「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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傘かしげ

2020年07月03日 11時38分08秒 | 日常のこと&写真
「傘かしげ」
 駅に向かうとき雨になっていた。大きな傘を持ち出かけた。
 歩道を歩いていると対面から人が来る。私はその人と反対側に「傘」を傾けて傘から落ちる滴がすれ違う人にかからないように気遣う習慣がある。しかし、すれ違った人はそのようなことをしてくれないため私の左肩に流れおちてきた。
 私は子供のころ母から、「傘かしげ」(かしげということばは首をかしげると同じ)という仕草というか所作を教わった。右側通行なので歩道でも右側を歩く、すれ違う時は傘を右側に、つまり路肩側に傾ける。相手も私と反対側へ傾けるのだ。これが日本人の優しい所作・作法として伝えられてきていた。
 また、学校の先生からも同様な所作は教わっていた。「七三の道」という作法だ。道を歩くとき、道の三分目を自分の通行のための道とし、残りの七分目は緊急時や他人のための道として空けて通りなさい。という教えだ。もうこんなことを教える先生も親も居なくなっているかもしれない。道路一杯並んでお喋りしながら歩く人も多く見かけ、こちらが気遣って車道に下りて追い越すということもあり、「すみません」と声を掛けないと道を空けてくれないということもある。
 オリンピック誘致のプレゼンテーションにおいて、「おもてなし」の国、日本、と世界中に広まったこともあり、死語にもなってきている「傘かしげ」「七三の道」そして「肩引き」(道を歩いているとき人とすれ違うとき左肩を路肩の方に寄せること、つまり少し体を斜めにしながらぶつからないようにすること)。美しい国日本に似合うこれらの所作、死語とせず伝え繋いでいきたいものである。


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