ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

暑い日に感じたこと

2021-05-06 21:41:55 | エッセー

 父の祥月命日のためお墓参りに行った。お墓は都心にあるが、昔は

山を崩してつくったようだが、子供の頃は視界が広かったが、今では

周りは全部ビルだらけだ。墓地は立行寺の代々住職と、檀家総代と同じ

列に並んでいる。でも石段が何段もあり駅の階段とは違って、とても

登りにくい。昔継母が言っていたように、夫も何年か前から「上るのが

とても疲れる」と言うようになった。

 墓地には誰一人いなかったが、夫は階段の途中で休んで辺りを見回し

たりしていたが、私は先に登り水を汲みながら「急がないから大丈夫よ」

と声をかけた。階段を昇り切ってから、さらにまた何段かに分けて階段

ある。実家の父は59歳で亡くなったが、それから長年経ったので、私達が

老化するのは当然だ。墓前で手を合わせながら、「夫をもう少し長生き

させて下さいね」とお願いした。お墓参りしてから夫は、すぐに歩くの

はきついようで、夫はまた墓地で座って休んでいた。

 やはり体力が衰えたのは歴然としている。

年齢差と、男女の平均寿命の差、さらに健康度などから考え、またこの

3年間で友人達のご主人が3人亡くなったし、ふつうなら夫が先なのは

ごく自然なことだ。でも、3人とも認知症で誤嚥が原因だった。

 私はそのめ誤嚥予防のトレーニングを作り、毎朝行っている。

認知症満10年の夫がまだ元気で、ほぼ自立しているのは、私が心理の

プロとして介護をしているためだと思う。妻だからこそできる介護だから

淋しいけれど夫のためには、先に見送られた方がきっと幸せだろうと

お墓の前で真っ青な空を見ながら、しばし考えた日だった。

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