間もなく東日本大震災から8年目の日がやって来る。同時期に発生した福島の原発事故は多くの周辺住民に計り知れない影響をもたらし、今に続いている。問題解決の展望がまだ見えない中、人々の忘却に乗じるかのように原発行政が推進されつつある。そうした今、<いくつか学び考えたこと>という副題の1冊目の本に出合った。本書では、事故を引き起こした技術的な欠陥や組織としての不備、事故後の対応などの問題指摘に留まらない。原発推進の深層底流には、将来的な核兵器保有にむけた<「産業政策の枠を超え」る「外交、安全保障政策」>があるとみる。だから経済性や安全性は後回しにされてきたのではないか、と問題提起する。原発自体の未熟性を含め、国内外の発言録や書物、事例などで論証されて理解しやすい。放射性廃棄物の処置について原発当事者が著した本の中で「数万年以上の超長期の安全性が求められる」の記述についても<誰がどのように「確保」しうるのか>、正気で書いているのかと問う。東大で物理を学び、今は科学史家などの元学生運動の闘士だった著者が語りかける<原子力発電に反対する理由>は、あらためて反原発を考える良書だった。12月埼玉県議会で都道府県議会では初めてという原発再稼働を求める意見書がで可決された。賛成した議員<自民党・県民会議>にぜひ一読してほしいものだ。
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