し、3人兄弟で昔話で盛り上がり
楽しい誕生日を過ごせた。その間も弟達やその奥さん達も、かなり
きめ細やかに「お兄さん、お兄さん」と対応してくれて、私はとても
嬉しかった。帰りは私の提案で「成川美術館」へタクシーで往復し
私が大好きな美しい箱根の景色や、日本画を鑑賞した。
帰りのロマンスカーは時刻通りに発車し、我が家には5時少し過ぎに
帰宅した。入浴して食事をしているとき、「昨日はオレの誕生日だよね」
と、昨日今日のことはすっかり忘れて何度も聞いたので、私は何度でも
「弟達夫婦と箱根に一泊した」と話した。「オレすぐ忘れちゃうんだね
ゴメンね」と言った。認知症は忘れる病気だ、私は何度でも同じことを
言うことにしている。それにしても・・・認知症満10年、救急車で13回
緊急入院、90歳の夫が今も元気でいる事自体が、もしかしたら奇跡に
近いかも知れない。これからも、できるだけ「幸せを感じる状態で夫
に接したい」と考えている。お陰様でとても楽しい旅だった。