ちょっと間を置いてしまいましたが、「内部統制のお勉強」です。
今回は、内部統制の目的と必要性についてです。
■内部統制の目的について
内部統制の目的に関しては、財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)(PDF:以下実施基準と書きます)の3ページ(その文書のページ番号、PDFでは9/129)に、
(1)業務の有効性及び効率性、
(2)財務報告の信頼性、
(3)事業活動に関わる法令等の遵守、
(4)資産の保全
という4つの目的が載っています。
また、基本的要素としては、以下の
(1)統制環境、
(2)リスクの評価と対応、
(3)統制活動、
(4)情報と伝達、
(5)モニタリング、
(6)ITへの対応
6つが挙げられています。
これは、COSOの報告書に対して、目的、基本的要素それぞれ1つづつ足している(目的で足されているのは、(4)、基本的要素で足されているのは(6)、表現は微妙に違うものがある。COSOの目的は基本的要素については、こちら)。
なお、この目的、基本的要素に、事業分野を加えた3つの軸で、内部統制をみると、
ルービックキューブのように見える(って、良くわかんない人、そもそも、ルービックキューブを知らない人は、こちら)。
これをCOSOキューブという。
■内部統制の必要性(1)-会社法
というわけで、目的を、「もっともだ!」と思う人は、内部統制をやれば良い訳なのだが、
うーん、なんだかなあ・・・と思う人でも、内部統制をしなければならない人がいる。
なぜかというと、法律で決まっているから。
どういう法律で、どーいう人がやらないといけないかというと、
まず、会社法の362条5項で、大企業は、「株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」(前項第6号)をしなくてはなりません。これが、内部統制システムにあたります。
えーつまり、会社法で、大企業は内部統制しろときまっています。
■内部統制の必要性(2)-金商法
もうひとつ、金商法でも、きまってます。
金商法(金融商品取引法)は、昔の証券取引法がパワーアップ??したものです。
で、その24条の4の4 第1項で
事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書
っていうのをだせ!となっているのですが、これが、内部統制報告書といわれるものです。
っていうことは、この報告書を出すには、内部統制しないといけませんが、上記のように
財務計算に関する書類その他の情報の適正性
とあるように、財務諸表を中心に考えているみたいっすね。
■まとめると
大企業で、上場企業-金商法、会社法を守るため、内部統制必要
大企業で、上場してない-会社法を守るため、内部統制必要
中堅・中小企業で上場企業-金商法を守るため、内部統制必要
中堅・中小企業で上場してない-内部統制しなくてもいい。
ただ、しなくてもいいけど、してもいい。
目的に共感する場合、していい
(ただ、この場合は法律に決まってないから厳密にしなくても、誰からも怒られない)
ってなかんじです。
こんかいはここまで。
次回は、「内部統制の枠組み」とかいうお話。