朝ドラのストーリーにそんな目くじらたてるなと言われそうですが…… 主人公が勤めている工場が業績不振で給料が1割カットされるというのが今朝の話でした。
賃金などの労働条件の不利益変更は原則許されません。そりゃそうでしょう、たとえば3,000円という約束でアルバイトを雇ったのに、給料を払うときになって、思ったほどお客さんが来なかったから1割まけてなんて通るはずがありません。
もちろん労働者や組合が納得してくれればOKです。だから朝ドラでも、主人公たちが渋々でも納得するという設定にすれば無難でしたね。
でも普通は納得してくれない。そのときに使用者側は一方的に不利益変更できるのでしょうか? 判例や学説は不利益変更に合理性があるかを問います(労働契約法10条)。合理性の判断には、経営上の必要性や代償措置の有無、労働側に真摯に説明して同意を得ようとしたかなどが考慮されます。
朝ドラの例は、給料日にいきなり一方的に告げただけで、合理性ありとは到底認められないでしょう。主人公たちのうち誰か一人でも労働基準監督署に駆け込めば即アウトですね。
実は残念ながら労働条件の不利益変更はさほど珍しくありません。しかし、それが基本的にまずいことは使用者側も十分に承知していますから、もっと慎重に、巧妙にやろうとします。ふだんは組合役員と顔を合わせるのを嫌がる労務担当の管理職が、このときばかりは「今度じっくり説明させてください」などと猫なで声をかけてくるというわけ(笑)
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