青少年なやみ相談室

相談室だより

人は孤独を克服できるか

2021年09月01日 09時00分00秒 | vol151~160

新型コロナ感染拡大の波がおさまりません。

重症化や死亡に至らないよう、自分とまわりの命を守るためには、「消毒」「マスク」「ワクチン」、そして「人とのディスタンス」。

会話をしないこと。一緒に食べないこと。歌わないこと。握手をしないこと・・・。

大切な家族や友人、仲間達に会うのを断念している人がどれだけいることでしょう。

人と人との間に距離や隔たりの壁を作り、一人ひとりを孤独に陥らせようとする恐ろしく悲しいウイルス。

長びくコロナ禍の中で、人と人とのつながりはぐらつき始め、消化不良のまま時間だけが過ぎ、

本来のあったはずの絆さえどんどん色あせていくように感じます。

 

【「孤独」とは何か考える】

ドイツの哲学者エイリッヒ・フロムは「人間の最も強い欲求は、孤独を克服することだ」と言っています。

誰にとっても「孤独」は大きな不安であり、生きていく上での普遍的なテーマであるといえます。

「孤独」を強いられている今だからこそ、私たちはその正体をとらえなおし、孤独と上手につきあって生きていく方法を

考えるべきではないでしょうか。

 

そもそも、孤独には、不安や恐怖、苦痛など、本当にマイナスの側面しかないのでしょうか。

もし、孤独をポジティブな意味づけにとらえ直し、受け入れることができるとしたら…。

恐ろしいものではなくなり、むしろメリットがあることを知ったら「孤独もそんなに悪くないな」と思えるかもしれません。

 

人の命には限りがあり、人間関係もその時その場所で次々とうつろうもので、

結局は「誰もが孤独な存在である」と考える人もいるでしょう。

しかし、人は孤独な存在だからこそ、多少煩わしいことがあっても、誰かがそばにいてくれるありがたさを

感じるものであるし、孤独を知っているからこそ、誰かの心に寄りそうことができると言えます。

 

以下は、ポジティブな意味づけの一例です。

孤独(ひとり)とは・・・人とのつながりを求める原動力/人の温かさに気づく経験/人に流されないで

自分らしさを持つこと/自由であること/支配されていないこと/邪魔されないこと/依存していないこと

/かけがえのない自分という存在を確認すること/自立し独立しているということ…

他にどんな側面があるでしょうか。

 

「孤独」について考えをめぐらすことは、自分の生き方やあり方を見つめ直すことでもあり、

そのことは、これまでの自分と人とのつながりに価値を見出し、

そのつながりをどうしていきたいのか、どんな新しいつながりを期待するのか、

自分の中にある望みや希望を明確にしていくことにつながっていくのではないでしょうか。

自分の中に、いつか会いたい人がいるのなら、元気かどうか心配してくれる人がいるのなら、

二度と会えなくても大切な存在がいるのなら、

人は決して孤独ではないのです。

 

参考文献:『愛するということ』エイリッヒ・フロム著、鈴木昌翻訳、紀伊国屋書店、2020


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相談室だより8月 納豆のお話し

2021年08月01日 09時00分00秒 | vol151~160

 みなさんは納豆はお好きですか?「大好きで毎日食べる!」方もいれば、「匂いがダメ」「ネバネバがダメ」など、苦手な方もいらっしゃると思います。私は毎日は食べませんが大好きです。特に大粒の納豆にきざみネギを混ぜて食べるのが好きです。

 総務省の家計調査によると、2018~2020年の納豆の1世帯当たりの平均支出額第1位は福島市で、第2位は盛岡市、第4位山形市、第5位仙台市、第9位秋田市、第10位青森市と、東北の県庁所在地はベスト10入りしていて、東北の人は納豆をよく食べていることになります。

 東北人がこよなく愛する納豆の魅力は、何と言っても体とお財布に優しいところではないでしょうか。納豆の原料となる大豆はカルシウムやビタミンB1をはじめとしたビタミン、ミネラル、レシチン、サポニンと言った成分を多く含んだ総合栄養素材です。それを発酵することで成分はさらに増加し、納豆には健康を保つ上で欠かせない要素がたっぷりと含まれています。

 そんな納豆の食べ方はさまざまあり、薬味を変えるだけでも一味違った納豆を楽しむことができます。薬味としては、ネギ、シソ、ゴマ、キムチ、大根おろし、シラス、粉チーズ、明太子、山芋、アボカドなどなど…他にも各家庭ごとにお好みの薬味があると思います。さらにお料理としても天ぷらや納豆汁、トースト、グラタン、ピザ、パスタなどなど…こちらも和洋問わずさまざまあります。独特の香りと食感の納豆ですが、不思議と組み合わせを楽しめる食材でもあります。ぜひ、あなた好みのオリジナル納豆料理にチャレンジしてみてください。

 また、先人たちは意外にも短歌や俳句に納豆を多く詠んでいて、「納豆汁」は冬の季語にもなっています。かの松尾芭蕉も、<納豆切る音しばしまて鉢叩き>と詠んでいます。納豆は、昔から多くの人に愛されていたのですね。

 猛暑となりそうな8月、納豆に限らず、栄養のある美味しいものをしっかり食べて、身も心も癒して健康にすごしましょう。

 

 

                                    参考:河北新報 2021年7月10日 共生のページ

                                       だるま納豆 納豆の豆知識 www.darumanatto.jp  


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相談室だより7月 緊張とのうまい付き合い方

2021年07月01日 00時00分00秒 | vol151~160

 学校や職場で何かにチャレンジしようとするとき、緊張したりプレッシャーを感じたりすることってありますよね。というかそれが普通ですよね。

 それは進化の過程で生まれた「命を守るための反応」、狩りをしていた私たちの祖先が、突然、ライオンに出くわしたときの「ストレス反応」です。心拍数に血圧、血糖値が上昇することで、逃げる準備や戦う準備が整います。逆にそれがないほうが危険なのです。

 でも、そういう命の危険がない今は、いくらかでも緊張を和らげたいですよね。その方法をいくつかご紹介します。

 

➊ 深呼吸をする

 緊張には「自律神経」が大きく関係しています。自律神経は緊張状態をつくる「交感神経」と、リラックス状態をつくる「副交感神経」で構成されていますが、基本的に自分の意志でコントロールできません。心拍数や血圧などが代表的ですが、緊張時の冷や汗、あぶら汗、手足や声のふるえも、自律神経の働きによって生まれているのです。

 ただ、自律神経の働きにも例外があります、それは呼吸。普段は意識しませんが、呼吸だけは自分の意志で速めたりゆるめたりできます。緊張時は呼吸が乱れがち。その時はため息をつくように、ゆっくり長~く息を吐きだしましょう。その後、鼻からやさしく息を吸います。これだけで副交感神経がしっかり働くようになり、リラックスできるのです。

 

➋ 気持ちをそらす

 緊張している時って、一つのことに意識が集中していることが多いのです。集中することは大事ですが、集中のしすぎはかえってマイナス。よくスポーツ選手が試合前にヘッドホンで音楽を聞いたり、ガムをかんだりしている姿を見ますが、これも脳の意識を分散させることで、緊張を和らげているのです。例えば、この1週間で一番楽しかったことを考るなど、自分に合った気持ちのそらし方を見つけてみましょう。

 

➌「見える化」する

 緊張するのは、これから何が起こるかが見えないから。電灯のない暗い道を歩くのと、見晴らしのよい草原を歩くのでは気分がまったく違いますよね。緊張の原因は見えないことへの不安や恐怖。そこで「見える化」です。鉛筆と紙を準備して、今どんな不安や恐怖を感じているのかを、できるだけ具体的に書き出してみるのです。この「見える化」に緊張をほぐす効果があることは、科学的にも証明されています。

 

 ほかにも緊張を和らげる方法はいろいろありますが、緊張を感じることは生物学的にとても自然な現象です。すぐには効果が現れないかもしれませんが、そういう体験を重ねることで、徐々に緊張とうまく付き合っていくことができるようになります。まずはお試しあれ!

 

 ※参考図書:池谷裕二×ヨシタケシンスケ『モヤモヤそうだんクリニック』(NHK出版)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

親の背中と「顔」を見せる

2021年06月01日 09時00分00秒 | vol151~160

誰にとっても、生まれ育った環境や親から受ける影響は大きなものです。

あなたは自分の親のことが好きですか。

親御さんは自分の子どもさんとどう向き合っていますか。

 

多様な価値観が許されている現代、親子関係の形も人それぞれですが、一方で、昔から変わらない親としての基本の形があります。

赤ちゃんの時は、とにかくスキンシップ。安心できる場所であること。

幼児期は、ほめて自信をつけてあげること。

小学生は、基本的な生活スキルや、善悪の判断をしっかりとしつけること。

思春期は、少し離れて見守りながらも、時々真剣にぶつかり稽古をしてあげること。

高校生からは、干渉しすぎないこと。

 

ここにあげたものは、親の仕事のほんの一部にすぎませんが、どの年齢の親子にも共通する一番大事なことは、親と子どもがしっかりと「向き合う」ということです。

 

「理解ある親でいたい」

「傷つかないよう守ってあげたい」

「ほめて伸ばすのが一番」

「いつかはわかる日が来る」

「親の背中を見せればよい」

このような言葉は、時に、必要なぶつかりあいから逃げる、魔法の言葉になってしまうことがあります。

 

相手と、真剣に向き合うことを、ついつい先延ばしにしてはいませんか。

大切なことは、相手の目を見てはっきり言葉で言わなければ伝わりません。

「顔向けできない」と言う言葉があるように、顔と顔を向き合わせる場面は、うそや隠し事が通用しない場です。「親の背中を見せる」ということは、「親の顔をしっかり見せる」ことよりも、実は楽な場合もあるのですね。

親の生き様を表す「背中」と、しっかり向き合ってくれる親の「顔」を、両方を見せていくことで、親として、人間として、豊かに育っていきたいものです。

参考文献:『子ども家庭支援の心理学』アイ・コーポレーション、安藤朗子、2019


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相談室だより5月 5月6日は国際ノーダイエットデー

2021年05月01日 09時00分00秒 | vol151~160

 みなさんはダイエットをしたことはありますか。私は年に何回か、やせ願望と言うより健康維持のためのダイエットに迫られることがあります。実は最近も健康診断で腹囲を測定して愕然としました。これは何とかしなくちゃ!今度こそ!と思い、効果的なダイエット方法を検索していたら、「国際ノーダイエットデー」と言う言葉が目にとまりました。

 みなさんは、「5月6日は国際ノーダイエットデー」ということをご存じでしょうか。「国際ノーダイエットデー」は1992年平成4年にイギリスのフェミニストであるメリー・エヴァンス・ヤングが提唱しました。ダイエットによる健康への影響を訴える日で、無理なダイエットや減量手術などの危険性について多くの人に知ってもらい、肥満による差別をなくすことなどが目的です。

 最近の多くの若い女性は、やせ願望やダイエット指向を持っているとされています。その証拠に本屋さんに行くと、たくさんのダイエット本が並んでいます。食事によるダイエットや運動によるダイエットなど、実に様々です。しかし、偏った食生活や無理なダイエットは、貧血やホルモンバランスの乱れによる体調不良、生理不順などを引き起こす可能性があります。また、極端なやせ願望や肥満恐怖が深刻化すると、摂食障害である拒食症や過食症になる場合もあります。

 拒食症は、太ることを恐れて食物を避けるために極端なやせを伴います。多くは思春期から青年期早期にかけて発症すると考えられています。また過食症は、週に数回・数ヶ月間にわたる過食と、体重増加を防ぐため嘔吐や下剤の使用などの不適切な代償行動の両方が存在し、拒食症よりは発症が遅い傾向があります。

 健康維持のために必要なダイエットもありますが、無理なダイエットややせ願望は病気を招く恐れもあるのですね。健康的な生活のためにも、バランスのとれた食生活と適度な運動を心がけること、そしてストレスを溜めないことが重要なそうです。

 

                             *参考* 雑学ネタ帳 今日は何の日                   

                                  厚生労働省生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネット


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする