青少年なやみ相談室

相談室だより

ご当地ソフトクリームはアイドル説?!

2024年08月01日 10時00分00秒 | vol.181~190

 ご当地ソフトクリーム、お住まいの地域にはどんな特色のソフトクリームがあるでしょうか。また、推しのご当地ソフトクリームはありますか。

 各地の「道の駅」や「産地直売所」でも、夏にぴったりの様々な冷たいスイーツが販売されていますね。中でも「ご当地ソフトクリーム」は、地域の特色や食文化をたくさんの人へ伝える、魅力的なアイドルのような役割をしていると言えるのではないでしょうか。

 ご当地ソフトクリームがどのようにアイドルの役割をするのかというと、まずは「アイドルの原石」となりうる、農水産物の存在です。地域の人々が親しみ育て、食やくらしを支えてきた農水産物は、普段その地域を中心に食べられていることが多く、ご当地の「アイドルの原石」であり、地域の人々に命と豊かさを与えてきました。この農水産物が活躍の場を、食卓から「ご当地ソフトクリーム」に変えることで、たちまち訪れる人に魅力が伝わりやすくなります。

 たとえば遠野市のわさびソフトクリームも、遠野市で生まれたアイドルのように訪れる人々とご当地をつなげています。まず、わさびとソフトクリームという組み合わせが、訪れた人へ驚きと好奇心を与えます。さらに「手渡し」という提供方法は、さながらアイドルの握手会のように直に魅力が伝わります。「どんな味がするのか」「意外と合うね、美味しいね」「この土地ではワサビを育てているんだね」「水が清らかな土地なんだね」といった会話が生まれたり、地域の特色へ理解が深まります。農水産物を育てている人にとって、生産したものが楽しく豊かなものとして人々に親しまれるのは、とても嬉しいことでしょう。

 みなさんも、この夏休みを利用してご当地ソフトクリームを味わいに出かけてみてはいかがでしょうか。農水産物に込められた地域の人々の愛情に、触れることができるかもしれませんね。


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星空に思いを馳せて

2024年07月01日 10時00分00秒 | vol.181~190

 7月7日は「七夕」。一年に一度、織姫と彦星が再会する大切な日です。古来より、星空や宇宙はさまざまな創造の源となってきました。みなさんは、この星空に何を思うでしょう?
 岩手の文人・宮沢賢治は、星空に着想を得て、童話「銀河鉄道の夜」を執筆しました。夏の天頂に鎮座する天の川、その中央に大きく翼を広げる白鳥座は、主人公・ジョバンニとその親友・カムパネルラの旅の始発点です。北十字星から南十字星までの幻想的な銀河の旅路を、宮沢賢治は思索の中に描き出しました。
 賢治は「銀河鉄道の夜」を完成させることなくこの世を去りましたが、未完のこの大作に、どんな思いを込めたのでしょうか。
 カムパネルラは、川で溺れた同級生のザネリを助けるために死んでいます。人の命を救うためには自分の命を捨てるという、自己犠牲を象徴する人物として描かれています。「誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸せなんだねえ」カムパネルラはそう呟きます。他人を思いやる気持ちを大切にし、実践すれば、命を失った後に天上界へ向かうことができるという、利他の精神を重んじた賢治の信念が感じられます。
 物語の終盤、ジョバンニは銀河鉄道の旅の夢から目覚め、親友の死を知ります。呆然としながらも、自分の帰りを待っているお母さんの元に帰ろうと、一目散に家に向かって走り出す…。この光景の描写で「銀河鉄道の夜」はおしまいです。もう会えない親友の「死」ではなく、生きている大切な家族の「生」に目を向けたこの童話の帰結は、「今生きている愛する人を慈しみ、大切にする」こと、それが宮沢賢治の求めた「ほんとうのさいわい」であるというメッセージなのではないでしょうか。
 受けとめ方は千差万別あるでしょう。夏の星空を見上げた時には、ぜひ、「銀河鉄道の夜」を思い出して、自分なりの物語の世界を楽しんでみてくださいね。

<参考>
宮沢賢治(1996)『銀河鉄道の夜』株式会社KADOKAWA
上田哲・関山房兵・大矢邦宣・池野正樹(1996)『新装版 図説 宮沢賢治』河出書房新社,p107

 


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6月16日は父の日です

2024年06月01日 10時00分00秒 | vol.181~190

 毎年、6月の第3日曜日は父の日です。5月の母の日に比べ父の日は、うっかり見過ごされてしまうことも少なくありません。そんな父の日ですが、もともとの起源や、海外の父の日について少し紹介しましょう。

 父の日の起源は1909年までさかのぼります。「母の日のように、父に感謝する日も作ってほしい」当時、アメリカワシントン州に住んでしたソノラ・スマート・ドットさんという女性が、牧師協会に提唱したのが始まりでした。6月はソノラさんの父親の誕生月であり、礼拝が第3日曜日に行われていたことから、日づけが決まったと伝えられています。

 アメリカ発祥の父の日は、戦後すぐに日本へ伝わってきました。しかし日本での認知度は低く、あまり親しまれていませんでした。現在のような父の日が定着したのは1980年代以降です。1981年「ファザーズ・デイ委員会」が立ち上がり、「父の日に黄色いものを贈ろう」というイエローリボンキャンペーンを実施しました。黄色は身を守る色とされ、大切な人の無事を願い、幸福や富を象徴する色とも言われています。この黄色をシンボルカラーとすることで、父の日は広く知られるようになりました。

 アメリカや日本以外の国々でも、父の日はありますが、その日づけやお祝いの仕方は多様です。例えば韓国では、母の日だった5月8日が「オポイナル」という父母の日になりました。イタリアでは、聖母マリアの夫である聖人ジュゼッペの日であった3月19日が父の日に相当します。他にはイースターから数えて6回目の日曜日が過ぎた木曜日を父の日として大量のビールを飲み交わすドイツ、11月の第2日曜日を父の日として宝くじをプレゼントするスウェーデンなど、私たちから見るとユニークな風習をもつ国々もあります。

 いかがでしたか、父の日の起源や海外の父の日事情。

 日頃、お父さんになかなか感謝の気持ちを伝えられない人こそ、父の日というイベントを上手に活用して、感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。

*参考*

2004年の父の日はいつ?

https://shop.odakyu-dept.co.jp/ec/fathersday_column4 ( 2024.5.20アクセス)

 


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脳と記憶のふしぎ

2024年05月01日 10時00分00秒 | vol.181~190

 「何も見ないで10円硬貨の表面と裏面の絵を描いてください」と言われたら、皆さんは描けますか? 「簡単!」、「何度も見ているから描ける」と思った方はぜひ、チャレンジしてみてください。(答えは最後にまとめてあります)

 記憶の研究として、10円硬貨の絵を描いてもらう課題を用いたのは、東北大学で教鞭[きょうべん]をとっていた仁平義明先生です。仁平先生は、多くの人に10円硬貨の表面と裏面を描いてもらう課題を出しました。しかし、誰一人として10円硬貨の両面に描かれている図柄の8つの要素すべてを描くことはできなかったそうです。

 普段、よく目にするはずの10円硬貨。図柄を描けない理由は、脳が覚える必要のない情報を省いて記憶しているからだと考えられています。「数字の10と書いてある」、「銅色をしている」くらいの情報を覚えておけば、10円硬貨と他の硬貨と区別することができるため、日常生活の中で困ることはありません。普段よく見かける身近なものでも、正確に覚えていないものは案外、たくさんあります。例えば、歩行者信号の赤と青はどちらが上でしょうか?描かれている人は右向き、左向きどちらでしょうか?どんなポーズをしているでしょうか?

 脳は、実はとても効率的なのです。限られた容量をうまく使いこなすために、本当に必要な物だけを選別して、長期記憶に残そうとします。一番重要なのは生命にかかわることなので、危険な目にあった体験などは記憶に残りやすいといえます。

 「脳と記憶」いかがでしょう。ふしぎですね。興味が湧いた方は、調べ学習などの話題にしてみてはいかがでしょうか。

 

【答え】

<10円硬貨の表面の図柄の4つの要素>

①平等院鳳凰堂[びょうどういんほうおうどう]の建物

②建物より上にアーチ状に並ぶ「日本国」の3文字

③建物の下にアーチ状に並ぶ漢数字の「十円」の2文字

④文字の間を装飾する唐草模様[からくさもよう]

 

<10円硬貨の裏面の図柄の4つの要素>

①中心より上寄りの位置に大きめに描かれた算用数字の「10」

②「10」を囲むように描かれた葉が互い違いに生えている月桂樹[げっけいじゅ]の2本の枝

③2本の月桂樹を結ぶリボン

④和暦と漢数字で横書きに記された製造年

 

*参考*

仁平義明(2008)「「日常的エラー」と「高安全度必要場面エラー」」 日本情報ディレクトリ学会誌 Vol.6 pp.25-30

ITmedia エンタープライズ「コンピュータ以上? 無駄なものを覚えない人間の脳:プレゼンが上手い人の『図解思考』の技術」 https://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1205/11/news048.html(アクセス2024.4.8)


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春の妖精たち

2024年04月01日 10時00分00秒 | vol.181~190

 柔らかな春の風と、暖かな日差しが心地良く感じられるようになってきた今日この頃。春めいてきた人里を離れて山や林へ足を運ぶと、肌寒さの残る中に木々がたたずんでいます。地面へと目を向けてみると、残雪の中に、小さな花々の姿を見つけられるかもしれません。

 フクジュソウやカタクリ、ニリンソウなどに代表される早春の花々は、スプリング・エフェメラル、日本語では「春の妖精たち」と呼ばれています。冬の積雪の溶けきらない中、いち早く地上に現れて花を咲かせ、木々が若葉を広げる初夏の頃にはあっという間に姿を消してしまう、はかない植物たちです。目の覚めるような黄色が鮮やかなフクジュソウ、紫色の絨毯を広げたように群生するカタクリ、小ぶりな純白の花を咲かせるニリンソウ…。いずれも小さな存在ですが、かれんな美しさと同時に、厳しい自然の中で生きるたくましさと賢い知恵をその身に秘めています。

 スプリング・エフェメラルは、地表に堆積[たいせき]した雪や落ち葉を押しのけて顔を出すと、他の木々や草花が目覚めないうちに開花します。そうすることで、ライバルの少ない環境の中、たっぷりと届く太陽の光と花粉を運んでくれる虫たちを集めることができます。そして、初夏を迎える前に種を作って葉を落とし、球根や地下茎の姿となって、来春を夢見て長い眠りにつきます。木々が葉っぱを生い茂らせると太陽の光が届きにくくなってしまうため、エネルギーの消費を抑えながら地下で養分を蓄えるのです。たくさんの植物が共存する山野において、小さな体ながらも懸命に生きるその姿に、なんだか元気をもらえるようですね。

 早春のこの時期に郊外の山や林へ足を伸ばし、はかなくもけなげな春の妖精たちを探してみませんか?小さな命の営みに想いを馳せながら、新たに迎えるこの春も希望に満ちた気持ちで過ごしましょう。

 

参考文献

一日一種(2019) 『わいるどらいふっ!身近な生きもの観察図鑑』 山と渓谷社, pp.8-9 ,p13

スプリング・エフェメラル~春のはかない植物たち~/札幌市

https://www.city.sapporo.jp/museum/ouchimuseum/0319.html(アクセス日時 2024/3/12 15:31)

 


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