アンダンテ ~私の歩幅で~

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野薔薇の実

2008年11月09日 | 誕生果
「野ばら」の可憐さを存分に表現したのは、
詩人のゲーテ。


Heidenröslein
Johann Wolfgang von Goethe

Sah ein Knab' ein Röslein stehn,
Röslein auf der Heiden,
War so jung und morgenschön,
Lief er schnell, es nah zu sehn,
Sah's mit vielen Freuden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

Knabe sprach: Ich breche dich,
Röslein auf der Heiden!
Röslein sprach: Ich steche dich,
Daß du ewig denkst an mich,
Und ich will's nicht leiden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

Und der wilde Knabe brach's
Röslein auf der Heiden;
Röslein wehrte sich und stach,
Half ihm doch kein Weh und Ach,
Mußt' es eben leiden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.



そして、このゲーテの詩に、
多くの作曲家が曲を付けています。

一説によると、
154もの「野ばら」の曲があるそうです。
(そんなにたくさんあるとは、驚きです!)

日本語訳の「童(わらべ)は見たり~」でも知られている
シューベルトやウェルナーの歌曲は、
ほんの一部だったのですね。

有名な作曲家では、
シューマンやブラームスも同じ詩に曲を付けています。

シューマンの「野ばら」は、
無伴奏混声合唱の為の作品で、1849年作曲。
(残念ながら、私は聴いたことがありません。)

ブラームスの「野ばら」は、
シューマンの子どもたちのために、1858年作曲されました。

ゲーテが表現した、野ばら。

まったく同じ言葉に付けられたにもかかわらず、
曲によって、さまざまな野ばらになっています。

「伝える」ということを考えた場合、もしかしたら、
言葉では不確かなところも、
音楽ならば、確実に伝えることができるのかもしれません。


■11月9日の誕生果

   野薔薇の実 (のいばらのみ)
     小さな愛

 ・和名 : ノイバラノミ、野茨の実
 ・分類 : バラ科、 バラ属
 ・原産地 : アジア、ヨーロッパ


野薔薇の実。
「無意識の美」という実言葉を持つ植物。
花言葉は「素朴なかわいらしさ」です。

ノイバラは、北海道から沖縄まで
日本の野山に普通に自生している野生のバラ。

バラの原種のひとつで、
近代バラの親木としても利用されているようです。

刺があるため、扱いには注意が必要。

花は香りが素晴らしいので、
香水の原料としても利用されています。

肝心の果実は、漢方の製薬としても利用されています。
胃腸の調子を整えたり、利尿作用などの効果があります。

ハーブティーで知られているローズヒップもノイバラの一種、
ヨーロッパ原産のドッグローズ(イヌバラ)です。

ローズヒップ (rose hip) の「ヒップ」は、「実」の意味。

ローズヒップには、
レモンの数十倍といわれるビタミンCが含まれており、
「ビタミンCの爆弾」というアダ名がつけられています。

ローズヒップのハーブティーは、
美肌や疲労回復にも効果大です。

野山に自生し、秋に赤い実をつけるノイバラ。

人間だけでなく、鳥や動物たちも、
きっと、気付いていることでしょう。

その小さく美しい赤い実に詰め込まれた、
ノイバラからの自然の恵みと愛情に。


誕生果とくだもの言葉 出典:
  日本果物商業協同組合連合会 「くだもの屋さん」
  (参考文献: 図説 世界のくだもの366日事典)

    
■11月9日の誕生色 : 樺 色
■11月9日の誕生花 : ノギク、他