その夜私は、3歳か4歳の女の子が小児癌でなくなるまでの
実話に基づくひと組の親子の話をテレビで観ていて、
29年前の大学病院での日々を思い出していた。
私の初めての子供は元気な男の子だったけど、
臍ヘルニアがあり、それが腸との交通があると疑われた為に、
手術が必要だと診断された。
生後2カ月で入院する事になり、小児外科の病室で
私も3週間の間、折りたたみサマーベッドで寝泊りする
付き添い生活をした。
その日々の中で、様々な難病の子供や癌の子供たち
そしてその母親たちと知り合った。
お互いの病状を語り、私はただ聴いて受けとめるだけだったけれど、
悲壮感と共に不思議な連帯感や思いやりで満ちた空間を共有した。
手術の麻酔が醒めかかった息子の、小さな手に刺された
点滴の針を見つめていると、涙でそれがぼんやり霞んできて、
そのまま窓の外にふと目をやると、こちらを見ている白い鳩が
まるで天使の姿のように見えた。そして私は思わず祈った。
「神様、この子を助けてください。助けてくれたら
たとえどんな子になろうと、構いません」と。
その後退院までの不安定な病状の中で、何度祈ったことか。
だが、しかし、人は忘れるのだ。

(息子小学生時代の版画から)
月日は流れ、親不孝息子がそれを忘れさせるのだ。
まったくメールに返事もよこさず、電話も返してこない!
心配が過ぎて、ひとしきり腹を立てたあとで、
最終的に今日もこう思うことで、自分自身を納得させるのだ。
「あの時大変な難産で産み落としたあれは、
多分大っきなう●こだったに違いない」って;
殆ど連絡をよこさぬその息子は今、関東の会社で
多分元気に働いている。
実話に基づくひと組の親子の話をテレビで観ていて、
29年前の大学病院での日々を思い出していた。
私の初めての子供は元気な男の子だったけど、
臍ヘルニアがあり、それが腸との交通があると疑われた為に、
手術が必要だと診断された。
生後2カ月で入院する事になり、小児外科の病室で
私も3週間の間、折りたたみサマーベッドで寝泊りする
付き添い生活をした。
その日々の中で、様々な難病の子供や癌の子供たち
そしてその母親たちと知り合った。
お互いの病状を語り、私はただ聴いて受けとめるだけだったけれど、
悲壮感と共に不思議な連帯感や思いやりで満ちた空間を共有した。
手術の麻酔が醒めかかった息子の、小さな手に刺された
点滴の針を見つめていると、涙でそれがぼんやり霞んできて、
そのまま窓の外にふと目をやると、こちらを見ている白い鳩が
まるで天使の姿のように見えた。そして私は思わず祈った。
「神様、この子を助けてください。助けてくれたら
たとえどんな子になろうと、構いません」と。
その後退院までの不安定な病状の中で、何度祈ったことか。
だが、しかし、人は忘れるのだ。

(息子小学生時代の版画から)
月日は流れ、親不孝息子がそれを忘れさせるのだ。
まったくメールに返事もよこさず、電話も返してこない!
心配が過ぎて、ひとしきり腹を立てたあとで、
最終的に今日もこう思うことで、自分自身を納得させるのだ。
「あの時大変な難産で産み落としたあれは、
多分大っきなう●こだったに違いない」って;
殆ど連絡をよこさぬその息子は今、関東の会社で
多分元気に働いている。