青少年なやみ相談室

相談室だより

鬼は内?

2022年02月07日 11時37分55秒 | vol151~160

「鬼はーそと―!」「福はーうち―!」

鬼のお面と豆菓子を見ると、どこからか子供達の元気な声が聞こえてくるような気がします。「いい子にならないと怖い鬼が来る」「心の中の悪い鬼を追い出そう」と、子供達は小さい手で豆をまき、良い子、強い子になろうと頑張ります。節分※の豆まきは、人々の心身が健やかであることを願う行事であり、子供にも大人にとっても、大切にしたい日本の風習のひとつですね。

さて、誰の心の中にも「鬼」がいる、といいます。自分の醜い部分、弱い部分、悪い部分(=鬼)は誰でも見たくはないものです。アニメのように刀で滅することが出来たらどんなにいいでしょうか。

現実には、心の中の鬼を退治したり、追い出したりすることは、なかなかできるものではありません。光があるから影もある。天使と悪魔、両方の性質を併せ持つのが人の心といえます。悪い性質を持っていても、我慢して悪さをしない鬼なら「良い鬼」。そのような鬼は、自分の一部としてポジティブに認めてあげることも大切なのではないでしょうか。昔話には、鬼でありながら人助けをする良い鬼も、たくさん登場します。鬼の性質を持っていること自体が問題ではなく、それを認め戒めながらよりよく生きていくことが大事なのですね。

では、「福」とは何でしょうか。福とは、お金だけではないはずです。人それぞれに思い描く「福(幸福)」があり、それはその人の人生のテーマや夢と深く結びついています。自分や自分の家族、周りの人々にどんな「福」が舞い込んで欲しいか。大きな願いでも、ほんの小さな願いでも、自分の願いを明確に思い浮かべることは、前向きな希望や、生きるエネルギーにつながります。今のあなたの願いは何ですか?どんな幸せを望んでいますか?

豆まきの豆と一緒に、「良くなりたい」「変わりたい」といった内なる願いを放出し、スカッとできるのも豆まきの醍醐味と言えます。季節の節目にあたる2月に、自分の心の中の「鬼」や、「福(願い)」を見つめることで、新しい春の季節に向けて気持ちを整理することができそうです。

※節分は、立春の前日の指す場合が多い。節分は、「季節を分ける」という意味で、季節の変わり目や区切りを表わす。季節の変わり目には鬼(邪気)が出るとされており、古くから悪霊払いの行事が行われてきた。「邪気」には、人に害を与えようとする心や性質、悪意という意味がある。

※コロナ感染予防のため、マスク着用し、密を避けて、掛け声は控えめに。

参考 :フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』https://ja.wikipedia.org/wiki/節分


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相談室だより1月 コロナ後の世界をあなたはどう生きますか

2022年01月01日 00時00分00秒 | vol151~160

新しい年が明けました。初詣に行かれた方は、ご家族のご多幸や受験祈願、そして何よりもコロナ禍の終息を願われたのではないでしょうか。

このコロナ禍が私たちの社会に何をもたらすのか、様々なことが述べられていますが、コロナ後の世界の大きな変容については多くの識者が述べています。

今、私たちの周りでは、人と人とのつながりに「自粛」を迫られ、そしてまず「自助」が優先されています。政府がそれを求めることが当然とされる社会、それは違う視点で捉えるとき、いわゆる監視型社会の始まりと見られています。更に、世界的にはグローバリズムの社会における自国主義の台頭が見受けられ、こうした息苦しさを覚える世界が始まるという予測があります。

一方、別な視点からの議論もあります。コロナ禍の背景には、急速に進む開発(自然破壊)や気候変動(温暖化)の影響があるとの指摘があります。つまり、今回の危機は人間自身が引き起こしたものであり、そのため、人間と地球環境が共存・共生する新たな世界を再構築することが求められているというのです。

その視点から国連のSDGsの取組が重要な意義をもってくると言われています。持続可能な開発目標(SDGs)は、共存・共生を理念に、国家を超えて行動し、地球環境を含めて、誰一人取り残さず持続可能であり、多様で差別のない世界を目指すものです。

正に前述の新たな世界です。そこにはお互いの存在を思いやる心があります。その実現の道は困難でも、私たちはそこに希望と期待を寄せるべきであることが説かれています。

コロナ禍が終息した後の世界がどの方向を向いているのか、それは誰にも分りません。

ただできれば、国の統制の下、自助を求められ、弱者が排除される、そして国と国とが自国主義を掲げてぶつかりあう世界より、お互いを思いやり、自然と人間が共存・共生する新たな世界に生きることに希望を見出したいものです。

特にコロナ後の世界に生きる子ども達や若い方々がそう望まれることを強く期待します。

 

参考図書:総合人間学15「コロナ禍を生き抜く、問いあい・思いやる社会を創造できるか」ほか


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1年の終りに

2021年12月01日 09時00分00秒 | vol151~160
いよいよ2021年も最後の月です。
長引くコロナ禍の中「どんな1年になるのだろう」と、不安な気持ちで幕を開けた2021年。忍耐や制限を強いられる不安定な社会状況の中で、なんとかこうして1年を終えられること、全ての皆さんに「1年間本当にお疲れ様でした」と言いたいですね。

さて、1年間の終わりに、自分をふりかえり新しいスタートへ向かっていくために、紙とペンを使って、自分の心の中にあることを少し書き出してみませんか? 簡単なことのようですが、普段はあまりやらない作業であり、実際書き出すとなるとなかなか難しいものです。

紙に書くという行為は、脳のRAS(網様体賦活系)に刺激を送り、RASが作動すると、その事柄を実現するための情報を見逃さないよう脳は活発に働くそうです。
つらい時、心が乱れた時、行き詰った時、不安で仕方ない時・・・
紙に書くことは、もやっとしている事柄や漠然とした不安やあせりを整理するのに役立ちます。無意識から自分の向かいたい方向を具体化することになり、意識的な行動に向かわせる力があるとされています。

<紙に書き出すポイント>
・不安もいやなことも、気持ちのおもむくままに何でも書く。
・読み返す必要はなし。いつでも書く、できるだけ毎日書く。
・望みや実現したいことを詳しく書く。
・なぜそうしたいのか、実現したらどのように自分が変わるのかという「結果の結果」まで書く
・今までに言われたほめ言葉を書き出す(ほめてくれた人の名前も書く)
・パソコンではなく手書きで書くこと(専用のノートを用意するとよい)

自分が今どうで、自分がこの先どうしたいか?何が不安か?なぜそう思うのか?
書くことで自分と対話することでき、客観的な視点から「自分らしく在ること」を見つめることができるのです。

成功を収めた何人もの有名人やスポーツ選手が、子供の頃に文字として書いた大きな夢を実現しています。自分の思いや望みを「書き出す」ことには、確かに人を動かす不思議な力がありそうです。騙されたとおもって試してみませんか。
年末の慌ただしい時期だからこそ、心を混乱や喧騒から解放しリフレッシュさせてあげられるよう、少しでも自分のために時間を作ってあげたいものですね。


参考文献:『夢は、紙に書くと現実になる』ヘンリエッタ・アン・クロウザー著、野津智子翻訳、PHP書店、2006


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相談室だより11月 私たちにできること

2021年11月01日 00時00分00秒 | vol151~160
 先月、2021年のノーベル物理学賞の受賞者の発表がありました。プリンストン大学上級研究員で、アメリカ国籍を取得している真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)さん(90)が選ばれました。受賞理由は「二酸化炭素の温暖化影響予測」です。
 真鍋さんは、今から50年以上前に「二酸化炭素が増えれば地球の気温が上昇し、地球温暖化につながる」ということを世界に先駆けて発表するなど地球温暖化研究の根幹となる成果などをあげてきました。ノーベル物理学賞の対象として、気象や気候の研究分野が取り上げられるのは初めてです。物理学の専門家は「気候の変動が社会的な大きな関心事になる中で、これまでにない分野を対象にしたのではないか」としています。
 地球温暖化や気候変動は、社会的に大きな関心事であると同時に、私たちの生活に密接に関わっています。科学者が研究対象とするだけではなく、地球上に住む私たち一人ひとりが考えて行動する分野でもあります。心のどこかで「私には関係ない」「自分一人くらい…」と思っていませんか?そうではありません。一人ひとりのちょっとした心がけや気遣いが積み重なり大きな効果につながります。そして、その取り組みは「私たちの未来を守る取り組み」にもなります。
 地球のために未来のために我慢する…と考えると窮屈で仕方ありませんね。我慢するのではなく、
  〇誰もいない部屋の電気は消す
  〇歯磨きやシャワーの時、水道を出しっぱなしにしない
  〇電車やバス、自転車で行ける場所には極力それらを使って行く
  〇エコバックを持ち歩く
など、まずは出来ることから取り組んでみましょう。

                           *参考*ノーベル賞2021NHK特設サイト ノーベル賞ってなんでえらいの???
                     

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相談室だより10月 心の時間を長くしてあなたの「秋」をじっくり楽しみましょう

2021年10月01日 00時00分00秒 | vol151~160

 10月、秋本番になりました。食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋などなど、「〇〇の秋」という言葉があるのは、春夏秋冬で秋だけ。それだけ、秋は気候が穏やかで過ごしやすく、物事を行うのにちょうど良い季節ですね。だからこそ、この秋のひとときをじっくり楽しみたいものですね。もちろん、コロナも第5波はどうにか落ち着いた模様ですが、コロナ対策は万全にして。

 でも楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもの。たしかに、学校で退屈な授業を受けている時の1時間はとても長く感じますね。一方、ゲームや動画に熱中している時、好きなことに集中している時の1時間はあっという間に経ってしまいますよね。

 その理由は、同じ1時間でも、過ごし方により心が感じる時間が異なるから。そこで、秋をじっくり楽しめるように、心が楽しいと感じる時間のコントロール法をご紹介します。

 

■身体の代謝を高める

 時間の感じ方には身体の代謝が大きく影響し、代謝が上がると楽しい時間が長く感じられるそうです。その代謝は一日の中でも変動していて、朝目覚めて代謝が上がるまでには約3時間かかると言われています。ですから一日を充実して過ごすには「早起き」がとてもお得です。

 また、運動をすると代謝が上がります。そのため体を動かす時間を設けることも楽しい時間を長く感じることにつながります。

 

■記憶される出来事を多くする

 心が感じる時間は記憶に残る出来事が多いと長くなり、少ないと短くなります。大人になると時間があっという間に過ぎるのは、子どもの頃に比べると、毎日がルーティン化し、記憶に残るような出来事が少なくなるからです。

 有効なのは、記憶される「出来事を多くする」こと。趣味を楽しむ時、あらかじめ場面、場面を想像し、細かい部分に気づける準備をしておく。そうすれば熱中していても出来事が多くなり、楽しい時間は長く感じられます。

 

■広い空間で遠くを眺める

 時間の感じ方には視覚も大きく影響します。カラオケみたいに狭くて暗い空間は時間が早く過ぎると考えられています。大人と比べて子どもの方が時間の進み方を緩やかに感じるのは、子どもの身体が小さいので空間を広く感じるから、という説もあるのです。

 ですから、できれば屋外で周りが一望できるところに立って、遠くを眺めることで広さを感じる。これも楽しい時間を長く感じることにつながります。

 

ご紹介したのは一部ですが、これらも参考にしながら、秋をじっくり楽しめる時間の過ごし方を工夫してみてはいかがでしょうか。

 

 ※参照図書:一川 誠『大人の時間はなぜ短いのか』(集英社新書)


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