以前も紹介はしたがラファエル・ピション(Raphaël Pichon)を取り上げてみた。最近良く聴くバッハのカンタータである、バッハ全集は2種持っているが違う演奏も聴きたくなる、これは浮気性かもしれな。筆者のオーディオ機材の中では勿論10吋タンノイとの300Bコンビで聴くヴォーガルは実に心地良いのです。ただし筆者の部屋は実に狭く(約10畳洋間)物が多くゴミ屋敷である。その中で適度な音量で音楽を楽しんでいる貧困老人である。
以前CD購入したお気に入りのアーノンクール、レオンハルトの教会カンタータ全集の中より聴くが、最近仕入れたフランスの若手ソプラノ、サビーヌ・ドゥヴィエルと、夫であるラファエル・ピション指揮の共演による、バッハとヘンデルの変幻自在な歌唱今や世界的なソプラノ歌手として活躍するフランスの若手ソプラノ、サビーヌ・ドゥヴィエル。ラモーなどのバロック期の作品からロマン派まで、フランス作品を中心に並外れた表現力とピュアでまっすぐな圧倒的な美しさの歌唱を聴かせる歌手として知られますので早速試聴する。
BA1. BWV 1-231 カンタータ、モテット
BA2. BWV 232-243 ミサ
BA3. BWV 244-249 オラトリオ
BA4. BWV 250-524 コラール、歌曲
BA5. BWV 525-771 オルガン曲
BA6. BWV 772-994 オルガン以外の鍵盤楽器(チェンバロ、クラヴィコード)の曲
BA7. BWV 995-1000 リュート曲
BA8. BWV 1001-1040 室内楽
BA9. BWV 1041-1065 協奏曲
BA10. BWV 1066-1071 管弦楽曲
BA11. BWV 1072-1080 ひとつの作品の中に異なる演奏形態の含まれている作品や演奏形態の指定のない作品
さて今回はBA1カンタータ、モテットの詳細であります。
BWV.51『全地よ、神に向かいて歓呼せよ』 (Jauchzet Gott in allen Landen) は全5曲から構成される教会カンタータ。現在はソプラノのレパートリーとして定着している。
1730年にライプツィヒで作曲されたカンタータで、自筆の楽譜には「三位一体節後第15日曜日、及びあらゆる全ての機会に」と記されていることから、特定の日曜日だけでなく、他の目的で演奏されたと考えられている。同年の9月17日に同地で初演されている。
ソプラノの歌唱が高い音域(2点ハ音まで)が技巧的に要求される。この当時女性歌手は教会で歌うことを禁じられていたため、男声の歌手(ソプラニスタ)のために書かれたものとされている。また同時にトランペットも華やかに活躍するが、このトランペットは当時ライプツィヒで有名だった楽士ゴットフリート・ライヒェ(1667年 - 1734年)が初演時に担当したものと考えられている。
BWV51の以下日本語訳
カンタータ第 51 番 "Jauchzet Gott in allen Landen!" 「全地よ、神に向かって歓呼せよ」
(BWV51)
1.Aria 1.アリア Jauchzet Gott in allen Landen! 全地よ神に向かって歓呼せよ Was der Himmel und die Welt 天と地の中にある an Geschöpfen in sich hält, 被造物はすべて müssen dessen Ruhm erhöhen, 神の誉れを讃えよ。 und wir wollen unserm Gott 私たちも同じように gleichfalls jetzt ein Opfer bringen, 神に供え物を捧げよう daß er uns in Kreuz und Not 神は十字架と苦難の中で allezeit hat beigestanden. 常に私たちのそばにいて下さるのです。 Jauchzet Gott in allen Landen! 全地ら神に向かって歓呼せよ。
2.Recitativo 2.レチタティヴォ Wir beten zu dem Tempel an, 私たちは神殿に向かって祈ります da Gottes Ehre wohnet, 神の栄光がそこに宿っています da dessen Treu, 神の真実は so täglich neu, 日毎に新しく mit lauter Segen lohnet. 常に祝福を報いて下さいます。 Wir preisen, was er an uns hat getan. 神がして下さったことを賛美します。 Muß gleich der schwache Mund von seinen Wundern lallen, つたない口であっても神の不思議なみわざを語らずにいられません、 so kann ein schlechtes Lob ihm dennoch wohlgefallen. たとえつたない賛美であっても喜んで下さるのです。
3.Aria 3.アリア Höchster mache deine Güte 至高者よ、あなたの恵みを ferner alle Morgen neu! 朝ごとに常に新しくして下さい。 So soll vor die Vatertreu そうすれば父の真実の前に立って auch ein dankbares Gemüte 私たちの感謝の思いは durch ein frommes Leben weisen, 敬虔な生活をすごすことによって daß wir deine Kinder heißen. 私たちがあなたの子であることを示します Hochster mache deine Güte 至高者よ、あなたの恵みを ferner alle Morgen neu! 朝ごとに新しくして下さい。
4.Choral 4.コラール Sei Lob und Preis mit Ehren 賛美と誉れと栄光が Gott Vater, Sohn, hieligem Geist! 父なる神とみ子と聖霊にありますように。 Der woll' in uns vermehren, どうぞ増し加えて下さい was er uns aus Gnaden verheißt, 恵みによって約束されたことを。 daß wir ihm fest vertrauen, そして私たちが神にかたく信頼して gänzlich verlass'n auf ihn, すべてをゆだね dass uns'r Herz, Mut und Sinn 心と意志と思いのすべてを ihm festiglich anhangen; みなあなたにおまかせできますように。drauf singen wir zur Stund: こうして今こそ私たちは歌います、 Amen! wir werd'ns erlangen, アーメン、約束は成就します glaub'n wir aus Herzens Grund. 心の底から信じています。
Alleluja! ハレルヤ! (Johann Gramann"Nun lob, mein Seel, den Herren"第 4 節)
全曲聴いても20分ほどで終わる素敵な歌声に癒されます。
ラファエル・ピション(Raphaël Pichon)
ラファエル・ピションは、パリの温室(CNSMDP、CRR)で歌、ヴァイオリン、ピアノを通して音楽のトレーニングを始めました。若いカウンターテナーとして、ジョルディ・サバール、グスタフ・レオンハルト、トン・コープマン、ジョフロア・ジョルダンの指揮の下、現代美術を歌いました。2006年に彼はピグマリオン、合唱団、そしてそのプロジェクトの特異性によってすぐにそれ自体を際立たせた時代楽器オーケストラを設立しました。
バッハのミサエブレーブ、ラモーの悲劇の叙情悲劇の最新版、モーツァルトの希少性の視点はすべて、ピグマリオンのアイデンティティを支えるプロジェクトです。合唱団とオーケストラの融合を中心とした作品だけでなく、コンサートのパフォーマンスにおけるドラマツルギー的なアプローチを通じて、ピグマリオンのさまざまな業績は、フランス国内外で急速に満場一致で高く評価されています。
サビーヌ・ドゥヴィエル(ソプラノ)Sabine Devieilhe
チェロと音楽学を学んだ後、声楽に転向し、2011年にパリ高等音楽院を首席で卒業したばかりにもかかわらず、在学中から数々のオペラの舞台に出演して話題に。レザール・フロリサン、マルク・ミンコフスキなどと共演している。
古楽から現代音楽までをレパートリーとしているが、キャリア初期は、バッハからラモーまで、バロック音楽に傾倒。その後、フランス国立管弦楽団とパリ管弦楽団とのラヴェルの「子供と魔法」に出演し、より幅広い聴衆の目にとまることとなった。
2011-12年シーズンには、ベルリーニの「夢遊病の女清」のアミーナ役を歌い、ベル・カント作品デビューを果たす。パリ・オペラ座でのモーツァルトの「魔笛」の夜の女王役や、ベルギーのモネ劇場でのグルック「オルフェオとエウリディーチェ」でも主役をつとめた。
それと最新の録音のため、すこぶる音質がよく実にリアルに聴けることは大変ありがたいことです。それと古楽器の演奏が多く音も古楽器らしいドッシリした重みのような雰囲気の音も気に入っている点かもしれない。
このアルバムには、サビーヌの夫であるラファエル・ピションとの共演による、J.S.バッハとヘンデルという最も偉大なるバロック作曲家の作品を収録、バッハの名カンタータに、ヘンデルの歌劇やカンタータからのアリアまで、宗教的な作品と世俗的な作品を取り混ぜて、新型コロナウイルス感染症の恐怖にさらされた現代へのメッセージとしているそうです。
サビーヌ・ドゥヴィエルは、既に「言葉を重要視し、洗練された歌唱と鋭敏な感性には哀愁も感じさせる」と高い評価を得ています。キャリアの初期にはバロック音楽を中心に歌っていた彼女、近年はレパートリーを広げるとともにその声質も柔らかいものに変化、更なる表現の深化を遂げています。
このアルバムでも彼女は変幻自在な歌唱を聴かせています。ヘンデル作品での歌唱も見事ですが、何よりバッハ作品が聴きどころ。
彼女は2014年、ピション指揮ピグマリオンによる世俗カンタータ『嘆け、子らよ、全世界に向って嘆け』に参加して瑞々しい歌声を聴かましたが、今回はソロ・カンタータということで思う存分美しい歌声を披露しており、とりわけ後半に収録されたコロラトゥーラの超絶技巧を要するカンタータ第51番では、印象的な高音を自在に操る完璧なテクニックを味わえます。
Bach・Handel
【収録予定曲】
1) J.S.バッハ:『わがイエスよ、いかばかりの魂の苦しみ』BWV.487
2) J.S.バッハ:カンタータ第146番
『我ら大いなる悲しみを越え』BWV.146 ~ シンフォニア
3-10) J.S.バッハ:カンタータ第199番『わが心は血の海に漂う』BWV.199
11-12) ヘンデル:『ブロッケス受難曲』HWV.48
~Ach Gott mein Sohn…. Soll mein Kind
13-14) ヘンデル:歌劇『ジュリオ・チェーザレ』
~何てことを耳にするのかしら?…もし私を哀れと思われないのでしたら
15-16) ヘンデル:『ブロッケス受難曲』HWV.48
~Hier erstarrt mein Herz und Blut… O Anblick
17) ヘンデル:歌劇『ジュリオ・チェーザレ』~私の運命を嘆き悲しむでしょう
18-19) ヘンデル:オラトリオ『時と悟りの勝利』
~Pure del cielo intelligenze eterne…Tu del ciel ministro eletto
20-24) J.S.バッハ:カンタータ第51番
『全地よ、神にむかいて歓呼せよ』BWV.51
【演奏】
サビーヌ・ドゥヴィエル(ソプラノ)
ラファエル・ピション(指揮)
ピグマリオン(ピリオド楽器オーケストラ)
ステファーヌ・デグー(バリトン:12)
【録音】
2020年12月19, 21, 23日、パリ、Temple du St Esprit
今や、世界的なソプラノ歌手として活躍するフランスの若手ソプラノ、サビーヌ・ドゥヴィエル。ラモーなどのバロック期の作品からロマン派まで、フランス作品を中心に、並外れた表現力とピュアでまっすぐな圧倒的な美しさの歌唱を聴かせる歌手として知られます。
このアルバムでも彼女は変幻自在な歌唱を聴かせています。ヘンデル作品での歌唱も見事ですが、何よりバッハ作品が聴きどころである。
彼女は2014年、ピション指揮、ピグマリオンによる世俗カンタータ以前紹介の「嘆け、子らよ、全世界に向って嘆け BWV 244a」に参加して瑞々しい歌声を聴かましたが、今回はソロ・カンタータということで思う存分美しい歌声を披露しており、とりわけ後半に収録されたコロラトゥーラの超絶技巧を要する「バッハ:カンタータ第51番」では、印象的な高音を自在に操る完璧なテクニックを味わえます。
確かに最近は一番多く愛用する真空管アンプである、さすがWEの真空管は貧困老人には購入は出来ないが、ナス管の評判が良いと言われているので、今後ナス管300Bを探して見ようと思っている。
タンノイⅢLXを愛用する諸氏より、「アンプはやっぱり3極管ですかね、石じゃ鳴りません絶対に。」このような書き込みもあった。確かに90dB程で能率は意外と良く8W程度程のアンプで十分ドライブできる。ヴォーガル等は実に細やかな音がこの装置の自慢である様にも思う、確かにLUXKIT A3500のアンプと比べビロードの様な滑らかさは300Bには及ばない様である。この辺りは曲者と言われるタンノイのユニットを鳴らすことの難しさでもあろう。
全体的にこの程度のアンサンブルの演奏の再生は相性も良いと思う、当初オリジナルの箱で鳴らしていた頃はこれだけのアンサンブルの音は何処か低域不足があり少人数の音楽中心に聴くことが多かったが、関西のY氏からお譲り頂いたGOODMANS AXIOM 80の箱に移植してからは、オペラまで過不足なく聴ける様になったとこがきっかけである。移植してから早4年になろうとしたが、ある程度のチューニングと改良したことで見事なシステムとなり、パイプオルガン曲まで音楽全体が楽しめるようになったことは実に感謝することである。
最近誕生を迎え74歳になった、愈々断捨離を考えなくてはならない年齢に近づくが筆者の部屋は相変わらず物が多く、所狭しと物が散らかっています、今後考えなければならない。
後は、気になるバッハのモテットといえばほぼ、 BWV 225~230 の六曲しかなく、そのうちの一曲(BWV 230)もバッハ作であるかどうかについて疑問を述べる人がいるようです。それ以外では、カンタータに分類されるようなものや、偽作とされる曲が存在する ぐらいです。
バッハが作曲した声楽作品のうち、彼の死後も命脈を保ったのはカンタータでも受難曲でもなく、モテットでした。彼の真作とされるモテットの数は少ないですが、この作品群はトーマス教会合唱団のレパートリーとして歌い継がれ、ライプツィヒを訪れたモーツァルトに「ここにこそまだ学ぶものがある」と言わしめましたと言われている。
バッハのものとしては唯一、楽譜上では声楽のみによる作品です(器楽による最小限の伴奏を適宜付けることが慣習的に行われているものの、それも独立したパートのように声と違う動きはせず、なぞる程度にやるのがほとんどです)。古風な様式のものが見られ、教会の行事用 では なかったのではという説があります。何曲かは葬儀用のものでもあり、私的な用途に使われたとされるのです。バッハが抱える歌手たちの練習用に良かったので は という意見もあります。
声による饗宴!美しい声に包まれる喜び
フランス古楽界の騎手、ピション最新盤はバッハのモテット集
いま最もフランス古楽界で注目されている1984年生まれのラファエル・ピション。注目の最新盤は、バッハのモテット集。といっても、モテットだけを集めて録音したのではなく、バッハ以前の時代の作曲家の多声作品もはさみこんでいる、凝ったプログラムです。
「J.S.バッハのモテットほど人を豊かにしてくれる音楽はありません。私は幸運にも10歳の時から何度も何度も何度も歌うことができました。なぜなら、これらのモテットは、歌う人、聴く人すべてに忘れられない痕跡を残すからです。モテットに立ち返る時、その魅力はますます増大しています。その絶対的な力によって、人は感動し、確信するのです。すべてゆるぎない信仰心の表現によって導かれた作品です。」とはピションの言葉ですが、まさに、聴いていると声に包みこまれて高みにつれていってもらえるような気持ちになる1枚です。
ヴィンチェンツォ・ベルトルージ[c.1550-1608]は、ヴェネツィアのそばのムラーノ出身、クラクフで長年オルガニストを務め、北ヨーロッパに複合唱のスタイルを伝えた人物の1人。ヤコブス・ガルス(ヤコブ・ハンドル)[1550-1591]は現在のチェコでカペルマイスターとして活躍した人物。
ライプツィヒではここに収録された作品は聖金曜日の礼拝でよく用いられていました。ジョヴァンニ・ガブリエリ[c.1554/57-1612]はヴェニスの有名なオルガン奏者で、シュッツの師でもあった人物。8声部からなるこのモテットは彼の中でも最高傑作のひとつです。
【収録情報】
1. J.S.バッハ:モテット『主を讃えよ、すべての異邦人よ』 BWV.230
2. ベルトルージ:Osculetur me osculo oris sui(彼に私に口づけをさせてください)(7声部)
3. J.S.バッハ:モテット『来たれ、イエスよ、来たれ』 BWV.229
4. J.S.バッハ:モテット『御霊は我らの弱さを支え助け給う』 BWV.226
5. J.S.バッハ:モテット『恐れるな、私はあなたと共にいる』 BWV.228
6.ガルス:Ecce quomodo moritur justus(見よ、正義の人がいかにして死ぬか、誰もそれを心に留めない)(7声部)
7. J.S.バッハ:『イエス、わが喜びよ』 BWV.227
8. G.ガブリエリ:主に向かって喜びの声をあげよ(8声部)
9.J.S.バッハ:『歌え、主に向かい新しい歌を』 BWV.225
ピグマリオン(声楽&器楽)
ラファエル・ピション(指揮)
録音時期:2019年9月
録音場所:パリ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
此れを機会にバッハが作曲したモテット集を浸しむとこにしよう、ブラボー!