森の中のティータイム

離婚を経験し子供達も独立 
暮らしの小さな発見をノートに。

置き去り犬、チビ

2007-05-18 | 絵・アート
チビという名の犬が、近所の取り壊しが決まったアパートで
5年ほど前に飼い主に置き去りにされた。
甲斐犬とのミックスらしいが、痩せてどこか悲しい目をしていた。

以前、まだ飼い犬だったころも
交通事故で後ろ足を痛めた後に放し飼いにしたまま放置していたため
妊娠し、臨月が来ても後ろ足の障害のために息むことができなくて
結局お腹の中で子供が死んでいて、二晩ほど苦しそうな声をあげて
鳴いていたところを、近所の親切なおばあさんが病院に連れて行き
処置してもらったこともあったくらい、無責任な飼い方だったらしい。

当時、私は勤め帰りにそこを通るたびその子の訴える様な目が
気になって仕方なかったが、それを知ってますますその子が
愛おしくなってしまい、それからは私もおばあさんと一緒に
面倒をみるようになった。
そのうち、おばあさんは遠くへ引っ越されたことを知った。



私の家は集合住宅で、動物が飼えない環境だったから
雨の日や嵐の日には、心配で何度も様子を見に行っては、
胸をしめつけられる思いで帰ってくることも度々だったけど、
だんだん取り壊されていくそのアパートに、
いつまでもチビを置いておくことが出来なくなって、私は眠れないくらい
悩んでいた。

やがておばあさんの家に新しい家が建ち、
そこがおばあさんご夫婦の建て替えたものだったと知ったのは、
チビの姿が見えなくて探し歩いていた時だった。

懐いていたおばあさんの家で飼ってもらえることが決まったチビが、
以前はなかった和風庭園風の小さな庭に居た。
少し戸惑った感じながら、幸せそうに甘えるチビを見るのは
本当に涙が出るほどに嬉しかった。

今もおばあさんの庭でチビと対面するのが、私の楽しみの一つだ。
(名前が分かってしまうので、この絵のサイン部分だけ削りました;)



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