法律業界のトップ出版社、有斐閣のPR誌「書斎の窓」に連載されていた『平らな鏡で世界を見れば』が面白かったです。ご関心の向きは、著者・辰井聡子さんのHPからどうぞ。WORKS – Satoko Tatsui
その要旨は、フランスの歴史学者、エマニュエル・トッドの主張を引いて、国の社会や政治制度のあり方は、その国の家族システムに規定される、封建的・専制的な社会が、人々の営みによって、自由で民主的な社会(リベラル・デモクラシー)になったわけではない(リベラル・デモクラシーは核家族社会の産物で、直系家族の国はいつまでも根っこは封建的)(2020年9月号19頁以下)
その真偽を論評するほどの能力はありませんが、なるほどと思うのは「日本の官僚や大学人は、意識の上ではリベラルでも、行動様式は概ね直系家族(権威主義)的」、「(政権交代には今のような政策アピールではだめで)戦後政治において自民党が果たしてきた役割を当の自民党以上に、盛り気味くらいに評価した上で、自分たちこそその真の後継者だと名乗り出ること」(2021年3月号4頁以下)
で、極めつけはタイトルの「日本では、何も考えずに行動していたら普通に憲法違反になる(笑)」 ただ辰井さんは改憲を唱えているわけではありません。リベラル・デモクラシーを具体化している日本国憲法は国際スタンダードなので、基本路線は守ったほうが良いと。
今回の真子さん婚約・結婚にからむ週刊誌や報道バラエティー番組の多数意見を見ていると、「何も考えずに行動していたら普通に憲法違反」の典型と思いました。この問題が最初に報道されたとき(2018年2月)、日本経済新聞の井上亮編集委員が「婚姻は両性の合意のみで成立し他の要件は何もない、家柄や経済力への懸念・批判が要因なら民主主義国家の恥だ」と仰ってますが、まさにちゃんと考えたご発言ですね。
私は建前(学問)も本音(実生活)もリベラルでありたいと思っていますが、実現できているかは……
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