一票の格差が3倍だった昨夏の参議院選挙についての最高裁判決がありました。結論は合憲、11裁判官の多数意見で、3裁判官が違憲、1裁判官が違憲状態としています。
高裁判決がほぼ合憲判断(札幌高裁と高松高裁のみ違憲状態)だったので、予想どおりとも言えますが、正直がっかり感が漂います。
3年前の合憲判決から確認しましょう。最高裁が3倍ちょっとの格差を合憲とした理由は3つでした。①約5倍あった格差が3倍ほどに大幅に縮小した、②史上初めて都道府県をまたぐ合区をした、③引き続き選挙制度の抜本的見直しの検討を行い次回選挙(昨年7月)までに結論を得ることを公職選挙法付則で明記した。
問題は③をどうみるかです。もちろんこれは実現していません。違憲状態とした高裁判決はこの点を重視しています。今回の最高裁判決も、さすがにこれには〇印は付けませんでした。しかし、異論もあった都道府県の合区を維持したことを評価して、③の姿勢が失われたとまではいえないとして、合憲の結論です。
合区をやめて、元に戻すなんていう選択肢は現実にどれほどあったのでしょうか? それをしなかったことがそんなにたいしたことなの? 抜本的な見直しに向けてほとんど何もしていない国会にお灸をすえる意味でも、3年前と同じ合憲判断では、国会はますます何もしない可能性大と考えます。せめて違憲状態判決が欲しかった。
最高裁は長い間、この問題に関して、国会に太陽政策を採ってきました。優しく接していれば、国会は自ら改めるだろう。でも国会は全く反省しないないので、2004年の判決以来、北風政策に転じました。その頂点が2012年判決で、参議院についても一票の格差は許されない、是正には都道府県単位の選挙制度の抜本的な見直しが必要、としています。
このときの格調高さはどこへ行ったの!?という今回の判決、一票の格差問題が逆戻りしないことを願います。
注:違憲状態判決は、格差が許されるレベルでないけれども、早急に是正すればぎりぎりセーフ、違憲判決は、必要な是正が行われないので違憲というのが、最高裁の判断枠組みです。
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