森の中のティータイム

離婚を経験し子供達も独立 
暮らしの小さな発見をノートに。

黒人問題を描いた映画

2012-11-14 | 映画ドラマ
先日ブログ終了のお知らせをされた「ジュルのしっぽ」さんが
昨日のブログで動物愛護法改正の「その後」の報告をされていた。
記事の中には、有名な「アメイジング・グレイス」を南アフリカの貧しい地域の住民から
選抜されたゴスペルチームが歌う印象的な動画が貼られていて、観て(聴いて)いる
うちに、これまでに観た様々な人種問題をとりあげた映画が心に浮かび、胸が熱くなった。

ブログを書かれたhanaさんは、この曲がもともとは「奴隷商人だったジョン・
ニュートンが、懺悔のきもちを作詞した曲」であったことに触れ、「黒人奴隷制を廃止する
ためにイギリスの政治家ウィリアム・ウィルバーフォースは、奴隷貿易の廃止に18年、奴隷
制廃止までに44年を費やしたといわれています。
(彼は奴隷制廃止法成立の1ヵ月前に亡くなります。まさに政治家人生すべてを奴隷制廃止に
掛けたわけです)
人である奴隷でさえ、政治家をもってしても廃止に44年もかかったのです。
動物なら、言うまでもありません。」と続けておられます。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大昔、私がまだ独身時代に8日間連続でテレビ放送された「ルーツ」は
それまであまり詳しくは語られなかったアメリカの奴隷問題をテーマに
彼らがアフリカから白人によって強引に連れてこられるシーンから始まるスト
ーリーが、日本でも一大センセーションを巻き起こした。

もちろん我が家でも、主に父と私が連日連夜テレビに張り付いて観た。
人は、これほど過酷な運命に翻弄されながら誇りを捨てずにいられるのかと
大きな衝撃を受けた記憶がある。

あれから35年以上の歳月が流れたが、それ以降「黒人問題」は少しずつ
私の中で薄れては、それに踏み込んだドキュメンタリーや、それと全然関係
のない映画の中でのさりげないセリフから突然思い出されるような、少しずつ
胸につかえた異物のようなものになっていた。
時にはアメリカで起きた黒人の絡む事件をきっかけに再び深く考えさせられる
こともあった。

そしてマイケルとの出会い。
もちろんもっと大昔に彼らのグループを知ってはいたけれども、本当の意味での
「黒人マイケル」との出会いが、白人社会の大半が黒人の成功を許さない大きな壁の
ような存在であることや、未だ人種差別が引き起こす様々な問題を抱えているという
現実を知った。

87年にNHKで放送された「アンクルトム物語」は、今もビデオに残している。
トムの深い信仰心と白人の子供に注ぐ慈愛に満ちた行為に、涙が出て止まらなかった。
以後も、それまでの受動的な鑑賞と違い、「ウーピー・ゴールド・バーグ」主演
の「ロング・ウォーク・ホーム」のような差別問題を扱った映画の類を選んで観
ていたような気がする。

虐げられていても誇りを捨てず、毅然として「戦う」のではなく「闘う」
彼らの姿には、涙が溢れ静かに深く感動するけれど、逆に胸をえぐるような
彼らの「怒り」が引き起こす事件や作品も多い。それだけに今も尚、根底に存在する
問題であることがわかる。

「もう黒人問題は昔の話」と、少しずつ感じていた自分の無知を恥じ
同じように能天気なことを言う人たちと意見を交わしたこともあった。
そして知らず知らずのうちに自分も誰かを卑下したり傷つけていないかを
自らに問うきっかけにもなった。

ショーン・コネリー主演の「理由」は、一見、殺人で無実の罪に問われた
「黒人」の男の、死刑判決を覆すまでのストーリーかと思いきや、ラストの
どんでん返しが、アメリカが内包する人種差別問題を浮き上がらせる。
「辱められた」悲しみが、これほどに人の尊厳を踏みにじってしまうのかと
痛ましい現実を、目の前に突き付けられた気がした。

「評決のとき」のラストでも、マシュー・マコノヒーがたしか最終弁論だったか
で、被害者少女を黒人から白人に置き換えて陪審員に真偽を問うシーンがあった。
ここでもアメリカ社会に潜む人種問題をくっきり浮き彫りにした。

マイケルの歌う「ON THE LINE」がタイトルロールのバックで
流れる、スパイク・リー監督の「GET ON THE BUS」。
残念ながら全編を観ていないけれども、この映画には私の好きなウィル・スミス
やデンゼル・ワシントンも出資したという。

こういうテーマの映画は決して興行的には成功を収める傾向にないけれど
監督とは共にショートムービーを作る上でも意気投合した親友マイケルは
恐らくこのテーマだからこそ、曲を喜んで提供したのだと思う。
スパイク・リーは、自らの息子に「ジャクソン」と名付けている

Michael Jackson - On The Line (from Spike Lee's 'Get On The Bus')


Babyface の書く曲も穏やかな気持ちになれるので、私は好き。
信念を持つことの大切さ努力することの本当の意味を正面から歌う
様々な立場の人にとっても、心を突き動かされ励まされるこれらの歌詞は
マイケルの美しい声で歌われ、より一層胸に響く。もう鼻の奥がすごく痛い;


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6 コメント

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この場所からでも考えてゆくこと (森おばさん)
2012-11-15 18:25:18
こんにちは!
丁度 今日「灼熱の魂」という映画を観て 人間の誇りについて考えていました。
この映画は中東の民族紛争を下地にした物語でしたが 主人公である女性が 宗教の違いから愛する人や子供を奪われ 憎悪を拡張させ闘士となり その後これ以上ない壮絶な人生を遺言という形で 子供に知らしめるものでした。
正直・・どうしたらそれ程強く 生きて行けたのか私には分からないのですが 黒人問題の映画を観るたび 誇りを持って生きる事が 私自身には 高いハードルに感じられてきました。
お話の中にいくつかの映画が出てきましたが 私にも印象に残るものが多くありました。
信仰を持つ・・ということは やはり拠り所なのでしょうか・・
裸で 生きてゆきたい。なんて思うことは無謀なんでしょうかね・・
今 この場所からでも ずっと考え続けなければならない事だと思っています。
マイケルとスパイク・リー監督は 友人だったんですね。
なんか・・崇高な感じ。凄く優しいのにね。
babyface 私も大好きです。
何でしょうか・・理由は上手くいえないのですが 優しい気持ちに一瞬(笑)させてくれるからかな?
冬支度にお忙しそうですね。
いつも楽しく伺っております。 また。
返信する
灼熱の魂・・ (wildrose)
2012-11-16 15:43:46
これ、観たいです。
最近近所のレンタル屋が縮小してしまって品揃えが悪く
殆ど借りることもなくなりましたが・・。
中東と言えば、アメリカのジャーナリスト夫妻が中東取材中に起きた夫の誘拐・
殺害事件の真相を、妻の側から描いた 映画「マイティ・ハート/愛と絆 」とい
う映画を観たときにも、危険を顧みず真実を求める人たちのこの「強さ」は一体
どこからくるのだろうと、考えてしまいました。

私たちの国でも今は大変な時を迎えていますが、それでも毎日戦場にいる人々と
比べるなら少しはましなのかもしれず、やはり森おばさん様と同じく私も
彼らの立場になればどういう気持ちでいるかは…正直想像できません。

異なる信仰を持つがゆえの国や民族の争いも、そこに「神が介在する」のであれば
神の名のもとに争うことを良しとするはずがないと思え、狂信的な信仰を持つこ
とにより結果死に至るような多くの犠牲をもたらすという現実を見る限り、
人が「信仰を持つ」ことが必ずしも魂の拠り所になるかは・・・私も疑問です・・。

深すぎて私はここからいつもグルグル堂々巡りですが(笑)解かるのは、たとえ
何らかの宗教を信じるとしても、その信仰に「真理」を見いだせるまで、時間を
かけて深く考えなければならないということだけで、森おばさん様の仰る「今 
この場所からでも ずっと考え続けなければならない事」に変わりありません。

何だか・・今日はいつになく深いですね~私たち(たちって、仲間に入れちゃって
ご免なさい;・笑)
babyface お好きで嬉しい♪ > 一瞬でも優しい気持ちに  それ同じです(笑)
すごく解かります~。「一瞬」でもいいから穏やかでいたいです;

最近、時間切れで後回しにしたコメントをなかなか付けることができませんが
ネットできる日は必ず「森クラ」に伺っています♪
お子さんたちが森おばさん様同様、多趣味多才で、いつも楽しく拝読させて頂
いてます☆
返信する
灼熱の魂 (森おばさん)
2012-11-16 18:23:55
補足ですが・・
「灼熱の魂」は一応民族紛争が下地なのですが・・
どちらかというとそれは後付?とも思えるんですお。。

最初はーーエンターテーメントありき。という気もして 正直こんな脚本いいの??という疑問も残るのです。

これ以上無いほどの苦しみを受け その後 母として生きてゆけるのか 私には到底無理だし、秘密を子供に打ち明ける意味も正直 墓まで持ってって。が本音。 想像の中なのです。
主人公は まさしく 突然に魂が燃え尽きるように亡くなります。
信仰って・・そんなに強くしてくれるの?という素朴な疑問が残るのです。
機会があったらぜひご覧になって 私の???について
wildroseさんのご意見を聞かせてください。
あっ。こういう尾の引き方 問題ていぎも狙いのひとつなのかなーー。
ところで・・すっかり大工仕事がプロ級ですね。 素晴らしいです。wildrose店があってほしいーーーー!!
返信する
「ジュルのしっぽ」さん (みなあん)
2012-11-18 02:50:14
今、見てきました。
感謝とともに、継続することの大切さと難しさを改めて感じ、身の引き締まる思いです。
それにしても「アメイジング・グレイス」に、そんな背景があったとは!
「ルーツ」と「評決のとき」は、テレビの前で凍りつくような煮えたぎるような、複雑な感情で見たことを思い出しました。
アムネスティの活動に参加していると、世界には人種・宗教・思想・出自・性別・性的少数者(LGBT)など、あらゆるものが差別と人権侵害の対象になるのだと思い知らされます。
日本にも一見差別と思えないような巧妙なものや、未だに制度化されていて改められていないものが多々あるので、うっかり取り込まれないように気を付けましょうね。
今日もイスラエルとパレスチナの紛争激化のニュースが流れていましたが、差別は人権侵害となり、行き着くところは戦争という名の殺し合い..。(あの地域は聖書の時代からという根深さですよね。)
美しいマイケルの歌声に救われつつ、彼の目指した社会が来る日を願うばかりです。
そしていつも心の糧になるテーマをいただき、ありがとうございます!
返信する
森おばさん様 (wildrose)
2012-11-18 11:33:27
そうですか~映画ですから娯楽性も必要ですね ^^
そういう部分があった方が、どちらかというと最近疲れやすいので助かります;
時間が出来たら少し遠い場所のレンタルショップにも行ってみたいと思います。
お忙しいのに教えてくださって有難う♪

いつも精力的に観賞なさる映画の数々、そのジャンルの広さ、視点の鋭さに「感服」です。

後を引くと言えば、映画好きの友人や昔WOWOWで録りためた映画を見せてくれていた友人は
これ観たら感想聴かせてね!なんて言ってました。
それって「後を引く」類の映画なんですよね。必ず(笑)

そう言えば職場にも幾つも年下の映画好きの人がいて
自分が感動したりどう理解すればよいか迷う映画だったりすると
必ず私にも「絶対観て!」と言ってきたことを思い出しました。
映画の感想を通して、その人の人生観なんかも何となく伝わってきたりしますよね。

大工仕事
絵には「ヘタウマ」って言葉がありますけど、私の大工仕事は「ヘタヘタ」なんです~;
小さい画像だと解り難くて反って助かります(笑)

寒くなりましたからお子さん共々、インフルエンザなどにはくれぐれもお気を付けくださいね!
返信する
みなあんさん (wildrose)
2012-11-18 12:41:46
動物愛護のNPOに協力なさるだけでなく、フォスターペアレンツや
アムネスティの活動を長く続けていらっしゃるみなあんさんを
心から尊敬しています。

その見識の深さは、私のような「思いの先走り」で疲れてしまう人間
にとって見倣いたいことが多過ぎです。いつかみなあんさんのように
私にも誰かを助けることができれば嬉しいです。

紛争の続く国の事情は、映画でもストーリーを理解する上である程度知って
いなければならないのでその都度少しは調べてみるのですが、複雑すぎて
混乱することも多く、きっと現実はそれ以上に複雑なのだろうと思えます。
ニュースで伝えられることが必ずしも真実であるとは限りませんから。

シリアの虐殺事件ひとつとっても、報道は偏ったものだったと聴きました。
人道上の軍事介入の名のもとに「真実とは別の報道」をしているとも
ネット上で知りました。日本も含め確信犯的措置だったのか、難しすぎて
私には解からないことだらけです。

最近二度見した;映画「ハイクライムズ」でも、1988年海兵隊の工作員と
して訪れたエルサルバドルで一般市民9人を殺害・逃亡した容疑がかかった
夫を、軍事法廷という専門外のフィールドで弁護する妻を、アシュレイ
ジャッドが演じていました。軍の機密や面子を守るためには、平気で嘘が
真実にとって代わるというのは、現実の方が映画以上にありがちだとも。

みなあんさんにこちらで教えていただいて、「よくわからないから」と退ける
のではなくちゃんと目を向けなければとも思えるようになりました。

仏杯フィギュア、男子では無良選手が逆転でGP初優勝だそうですね!
日本人選手の活躍、ますます期待できそうで楽しみです☆

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