現役時代の仲間との年に1度の宴会旅行。上ノ山・石和・箱根・鬼怒川など続いてきた7回目の会場は水上・上牧温泉にある「温もりの宿 辰巳館」。利根川沿いに立つ中規模の宿で温泉・食事・おもてなしの心地よさに何度か通い続けている。しかし、今回は全国を泊まり歩いている口うるさい同行者。その反応が気になったが心配は無用だった。温泉に浸かった後の夕食は宿名物の炭火山里料理。地元食材を生かしたその美味しさに酒も大いに進み、盛り上がって評判は上々。二日酔いに優しい朝食も同様の素材で最後まで満足。山下清大壁画風呂のようにほっこりとした山あい宿の心遣いに包まれ、惜しみながら散会した。ひとり向かったのは目覚めに眺めた朝日に輝く谷川岳の山麓。ロープウエイ駐車場に車を停め、西黒尾根登山口を経てマチガ沢へ30分。曇り空でモノクロ調となった遠くの岩壁を写真に。さらに20分歩いて一の倉沢に。立ちはだかる大岩壁はいつになく冷徹さをむき出しにしているように見える。身体が冷えてきた。一夜の温もりを思い出しながら往路を戻った。
(この写真のみ<るるぶトラベル・辰巳館>より転載)