森の中のティータイム

離婚を経験し子供達も独立 
暮らしの小さな発見をノートに。

みんなそうやって生まれてきた

2018-08-11 | 映画ドラマ
昨晩の「透明なゆりかご」第4話も、役者さんたちの演技にまたも見入ってしまった。
この作品を観た後はいつもじんわりと泣けてしまうんだけど、それは大袈裟な演出なしの
何とも言えない「リアリティ」が齎すものだと思う。

特にこの第4話では、出産直後に亡くなってしまった妻と、残された乳児を抱えて戸惑う若い
父親の話だったので、先日みなあんさんへのコメントでも触れた「義兄の妹さん」の件と重なり
涙が止まらず。

出産はいつも命がけだ。
自分は大した問題もなく三人の子供を産んだように記憶していたけれど、突然思い出した。

そう。私も最初の出産では死にかけたのだ。臨月に風邪を引いてしまい「お腹の子供に影響があっ
ては」と強い風邪薬を避けたせいか、咳が止まらず、予定日より早い深夜の破水だった。
当直には新米の金髪の見習い看護師?しか居なくて、先生の指示なのか随分早くから一晩中、
暖房のない一月の冷たい分娩台に寝かされて、私の身体は冷えと痛みのために疲れ果てていた。

朝になり、ようやく出産が始まると、息む力が弱かったのか助産婦さんも不在だったせいなのか
力の配分もわからず、いくら息んでも赤ちゃんの頭が出てこない。
遠のく意識の中で、母が分娩室の外で「〇子ちゃーん!」と叫ぶ声が聴こえ「花火が上がる音」がして
目が醒めたのだった。     そうして大きく息んでようやく生まれ出たのが長男だった。
後で、あの花火の音が産道で止まったままだった長男を吸引する音だったと知った。
あの時、あのままだったら・・・長男はこの世にいなかったかもしれない。

その後息子は黄疸が酷く、保育器の中で目隠しをされて光線療法を受けたり、見習い看護師さんのせい
なのか、生後二か月であの時のへその緒の処理のまずさから手術を余儀なくされた。

前述の義兄の妹さんは、私の三人目の出産より少し前に初めての出産を迎えた。
今回のドラマ同様、妊娠中は正常だったのに出産時出血が止まらず亡くなってしまった。赤ちゃんも
脳に障害を受けてしまった。

優秀な会社員だった赤ちゃんの父親は精神的におかしくなり、蒸発。残された赤ちゃんは父方の祖父母
が育てることになったけれど、数年でこの赤ちゃんも亡くなった。
後に、「本来ならこれは訴訟に発展するケースだった」と、ある新聞に書かれていた。

でも、たとえ訴訟に勝ったとしても、一つの家族が崩壊した事実は変わらない。
出産とはそういうリスクが常に伴うものだという現実。
私たちの命はそんな「奇跡の積み重ね」の上にあるのだ。

長女二女の時は比較的安産だったけれど、長女を連れて退院して帰った実家の階段で、淋しそうに待っ
ていた長男を抱きしめたことや、二女の時には陣痛を感じつつも、用意した入院セットを抱え長女の手
を引いてバスに乗り、すぐに出産の運びとなった時のこと等々。

二人目以降には、ちゃんと出産の行程を勉強していたことから、落ち着いて臨むことが出来たと思う。
でも、母の出産までのバタバタを見守る形となったあの時の長女の不安そうな顔が忘れられない(笑)

あれから数十年過ぎて、私にも孫が出来た。
その子は息子(おじさん)にも似ている。 顔だけかと思ったら、乗り物好きなのも同じ?(笑)

 

    「奇跡の賜物」が、どうか平和な世界で暮らせますように☆
コメント