ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

井上ひさし作「父と暮らせば」

2011-09-13 13:46:50 | 芝居
8月23日紀伊國屋サザンシアターで、井上ひさし作「父と暮らせば」を見た(演出:鵜山仁)。

広島の「ピカ」(原爆投下)後3年。美津江(栗田桃子)は図書館に勤めつつ一人暮らしをしている。
彼女の心に一人の青年へのほのかな恋が芽生えた或る日のこと、突然、原爆の日焼け死んだ父の霊 ?(辻萬長)が現れる。
自分の恋心を必死に押さえつけようとする彼女に、父は懸命なエールを送るが・・・。

芝居を観た後は、いつも言いたいことがむくむく湧き上がってきてそれを書き留めるのに忙しいのだが、この日は書きたい
ことが特になかった!これは喜ぶべきことなのかどうか・・。

広島弁が面白い。「ない」を「なあ」と言うとか。
1時間25分の短い芝居。

「むごいことよのう・・」娘があの日の出来事を語る一言一言に、父がこういうコメントを加える。観客は、従って、
やることがない。ただ座って見ているだけでいい。すべてが舞台の上で完結してしまっているのだから。
言いたいことがないのは、何もつまらない芝居だからというわけではなく、むしろつまらなければ怒りのエナジーでもって
書きまくるわけで・・。父と娘の今生の別れのシーンでは涙もこぼれたし。

結局、この日は怒りも賞賛(賛嘆)も何も湧いてきませんでした、ということ。
教科書に載っている散文を読んだあとのような感じか。
ただ、いくつか気になる点はあった。例えば、遺体を並べておく時は普通仰向けにするのではないか(でなきゃどうして
当人だと分かるのか?)。また、即死のはずなのに「便が乾いてこびりついていた」なんてことがあるだろうか。
どれも悲惨さを強調するためだと思うが、不自然だ。

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